■脇山華子さんの絵本 |
東京生まれ。現在サンフランシスコ在住。アメリカで出版された絵本は、『ドラゴンだいかんげい?』が5冊目。邦訳絵本には、『くじらのハンフリー』(国土社、品切れ)など。 (『ドラゴンだいかんげい?』徳間書店 表紙カバー裏見返し 著者紹介 より) |
『ドラゴンだいかんげい?』*『おおきな、お・お・き・いテックス』*洋書 |
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『ドラゴン だいかんげい?』 ディヴィッド・ラロシェル文 脇山華子絵 長友恵子訳 徳間書店 2004年
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犬はだめだけど、もしドラゴンがみつかったら、飼ってもいいんだって。それでぼくはドラゴンを探して、見つけて、うちへ呼んだ。 ドラゴンは犬よりももっとよごしてさわいで・・・。
すんなりしたフォルムと、明るくてさわやかな色使いのおしゃれな絵と、ユーモアとウィットにあふれる物語が、だいかんげいのドラゴン絵本。 とびきりスマートな作戦にかんぱい。
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月ようび、「犬をかいたいんだけど」って、ぼくはママにいった。 でもママは、「だめよ、おへやがきたなくなるもの」っていった。
火ようびは、 {だめよ、ほえてうるさいもの」 だって。
そして木ようび、 「ドラゴンをかいたいんだけど」って、ぼくはママにいった。 ・・・
月曜、火曜、水曜と、わらべうたやマザーグースを思わせるような、くりかえしの楽しいはじまりに胸がわくわく。 明るくてクリーミーで、ページごとにまとまりのある色調の、センスのいいあかぬけた絵も「だいかんげい!」です。 犬を飼いたいぼくと、まっぴらごめんのママのかけひきを楽しく読みながら、おしゃれに描かれたアメリカの日常風景や、ママの家事の様子などにも親しむことができて、そのスマートさにあこがれてしまいます。(描いているのは日本人と知ってまたびっくり!)
スマートでかっこいいのは、イラストだけでなくて、テキストに出てくるドラゴンもまた、とってもダンディ。 ドラゴンを探しあるいて、ぼくが出会ったのは、海でも森でも動物園でもなくて、なんと町のお店。カフェコーナーもあるおしゃれなお店で、ぼうしにサングラス姿で、本を立ち読みしていたのです。 ぼくはドラゴンに、「うちへこない?」と、あの手この手でさそって・・・。
ダンディなドラゴンですが、どこか子どもみたいにあどけなくて、やることはお茶目ではちゃめちゃ。ちらかすは、よごすは、やりたい放題、おへやのなかで、得意技の口の炎でソーセージやいちゃうんですものね。 すっかり手を焼いたママは・・・。
軽やかなイラストとともに、テンポよくとんとん拍子に展開する物語は、たしかぼくが主人公の物語のはずだったけれど、いつのまにかやっぱりドラゴンに主役の座をうばわれたみたい・・・と思っていたら、最後に楽しいどんでん返し。そうそう、初心忘るべからず、ですよね!イラストをすみずみまで眺めて、このとびきりのネマワシのからくりがわかったら、演じぬいた面々といっしょにニンマリ。
このドラゴン、またどこかで会えるといいな。 おしゃれでお茶目で、ユーモラスに描かれているドラゴンですが、はらうべき敬意はちゃんとはらわれているところがお気に入り。
原書は『THE BEST PET OF ALL』2004 Dutton Children's Books とあります。 アマゾン洋書ではこちらなど。↓
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『The Best Pet o f All (ハードカバー) 』 Dutton Childrens Books (2004/10)
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『おおきな、 お・お・き・い テックス』 クレール・マシュレル文 わきやまはなこ絵 長友恵子訳 文化出版局 2000年
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遊園地のボール投げの賞品で、チャーリーが選んでつれてかえったのは、いちばんおおきなテックス。 でもテックスはどの部屋にも大きすぎて、どこへ行くにも大きすぎて・・・。
大きいゆえの悲喜劇を、からりとさらりと描いた物語。不思議な光を感じるイラストと、やさしいまなざしの物語に、ほろり。
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チャーリーとパパは、遊園地にいきました。 チャーリーがボールなげで大当たりして選んだ賞品は、いちばん大きな、テックス!
ところが大きなテックスは、チャーリーの家のどの部屋にも大きすぎて、自分の部屋でも、ほかのぬいぐるみにこわがられる始末。町へのおでかけに連れて行くにも大きすぎて、いつもいつもおるすばん。 ところがある日・・・。
温かなオレンジ色のよく映える、明るくてちょっとレトロな雰囲気のイラストがきれい。ページごとに統一感のある色調も美しいですが、光と影のコントラストがきわだっていて、ほどよい立体感が心地よい感じ。
しましまの愛らしいテックスは恐竜のぬいぐるみ?意外に軽くて持ち運びやすそうなところは、ドラゴンのバルーン?それとも怪獣の仲間かな? 確かに大きすぎて、居場所も出番もないテックスですが、だからこその展開がおしゃれでくすくす楽しめます。 テックスをとりまく人々の穏やかな対応も、もしかするとお手本になるかも。
「大きすぎる」と言われ続けたチャーリーの気持ち、テックス自身の気持ちをたどって、作者たちが、テックスにこめたメッセージは何だろう・・・なんて、いろいろ思いをめぐらせてみたり。 大きいゆえに場所をとってしまうテックスですが、心の居場所もちゃあんととっていて、頼りがいがあるんですよね。
原書は『Too Big!』1999 Chronicle Booksとあります。 アマゾン洋書ではこちらなど。↓
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『Too Big! (ハードカバー) 』 Chronicle Books Llc (Juv) (1999/03)
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『Little Bo Peep Can't Get To Sleep (ハードカバー) 』 Atheneum (2005/03)
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『Humphrey, the Lost Whale: A True Story (ハードカバー) 』 Heian Intl Pub Co (1986/10)
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『くじらのハンフリー』(国土社、品切れ)の原書だと思われます。
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『From Dawn to Dreams (ハードカバー) 』 Candlewick Pr (2007/5/8)
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『When It's the Last Day of School (ハードカバー) 』 Putnam Pub Group (2004/03) |
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