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『ハリネズミの くるりん』
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とりごえまり文・絵 2002年 文溪堂 |
すぐにくるりんとまるまってしまう、はずかしがりやのハリネズミのくるりんの、ほのぼのと愛らしい、おともだち獲得大作戦奮闘記。 おかあさんと頑張った、「こんにちは」の挨拶の練習の成果はいかに。おかあさんだって気になるよね。
みんなで応援したくなる、元気の出てくる可愛い物語。
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くるりんはちいさなハリネズミのおとこのこ。 びっくりしたり、はずかしくてドキドキしたりすると、すぐにくるりんとまあるくなってしまいます。 でもあるひ、くるりんがおかあさんにいいました。 「ぼく、もりのみんなとともだちになりたいな」 「じゃあ、ちゃんと”こんにちは”がいえなくちゃね。だれにあってもまあるくならないで あいさつができるようにならないと」 そこで一緒にあいさつの練習を積んで、森へひとりで出かけると・・・。
はずかしがりやのちいさなハリネズミ・くるりんの可愛いお話。 ひっこみじあんのもじもじさん、なかなかごあいさつができないドキドキさん、もしかすると絵本のまわりにもたくさんいるのではないかしら。 丹念に描かれた愛らしいくるりんが、一生懸命頑張っている姿を読むと、いっしょに応援したくなってしまいます。
なんといっても、とりごえまりさんの魅力的にこじんまりと整った絵が可愛い絵本。動物たちの正面の顔も、横顔も、愛らしくまとまっていて、心の和む心地よさ。 明るい色使いでシンプルに仕上げた雰囲気ですが、絵や文のはじっこに、遊び心やお楽しみがかくされているのでお見逃しなく。 意を決して、ひとりで出かけるちいさなくるりんの頑張りを、固唾をのんでこっそり見守っているのは、もしかすると読み手だけではなさそうですよね。
素直な展開の、ほのぼのと温かな物語で、子どもたちの心をつかむ勇気の絵本。
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『くるりん はじめてのおつかい』 とりごえまり文・絵 文溪堂 2004年 |
愛らしいくるりんのはじめてのおつかいの絵本。 ちゃんとまあるくならずに、さくらんぼを買って、おばあちゃんの家に届けることができるかな? くるりんを見守るたくさんのまなざしが温かい絵本。
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はずかしくてドキドキしても、くるりんとならずにあいさつができるようになったくるりんは、あるひ、あかあさんにおつかいをたのまれました。 くだものやさんでさくらんぼを買って、おばあちゃんのうちに届けるのです。 「ドキドキすることがあってもまあるくならないで おばあちゃんのうちまで いける?」 「うん・・・だいじょうぶ。ぼく いってくる」
おかあさんにかばんをかけてもらって、さっそくおつかいにでかけたくるりんですが・・・。 ドキドキ、わくわく、はらはら、大丈夫かな?
愛らしいハリネズミのくるりんの、はじめてのおつかいの絵本。 のどかで可憐な森やで出会うのは、親切であったかい動物たち。はじめてのおつかいに出たくるりんに向けられたまなざしは、きつねさんでさえもやさしくて、ほのぼの。 丁寧に描きこまれたイラストのすみずみまでながめると、誰かさんの姿もちらちらおくゆかしく見え隠れ。こちらのまなざしで見つめた物語を想像するのも、楽しいですよね。 心までまあるくなる絵本、おともだちが増えたこれからの展開が、とっても楽しみ。
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『おはなしおはなし』 とりごえまり文・絵 文化出版局 1998年 品切れ |
転んで泣いているくまさん、ケンカしてしょんぼりしているぞうさん、こわいかおでとうせんぼするきょうりゅう・・・お散歩途中のりりちゃんが、みんなにとっておきのおはなしのプレゼント。
お話の中に小さなお話がもっと読める、お楽しみがつまった絵本。やさしい眠りにつけそうです。
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ねこのりりちゃんはおさんぽ。 ほかのたからものといっしょに、 だいすきなともだちにプレゼントする おはなしおはなし をはこにいれて、てくてくでかけるところです。
転んで泣いているこぐまに出会ったりりちゃんは、あたまをなでてあげるかわりに、おはなしをひとつプレゼント。
あるところにこわがりでなきむしのくまくんがいました。 くまくんはそとへでるのがこわいといって、いえのなかでないてばかり。 ・・・
りりちゃんのおはなしをきいたくまさんは・・・。
おはなしのたくさんつまったふくろをはこにのせて、おさんぽするりりちゃんが、途中で出会った動物たちを、おはなしのプレゼントでほのぼの幸せにしていく物語。 劇中劇のように、いくつもおはなしが入っているおはなしを読むと、なんだか得した気分になれます。 のどかで愛らしいイラストも、「おはなしおはなしおはなし・・・」の整った手描きの文字も、その動物にぴったりの小さなおはなしたちも、みんなみんな嬉しいおくりもののよう。 りりちゃんはもしかしたら、動物たちのおはなしサンタさん、あるいはその寓話の巧みさは動物のイソップかも!
とりごえまりさんの描く自然は、可憐で美しく、わらべうたみたいにメルヘンいっぱいで、眺めているこちらまでゆったりした気持ちに包まれます。きょうりゅうとの最後の場面には、きょうりゅう絵本好きの私もうっとり。
のどかで可憐な野山や、ほのぼのと美しい空の印象的な絵本は、こちらにも。↓
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『しんくんとのんちゃん 雨の日のふたり』 とりごえまり文・絵 アリス館 2003年
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心配性のリスのしんくんと、のんきなリスののんちゃんの、それぞれ正反対の方向にふくらむ想像くらべが楽しい絵本。 ぱちり ぽつり ぱちり ぽつり。 ゆれるふたりの気持ちを包む、雨模様がほんとうにきれいで、雨音が耳に心地よく、心までうるおっていく感じです。
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しんくんはしんぱいしょうのリスのおとこのこです。 のんちゃんはのんきなリスのおんなのこです。 ふたりはとってもなかよしです。
「おそいなあ、のんちゃん」 きょうは、しんくんのうちにのんちゃんがあそびにくることになっています。 でものんちゃんはまだきません。 そとはぽつぽつとあめ。 しんくんのしんぱいがはじまりました。 もしかして・・・
心配性のリスのしんくんの杞憂と、対照的なのんきなリスののんちゃんの楽天家ぶりの、リズミカルな繰り返しが楽しい「しんくんとのんちゃん」シリーズ、雨の日編。 同じことをするつもりでも、心配性のしんくんは初めからびくびく、目の前をよぎるのは不安とよからぬ妄想ばかり。一方のんきなのんちゃんは初めからわくわく、まぶたに浮かぶのは期待と楽しい空想ばかり。 同じものでもこうも違うのかと、両極端をいくふたりの発想の豊かさには驚嘆してしまいます。 ぽんぽんとキャッチボールのように、ふたりの想像がいったりきたりする展開が、楽しくてたまらないシリーズ。 そしてくわえて、しんくんやのんちゃんの暮らす森の風景や、空の景色が、しっとりと美しいことも印象的。
『しんくんとのんちゃん雨の日のふたり』では、丹念にリズミカルにきざまれた雨の絵と雨の擬音がとても魅力的。 おくれてしまったのんちゃんの気持ちが、すっと心にしみわたるような、水たまりのわっかの絵。 愛らしい森にまっすぐに降り注ぐ雨、雨、雨。 そして空。
しんくんのどんより曇り空のような心配も、のんちゃんのからから晴天のような楽観も、何もかも包み込んでありのままにゆったりと広がる自然を見上げると、いつのまにか、こだわりがすうっととけて、ちいさくなってしまうのかも。
美しくて楽しい「しんくんとのんちゃんシリーズ」(アリス館)には、『しんくんとのんちゃん空からのてがみ』、『しんくんとのんちゃんかいぶつのおとしもの』があります。
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