■ユッタ・ビュッカーさんの絵本 |
1970年にオランダ国境に近いドイツのブルクシュタインフルトに生まれる。現在はハンブルクでフリーのイラストレーターをしている。 『あえるといいな』(BL出版)著者紹介 より |
『あえるといいな』*『きらめく船のあるところ』 |
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『あえるといいな』 作 ネレ・モースト 絵 ユッタ・ビュッカー 訳 小森香折 BL出版 2001年
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なんでもできる大きな犬と、なんにもできないちいさな犬と、ちいさな犬のお話の中の月の犬のおりなすおはなし。
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ちいさな犬とおおきな犬はだいのなかよし。けれど、ある日べつの犬があらわれて、おおきな犬はちいさな犬に見向きもしなくなりました。ちいさな犬は、目の前がまっくらになりました。ところが、思いもよらなかったことがおきたのです。 (表紙のオビより)
「あえるといいな」のタイトルと、倒れそうなくらい一直線の傾きで見上げているぶち模様の愛らしい白い犬と、青い夜の表紙に魅了されて読了。 大きめのページの見開きいっぱいに、大きめののびやかなイラスト、それから、大きめの文字の少ない文章。その文字の字体がタイプライターのような、ところどころちょっとかすれた雰囲気のもので、凝っていて、第一印象から、贅沢な空間だな、と、思っていましたが、ああもう本当に贅沢な空間でした! なにしろ、言葉がぎりぎりまで少ないのに、おおきな犬とちいさな犬の関係が、あっというまに、大きく、こちらの中に広がったのです。絵本を読むとき、登場人物のだれかに、感情移入してしまうとしたら、「なんにもできない」と記されているちいさい犬でしょうか・・・、そんなことを思いながら娘とページをめくったのですが、いやもう読み聞かせどころか感情移入どころか、ぽーんと、思いもよらず(?)絵本の世界に飛び込んでしまったというか、
「ところが、思いもよらなかったことがおきたのです。」・・・
表紙のオビの言うことは、正しかったよー!と、いう感じでした(笑)。途中からなど、あれよあれよと、別のところに、すっかり気持ちが飛んでいました。もうそりゃあ空のはるかかなたですよ(笑)。 言葉がぎりぎりまで少ないから、いっそう、絵も文もきらきらして見えて・・・それから、こちらの気持ちもキリキリしてしまいました。切ないのです。いろんなことが切ない。文章がきりっと短い分、補おうとすれば、切ないなあと思いました。 読み手によって、読むときによって、読むたびに、さまざまな受け止め方、補い方、味わい方のできる、とびきり贅沢な絵本だなあと…。 最後のページを目を開けたものとするか、閉じたものとするかなどといろいろ想像したり、表紙と裏表紙の見返しをながめたりするのも、さまざまな余韻。 「あえるといいな」のタイトルと、倒れそうなくらい一直線の傾きで見上げているぶち模様の愛らしい白い犬と、青い夜の表紙に再魅了されました。感無量。
もしかすると品切れになりつつあるのかもしれませんが(?)、←ビーケーワン、セブンアンドワイ書店などでは購入可能のようです。
同じコンビによる別の絵本、『きらめく船のあるところ』(BL出版)も、軽快な文章と絵の、すっきりくっきりした鮮やかな絵本でした。↓
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『きらめく船のあるところ』 作 ネレ・モースト 絵 ユッタ・ビュッカー 訳 小森香折 BL出版 2004年
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軽やかでお洒落な文と絵で、夢を追う気持ち、期待と不安の道のりを、思い出させてくれる絵本。きらめく絵本はここにありました。 |
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