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たで(タデ食う虫も好き好き)・よこ(下手のヨコ好き)・ななめ(ナナメ読み)・格子縞(チェック)
でもまっすぐに絵本が好き!
雑多なひとこと絵本箱、ざっとながめてみてくださいね。時間があれば、またあらためて、長ーい(?)エントリに移るかも。≫移行一覧

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『かたつむりハウス』*『ガラスのジゼル』*『きがずらり』*『きたきたうずまき』*『きゃああああああああクモだ!』*『ぎゅうぎゅうかぞく』*『金のがちょうのほん』* *『ここってインドかな?』*『ごらんごらんこうやって』*

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 オンライン書店ビーケーワン:かたつむりハウス

かたつむりハウス
アラン アールバーグ作  ジリアン タイラー絵 おかだ よしえ 訳 評論社

かたつむりハウスのお話は、おばあちゃんが三人の兄弟にこっそりおしえてくれたの。

「むかーし、むかし。三人のきょうだいが、いたんだってさ。男の子と、女の子と、まだ、あかちゃんのおとうとがね。・・・」

この兄弟が、ある日突然豆みたいに小さくなって、こっそり家を抜け出して、かたつむりハウスを見つけます。
それはかたつむりの背中の殻なのですが、なんと、ドアも窓も煙突もある立派なおうちで、中には三つのちっちゃなベッドやカップやおさら、暖炉まで完備されているのです。おままごとみたいですが、本格的!

三人兄弟はさっそくかたつむりハウスにすむことに決めて、いつもきちんと気持ちよく手入れをして、仲良く暮らしたのでした。
そんな中、最初の事件がおこります・・・。

柔らかで繊細な線画に、緑豊かな淡い色彩をのせたイラストがとてもみずみずしくて、夢いっぱい。
暖炉には火がともされ、食器はきちんと洗われ、ロープにはこまごまと洗濯物が干されたりしていて、細やかに丁寧に描きこまれたかたつむりハウスは、精巧なドールハウスのように、見るものにあこがれと幸せを運んでくれます。
いいなー、こんなおうち。

 オンライン書店ビーケーワン:ガラスのジゼル 

ガラスのジゼル
ベアトリーチェ・アレマーニャ文・絵 くう編集部訳 編集工房くう 2005年

繊細ではかない物語。
ガラスの女の子ジゼルは、身体だけでなく頭の中で考えていることも、ガラスのように透けてしまう・・・。
純粋な子どもの頃はそれでもよかったけれど、いろいろなものを見て、触れて、知って、聞いて、感じて、考えて・・・大人になるにつれて、いろいろな思いがジゼルにめばえるようになり、だんだんジゼルや周囲の人々にとって、ジゼルの思いまでも透けていることが、重たい現実になってきたのでした。
だれだって、人に言いたくない秘密や心の闇は持っているものだし、人に見せたくない、そして人が見たくない影の部分も、抱えているものですものね!
作者の自由で繊細で大胆な表現方法、すみずみまで心を配られ、丁寧に選び抜かれた製本技術、作者・関係者の方々の絵本に対する心意気の伝わってくるような・・・絵本という名の芸術的作品。
作者のベアリーチェ・アレマーニャさんは1973年、イタリア・ボローニャ生まれ、現在パリ在住だそうです。これからの活躍が楽しみ!

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 オンライン書店ビーケーワン:木がずらり 

木がずらり
tuperatupera(亀山達夫 中川敦子) ピエ・ブックス 2005年

すらりとした縦長の絵本で、シンプルな扉を開くと・・・じゃぱら状に、折りたたまれていたページがどんどんのびる、ひろがる!
ツペラツペラさんならではの色鮮やかで深みのある色彩のシックで華やかなコラージュの、洒落た木が、1ページ(というのか、1折り畳みに)一本描かれていて、その木をとりまく生き物たちの風景が、

こんもり
かっちり きっちり
とんがり そっくり
・・・

なんて、しっかり韻を踏んだシンプルなひとことでずばり言いあらわされた、技あり一本の絵本!

ずらりの木の絵も楽しい、ずらりの言葉も楽しい、さりげなく季節のめぐりも、少しずつの言葉の響きのうつりかわりも、にやりとするユーモアも、にっこりと和むやさしさも、両手一杯楽しめる絵本。
全部読んだら、アコーディオンのように、ひらいてみたり。ひっくりかえして、裏のページのすみずみまでも深呼吸してみたり。

オンライン書店ビーケーワン:魚がすいすい

魚がすいすい
tuperatupera(亀山達夫 中川敦子) ピエ・ブックス 2005年
ジャバラ絵本第2弾ですって!

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 オンライン書店ビーケーワン:きたきたうずまき 

きたきたうずまき』 0.1.2.えほん
元永 定正 作 福音館書店

ぐるぐる好きにはたまりません。うっとりと目が回ること間違いなし。視覚と聴覚とぎすまされます。
3姉妹にも好評で、三女(2歳)は覚え始めたカラフルな色に着目し、ひとつひとつ「きいろ」「みどり」などと確認、二女(5歳)はユニークな形の微妙な差異に注目、長女(7歳)はさまざまに色・形・模様・まき方などを変化させながら美しく並ぶぐるぐるの羅列に、規則性を探そうと懸命になっておりました。この本の前半ぐらいまでは、前のページに描かれたぐるぐるの端が、次のページのぐるぐるの始まりに位置的にぴたりとつながっているのです。
ともあれ、それぞれのリズムで、それぞれの好奇心、探究心にそって、それぞれのやり方で自由に楽しめるのがいいですよね。

ところで、「ぐるぐる」「くるくる」「くるりん」の「」って、本当にぐるぐるまいているイメージのする字ですよね。しかもリズム感たっぷりの発音で、バランスよく楽しく配置されているので、目で読んでも声で呼んでも心地よく、まわるまわるイメージ、ぐるるるる。

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原書は、
Aaaarrgghh! Spider!
Egmont Books Limited,
London 2003
アマゾン洋書ではこちらなど。↓


Aaaarrgghh! Spider!
(ハードカバー)』
Houghton Mifflin
(Juv)
(2004/08)

クモよりはも少し一般的な、ペットのねこの、いぬへの可愛いやきもちのお話はこちら。↓となりの芝生は青いんだよね。あー、イヌっていいな。そんなことないでしょ、ネコっていいな!

いいないいなイヌっていいな』 リディァ・モンクスさく まつかわまゆみ 評論社 2001年

 オンライン書店ビーケーワン:きゃああああああああクモだ! 

きゃああああああああクモだ!
リディア・モンクスさく まつかわまゆみやく 評論社

あたしはひとりぼっちのクモ。にんげんのペットになりたいの。このうちのね。

そうだ、いいことかんがえた。
ここのペットはだれもこんなことできないもんね。
みてみて、あたしを!

ところがこのうちのみんなときたら、なんていったとおもう?

「きゃああああああああ
クモだ!」
「どっかに
いって
しまえ!」

ところどころにコラージュを用いた、キャンディみたいな明るい色の楽しい絵で、ペットになりたいクモと人間一家の大騒ぎをお茶目に描いたきらきら絵本。ここ一番のクモのアートのページは、きらきらのラメが効果的に用いられていて、わぁー、きれい。
クモが人間のペットになりたいなんて、いままで考えても見なかったけれど、こんなクモなら、ペット歓迎?

隈取りをしたあめだまみたいなまんまるお目目と、ハートの形のおちょぼ唇が、個性的な可愛らしさ。大胆な発想にどきり、ちょっぴりちぐはぐなすれ違いにくすり、そして思い切りのかなきり声、「きゃあああああああ」にすっきり、小さな子どもも大喜びかも。

このカラフルで可愛いきらきら絵本が気に入った方は、同じ画家による『おうちをわけっこ』(評論社)はいかが?今度は全部のページがきらきら光る!

 

おうちをわけっこ
ジュリア ドナルドソンぶん リディア・モンクスえ まつかわまゆみやく 評論社 2005年

かに、いそぎんちゃく、虫。3匹の共生する海の小さな生き物たちの愉快なお話。
おうちをわけっこ、しごともわけっこ。思いやりの気持ちもわけっこ。
もちつもたれつ、なかよし三人のはずなのに、なんだか暗雲たれこめてきた・・・。
一つ屋根の下で、なかよく長く暮すコツ、きらきら絵本に描かれているよ。

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この勝手な合いの手の(?)楽しい絵本は、

ぼくんちカレーライス
つちだのぶこさく 佼成出版社 2005年10月


こちらも。
インパクトあるダンシング・パパがいいお味。読めばカレーライスが食べたくなること必至なので、逆に、カレーライスと決めた日に先回りして読み聞かせすると、「まぁたカレー?」があら大変身、「やぁったーカレー!」と、子どもたちの賞賛を一身にあびて、「ぼくんちカレーダイスキ!」にランクアップ?(笑)。

 オンライン書店ビーケーワン:ぎゅうぎゅうかぞく 

ぎゅうぎゅうかぞく
ねじめ正一作 つちだのぶこ絵 すずき出版 2002年

これこれ、つちだのぶこさんの明るく楽しくほんわかしたイラストが、軽快な語り口のテキストにぴったりの、愉快なぎゅうぎゅうかぞくのなつかし絵本。この絵本に所狭しと描かれている迫力の大家族の奮闘振りや、雑多な感じがエネルギッシュで心地よい暮らしぶりを見ていると、どこかなつかしいような、ほっとするような、元気がでてくるような気がします。おばあちゃんのほほえみと、あかちゃんの一生懸命の泣き顔が、なんともいえないご愛嬌。

物語は、
としおくんちのまえでとしおくんあそぼうっていったら
ちょっとまっててね、と、ぼくにこえをかけてくたのはとしおくんのおかあさんで
キャベツをなげているのはとしおくんのおじさんで
(※としおくんちは商店街の八百屋さんなのです)

・・・という感じで、としおくんを遊びに誘おうとやってきた、ぼくの目の前でつぎつぎてきぱきと気持ちよく働くとしおくんちの大家族の中から、とうとうぼくがとしおくんを見つけるまでの、にぎやかに目移りする(?)ぼくの視線を、とうとうと続く一文でつむいだ楽しい楽しいお話。
三女に読みきかせしたら、
「・・・しているのはとしおくんのおとうさんで」
「ウン」
「・・・しているのはとしおくんのおばあさんで」
「ウン」
と、いちいち丁寧にこっくりうなづいてくれるのが、リズミカルでほほえましい絵本でした。

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 オンライン書店ビーケーワン:金のがちょうのほん

金のがちょうのほん
レスリー・ブルック文・画 瀬田貞二訳 松瀬七織訳 福音館書店

イギリスの画家レズリー・ブルックさん(1862-1940)の描く、4つの昔話。
この表紙の、のどかな田園風景。を、ずらずらねりあるく、クラシカルなお召し物をまとった、紳士淑女風の立派な大人たち。
を、とても美しく生真面目に描いた、古典的正統派イラストをごらんください。ギリシャ彫刻のように端正で優美であればあるほど、その行動のこっけいさが引き立って、いとをかし。

表題の「金のがちょう」のほかには、「三びきのくま」「三びきのこぶた」「親ゆびトム」を収録。均整のとれたモノクロの線画も、落ち着いた色彩のカラーイラストも、クラシカルできちんと美しく気品にあふれ、見ていて心地よい安心感。
しかし表紙からもおわかりのように、さりげなく大真面目に面白い。
「三びきのくま」「三びきのこぶた」では、はだかんぼの動物たちが獣らしくリアルに丹念に描かれていればいるほど、その2本足でよちよちと立つさまや、顔のしわまで人間顔負けの迫真のしぐさの絶妙のちぐはぐさが、あっけらかんと愉快でユーモラス。この美しいこじつけ感、職人魂を感じる几帳面な遊び心が、すこぶるつきで好きです。

今も英米の子どもたちに愛され続けているそうですが、日本でも普通に入手できて、よかった!

≫「3びきのくま」特集へ

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『Excuse Me, Is This India?
(ハードカバー)』
Tara Pubns (2003/4/1)

『Tiger on a Tree (ペーパーバック)』Tara Publishing

各国で翻訳されている
アヌシュカ・ラビシャンカール
さんの作品。

 オンライン書店ビーケーワン:ここってインドかな?

ここってインドかな?
ぶん/アヌシュカ・ラビシャンカール え/アニータ・ロイトヴィラー やく/角田光代 アート 2005年

この絵本の絵は絵の具やペンなどで描かれた絵ではなく、スイス生まれの世界的に著名なキルト作家、アニータ・ロイトヴイラーさんが、1999年のインド旅行で集めたはぎれを効果的に用いてつくった、手作りのぬくもりあふれるキルトの作品です。
この思い出をぬいこんだキルトをもとに、インドの児童文学者、アヌシュカ・ラビシャンカールさんが、テキストを添えたのがこの絵本、だそうです。
アヌシュカ・ラビシャンカールさんは、ノンセンスな楽しさにあふれた詩を得意とするそうです。
(『ここってインドかな?』アートン 著者紹介 より)

ここってインドかな?』の茶目っ気あふれるテキストも、言葉遊びのような、禅問答のような、へりくつのような、なぞなぞのような、はぐらかしのような、すりかえのような、わかったつもりでまったくわからないような、ノンセンスな楽しさがいっぱい!

インド旅行から帰ってきたアンナおばさんが、思い出を縫いこんで作ったキルトを、たくさんのお土産話といっしょに私にくれました。キルトのいろいろな景色を眺めて、夜くるまったとき、
あれれれ、わたし、青ネズミちゃんになっちゃった!
そしてインドを旅してる!

でも、わたしはどこにいるのかしら?
誰かに聞いても、
「ねえ、もしあなたが逆立ちしているんなら、
あなたは髪の毛の上に立ってるってこと。
でも、自分の足で立っているんだから、
どこへだって歩いていけるじゃない」
なんて、きっぱりとさっぱりわからない答え!

なんておおらか、おおざっぱ、ある意味無意味である意味真理の、ケムに巻かれたようなキツネにつままれたような、やっぱりさっぱりわけのわからない、インドの人々の粋な答え。

あー、いいなあいいなあ。こういうの、たまらなく好き。愉快痛快、油断してたら、チクチクイタガユイくらいです。
ほどよくざらり、さらりとした手触りのよさそうな、インドの趣きあふれる布の、手作りのあたたかなキルトから、こんな心浮き立つ不思議な物語が生まれるなんてね!
あなたもキルトにくるまって、素敵なケムにまかれつつ、自分の行き先を探してみる?

原書は『Excuse me, is this India?』2001 Tara Publishing,Chennai,India とあります。

 オンライン書店ビーケーワン:ごらん、ごらん、こうやって

ごらん、ごらん、こうやって
カーンビーズ・カーカーヴァンド文 モルテザー・ザーヘディ絵 愛甲恵子訳 ブルース・インターアクションズ

イランからやってきた絵本。
イランといえば、ペルシャ文字。ひらぺったい知恵の輪をつなげたような、ちいさな波しぶきのような、なんて読むのかどちらから読むのかどこで区切るのか想像もつかない繊細な文字が、思い浮かぶのですが・・・この絵本!まるでペルシャ文字を絵本にしたみたい???
楽しいテキストと、自由闊達、新鮮な絵をてがかりに、場面をひとつひとつ解読していく楽しみがあるかも。?

グワッ グワッ、
チビガエルは、じぶんのなきごえをよーくしっています。
グゥー グゥー、
ん?でも、このなきごえはしりません。どうやらおなかからきこえてくるみたい。
「どうすらゃいいんだ?ぼく、ごはんのたべかたしらないよ!」

でも大丈夫。みんなが教えてくれました。
「ごらん、ごらん、こうやって」
シカが地面の草を食べて見せます。でも、まねして食べたら、ぺっぺっ、なんてまずいんだ。
チビガエルはさよならをして歩き出しました。
キリンが木の上の葉っぱを食べて見せます。まねできないチビガエルを、頭の上にのせて木のてっぺんに運んでくれますが、ぺっぺっ、やっぱり、なんてまずいんだ。
チビガエルはさよならをして歩き出しました。
今度はへびです。
・・・

くりかえしの問いかけの楽しい民話のような、チビガエルの自分探しの旅のお話。
リズミカルな動物たちとのやりとりが、ユーモラスでのんびり。
手作りの絵本のように、素朴であたたかで、奥の深い絵本。

原書は『BEBEEN, BEBEEN IN TORI』2002 SHABAVIZ PUBLISHING COMPANY,IRAN とあります。

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