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↑ パグ犬満載の本を発見。 |
『ダサいぬ』 ダン・ヤッカリーノ作 もとしたいづみ訳 講談社
おおお、ダサいぬ! インパクト大のまんまるたこやき顔、つややかにふくらんだぎょろ目、ちょび耳、ひげづらのような鼻の下口元あたり、き、気になりすぎ!
ぼく、ダサいぬってよばれてます。 「おまえみたいなダサいぬ、みたことない」 って、他の犬はもちろん、ネコやオウム、金魚にまでからかわれ、いつだってなかまはずれ。 そんなある日、となりに犬が引っ越してきて、つい、ぼく、 「ゴールデン・レトリーバーでーす。」 と、うそをついてしまったんだ。 ・・・。
明るく澄んだ色彩でぺっかりと塗られたキュートなイラストと、ぼちぼちのんびりマイペースですすんでいく楽しいテキストに釘付け。ダサいぬといっしょに腹を立てたり抱えたり、しゅんとしたり、キュンときたり、どぎまぎしたり、びっくりしたり、それからニンマリしたりしてくださいね。
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『小さな池』 新宮晋(しんぐうすすむ)作・絵 福音館書店 1999年
表紙の、ぽっかり白い雲の間に、ぽっちりとある小さな小さな池が、見えますか?
池の一日、池のある日を描いた文字なし絵本。最初と最後のページ以外はテキストがなく、空から池をみおろしたイラストが、静かに劇的に続いていきます。
水面近くからそっとみつめた絵、はるか雲の高みからみまもった絵、ふきわたる風や泳ぐ魚ともに眺めた絵、ぽつぽつと降る雨の訪れをきざんだ絵・・・。 さざめく波、泡立つ波、広がる波紋、みなぞこまで澄んだ水、、鏡のように輝くみなもの、小さな小さなおと、音なき音が、いまにも聞こえてきそうな、みずみずしいイラスト。 一瞬いっしゅんはかなく形をかえていく自由な水を、満面にたたえた小さな池の、壮大ないのちの物語。
本棚に並べておくと、小さな私だけの池がいつもそこに。
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『ちいさなひこうきフラップ』 松本州平作・絵 徳間書店 2002年
フラップはちいさなひこうき。ちいさな翼に夢と荷物と手紙をいっぱいのせて、待っている島のみんなに届けます。今日も元気にいってきまーす! ところが帰り道、海の真ん中で嵐にまきこまれ、雷で翼がふきとんでしまいました。運良く「小島」に不時着したものの、もう飛べません。 そこに助けにあらわれたのは・・・。
作者の松本州平さんは、1957年生まれ。広告、カレンダー、ポスターなどの分野で活躍中だそうです。『ちいさなひこうきフラップ』が、初の絵本になるそう! 大人も子どもも魅了する、鮮やかでさわやかな色彩とつややかではずむようなタッチで、本当に全頁ポスターのような美しい仕上がりです。 どきどきとはらはらのたっぷりつまった、ちいさなフラップの大冒険が、いまにも元気一杯絵本からとびだしてきそうです。 フラップを助けにあらわれた、頼もしい空の仲間たちの場面は圧巻!元気のでる美しい絵本。
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『ちいさなピョン』 串井てつお作 講談社 2002年
ぼくはなにもの?土の色だからつちがえる?あれあれ、まだらもようになったから、もしかするととのさまがえる?あれあれ、でもぼく・・・。
緑色の重なりの美しい、ちいさなピョンの一生懸命の物語です。 とても身近な、田んぼのまわりの小さな自然が、草花の名前を言えそうなくらい、ほどよくリアルにいきいきと美しく描かれていて、楽しい図鑑を見ているようでもあります。 種類の異なるカエルたちがつぎつぎに登場するのですが、あまり見たことのない子供たちが見ても、違いやそれぞれの特徴がはっきりとわかるように、そして一匹一匹とても表情豊かに丁寧に描かれています。
ゆったりとした豊かな自然の中で、自分が何者か、一生懸命探すピョンの、フィルムを見ているような美しい絵本です。 やっと仲間を見つけたかと思ったら、おとずれる危機に、3姉妹は釘付け。 ラストの、雨の好きなかえるにとっては晴れやかなねずみ色の空が、とてもすがすがしい絵本です。
作者の串井てつおさんは、 「1965年生まれ、読売新聞大阪本社てデザイナーとして勤務。『トカゲのすむしま』で、第19回講談社絵本新人賞受賞。かえるを題材にした作品で、2001年度ボローニャ国際児童図書展原画展で入選。」 と、あります。(『ちいさなピョン』カバー裏表紙見返しの作者紹介より)
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原書初版は1976年。
↑『Little Gorilla』Clarion Books; Board版 などなど、 アマゾン洋書でも さまざまな版が 出版されています。
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『ちびゴリラのちびちび』 ルース・ボーンスタインさく いわたみみやく ほるぷ出版 1978年
あるところにちびゴリラのちびちびがいました。 みんなはちびちびのことがだいすきでした。 とてもとてもだいすきでした。 そんなあるひ・・・
あたたかな色彩のジャングルの中で、仲間たちみんなにやさしく見守られ、大切に愛されて、すくすくと育っているちびゴリラのちびちび。 平明で穏やかな文と絵から、どんなにちびちびが愛されているか、どんなに大切に思われているか、小さな子でもとてもよく理解し、とても深く共感する絵本。 姿かたちが可愛いちびちびでなくなっても、やがて大人のゴリラへと大きく大きく成長してたくましいでかでかになったとしても、やっぱりずうっとちびちびが大好き。そのままのちびちびでいいんだよ。 さまざまなメッセージが、温かく心にしみいる古典絵本。子どもたちも大好き。何度読んでも大好き。
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原書は 『Simon in the Land of Chalk Drawings 』 Brockampton Press Ltd, Salisbury Road, Leicster 1969 とあります。 シリーズに、 『Simon and the Chalk Drawing Army 』 『Simon and the Moon Rocket 』 『Simon and the Dinosaur 』 があったようです。またサイモンのチョークランド、いってみたいなあ。 |
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チョークランドのサイモン ビーケーワン
『チョークランドのサイモン』 エドワード・マクラクランぶん・え 奥田継夫やく アリス館 1984年 品切れ
チョークランドへようこそ。 ある朝学校へ行く途中、昨日らくがきしたへんなやつがサイモンを待っていて、サイモンをチョークランドにつれだした。そこはサイモンが前に描いたらくがきたちのひしめく、黒板みたいな不思議な場所。だけどどれもこれもかきさしで、中途半端のまんまだから、色鮮やかならくがきたちも何だかみんなうかぬ顔。 そこでサイモンは、せっせとチョークで描き足して、おっと一部はこっそりけずって、みんなを仕上げてまわります。 するとみんなはいきいきとして・・・。
読み終えたらさっそくらくがきがしたくなる楽しい絵本。のびのびと無邪気な絵に、邪気は無いけど、茶目っ気たっぷり、イタズラ心もしのばせて。
はじまりは白黒、サイモンがチョークランドに足を踏み入れたとたん、がらりとカラーページに早がわり。その濃色を下地にしたカラーページが、まるで夜空の花火のように、黒板に描かれた色とりどりのチョークのらくがきのように、楽しくてにぎやかで華やか。濃紫色、濃緑色の地に、色鮮やかなグラデーションの線画で描かれた、無邪気ならくがきは、なんていう技法なのかしら。色々な色でぬりつぶした下地に一面黒色のクレヨンをぬって、その上からひっかいて描いたようでもあるし、その逆に、色々な色の下地を裏返しにして別の紙に重ね、カーボンのように用いて、その上から線画を描いて、うつしとっているようでもあるし。
だれでも描けそうで描けない絶妙のバランスと味わい、さじ加減のイラストと、お茶目なテキストがいい塩梅。
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『軽い機敏な仔猫何匹いるか』 土屋耕一回文集 (文庫) 角川書店 (1986/01) 品切れ
↑ 土屋耕一さんは著名なにコピーライターで、このような回文集も出版されているよう。
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つつみがみっつ ビーケーワン
『つつみがみっつ』 ≪まえからよんでもうしろからよんでもおなじぶん≫のえほん 土屋耕一さく たざわしげるえ 福音館書店 特製版 2003年 品切れ (初版は、こどものとも1975年1月号)
「るすにする」 「わかいかわ」 なんて、前から読んでも後ろから読んでも同じ文が筋道立てて集まって、愉快で洒落たお出かけ物語になりました!
登場人物も、ぱぱ、たんた、まま、と、さりげなく回文ならば、商店街にやおやは当たり前、「ようかんかうよ」「しなもんぱんもれもんぱんもなし」なんて、きっちり回文だったりします。 一家の訪問先は、 「おともだちうちだもとお」。
軽やかな線画に、渋めの色を軽やかな筆さばきでのせた、楽しい絵のすみずみが、ほどよくなつかしくて、ほどよく新鮮。もともと月刊誌の1月号とあって、きちんとしたお正月のお客さま気分が味わえます。いいなあ、家族でのんぴれ歩いておでかけ、活気ある商店街をゆっくりぬけて、にぎやかな日本の家族のお正月。
物語の展開にあわせた見事な回文に、大人も子どももおおはしゃぎ。
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↑ 同じ作者コンビによる続編 『どうぶつさいばん タンチョウは悪代官か?』 偕成社
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『どうぶつさいばん ライオンのしごと』 竹田津 実作 あべ弘士絵 偕成社 2004年
「長年、野生動物の獣医として動物を診続けてきた著者竹田津実と、動物園の飼育係として20年以上、動物と生活を共にしていた画家あべ弘士が、動物たちのあるがままの姿を語る絵本。」 と、絵本の帯にあります。
タンザニアの草原の生き証人のような立派なイチジクの木の下で、今日、動物たちの裁判が開かれました。 裁判長はハイラックス、訴えたのは母親を殺されたヌー、訴えられたのは母ライオン、ヌーの弁護士にはゾウ、ライオンの弁護士にはオオミミギツネ、つぎつぎと両者の証人がよばれます・・・。
「ころしてほしい。たべてくれーと、あのヌーがいったんだもの。」 と、母ライオン。 ライオンが食べるから、群れの数がすこしもふえない、と、証人のバッファロー。 ライオンが食べるのは、動きのおかしいものか、弱ったものだけだ、と、証人のハゲワシ。 最後にはるばる(?)よばれた、モンゴル人の羊飼いの老人が言ったことには・・・。
メルヘンやおとぎ話ではなく、現実の厳しい自然の掟をふまえて、ダイナミックにドラマチックに描かれた動物裁判物語。 食べるものと食べられるもの。ともにそれぞれの種族が生き抜いていくために、食べること食べられることが何を意味するのか、子どもたちに力強く教えてくれる、本当の命に満ちた絵本。
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↑ 『Jellybeans』 Roaring Brook 2005 これはもしかすると、 続編?? |
『ドロップ』 drop シルヴィア・ファン・オメンさく よこやまかずこやく 竹書房 2003年
思うままにさらさらとペンを走らせたような、シンプルな白黒絵本。すべての文字が手描きで、贈り物の手作りの絵本をそっとひらいているよう。
ねこのオスカーから、うさぎのヨリスに、いつもの公園で会おうよとメール。ドロップも、コーヒーもわすれずに。
そしてふたりは、青空のしたでのんびりとおしゃべり・・・。 ふと、話題はてんごくのこと。
てんごくって、あるのかなあ? ぼくたち、そこでまたであうかなあ? だが・・・
ドロップ好きのオスカーのためにドロップを。コーヒー好きのヨリスのためにコーヒーを。互いが互いのために持ち寄って、のんびり、ひねもすのたりと、なんとなくしあわせでとてもしあわせなひとときをおすそわけ。ギブ・アンド・テイク、つかずはなれず、ドロップとコーヒーを持ち寄って、公園にペタンとすわれる関係、そして真面目な話もしてみる。なんだかいいな。 ドロップのようななつかしくてあどけない甘さと、コーヒーのような大人の香りのただよう、ほのぼのハイセンス絵本。
作者のシルヴィア・ファン・オメンさんは1978年オランダ生まれ、美術学校卒業後、はじめて出版社に持ち込んだ作品がこの『ドロップ』で、たちまち発行が決まって、大好評を博し、オランダでもっとも権威あるデザイン賞、<ベスト・フィルソルフト・物件・ファン2003>を受賞したそうです!(『ドロップ』表紙カバー裏見返しの著者紹介より)
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ニコラ・スミーさんはイギリスの絵本作家。 アマゾン洋書ではこちらなど。↓
『Funny Face (ボードブック)』 Bloomsbury (2006/4/3)
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『どんなかお?こんなかお!』 ニコラ・スミーさく せなあいこやく 評論社
楽しい物語をともなった、ぼうやの百面相絵本。厚紙絵本で、最後には鏡がついているから、小さい子も大喜び。
ボールあそび、だぁいすき。 森でぼうやが、赤いボールをぽーんとなげてあそんでいます。 さて、どんな顔? こんな顔!
たのしいな!
左のページにはぼうやの言動が一面に、右のページではぼうやの正面から見た表情が真ん中の四角の枠に大きく描かれた、なぞなぞ百面相遊びともいえる絵本です。 大きなクマにであったとき、クマにボールをとられちゃったとき、・・・こんなときには、どんな顔かな?なんて、小さな物語と密接に連動したぼうやの豊かな顔の動きに、小さい子もきっと夢中。 ぼうやとクマとボールの物語を追いかけていくと、喜怒哀楽、すべてが楽しめる巧みな展開に拍手。 小さな子でも、赤ちゃんの頃から身近な人の顔色をじっと読もうとしているそうですので、この絵本は彼らの心にすっぽりとなじむものなのでは。
最後のおまけも、お楽しみ。こんなかおお、どんなかお?
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