『ゆきおとこのバカンス』 白鳥洋一さく BL出版 2001年
いちどでいいからなつをみたい ふゆのおわりにゆきおとこは なつにむかってあるきはじめた どんどんいくといくつもみちがわかれている 「なつにいくのはどっち」 「わかばのかおるはるのみちだよ」 ・・・
熱気のこもった大胆な絵の中にも、ひんやりと繊細なアクセントがそえられ、リズミカルな文でまとめられた、痛快な冒険絵本。どんよりとした雪空のような、ぬーぼーと黒く巨大な雪男が、簡素で力強いタッチの山々の分かれ道を、どこからか聞こえるアドバイスにしたがって、ひたすら夏に向かいます。 冬から春へ、春から夏へ・・・。 季節をつかさどるちょっとした詩人のような、簡潔で美しいアドバイスが魅力的。
無心に飛び出す子どものようにわくわくして、無鉄砲な子どもを見守る大人ようにはらはらする絵本。 なんといってもいちばんの魅力は、思いを遂げたものの(やっぱり)ほうほうのていでわが家に戻った無謀なゆきおとこの決めゼリフ。精一杯のひとことが、子どもみたいで愛嬌たっぷり、いいなあいいなあ。
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