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『ネコのラジオ局』 さく 南部和也 え とりごえまり 教育画劇 2004年
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ネコのラジオ局は、心にしみる音楽を毎日生放送しています。 ネコのヒゲを利用して電波を送るのですが、あまり電波が強くなく、遠くまで届かないことが問題。 そこでラジオ局のメンバーは、もっと強いヒゲを求めて・・・。
ネコの専門家による夢いっぱいのネコのラジオ局物語。丹念に描かれたイラストで可愛さ倍増。 もしもヒゲがあったら、受信に挑戦してみたいですよね。
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ネコのラジオ局では、まいにちたのしいおんがくをなまほうそうしています。 でんぱをとばすのも、うけるのもネコのヒゲ。 ラジオ局のネコたちがてをつないで、わになって、ラジオ局のおくじょうからとばします。 ヒゲがあれば、ネコじゃなくてもおんがくはきこえます。 ヒゲのおじさんにもきこえているみたいです。
ひとつだけもんだいは、ヒゲのでんぱはあまりとおくまでとどかないこと。 でんぱがつよくなればいいのですが、ねこのヒゲではこれがせいいっぱい。 そこでラジオ局のメンバー、ツートン、サリー、ハルは、もっとつよいヒゲの持ち主を探して・・・。
ネコのヒゲで電波を飛ばすネコのラジオ局! ヒゲのおじさんにも聞こえているみたいなんて、茶目っ気もたっぷり。聴きたくてもあいにくヒゲはないけど、ヒゲみたいに結った髪の毛では駄目かしら?
ともあれ、軽快な物語とイラストで、ノリノリのネコ絵本。クリーミーな色使いも可愛いし、丹念に描かれた猫たちがまた愛くるしくて、とろけてしまいそう。表紙に見つめられたら、手に取らずには入られない吸引力(?)。 主人公の一匹いっぴきのネコたちの性格も、姿かたちも、文と絵で丁寧に描き分けられているので、思わず続編の、これからの物語を期待してしまうところです。 この面々と、ラジオ局をとりまく町のネコたちが集まれば、また何か楽しい騒動がまきおこりそうですよね・・・!
巻末の著者紹介には作者の二人のそれぞれのネコとの写真もあって、作品とネコに対する愛情がうかがえるような、楽しい絵本。
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『ピッケ と ポッケ』 とりごえまり 佼成出版社 2002年
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おねえさんのピッケはいつもおすまし、おとうとのポッケはいつもニコニコ。でもほんとはね・・・。 うまく気持ちを表すのがちょっぴり苦手なピッケは、ある日・・・。
シンプルでとろけそうな色使いと、可愛らしさのエッセンスを凝縮したようなタッチで、真正面からしっかり幼い子をとらえる絵本。
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ピッケとポッケはねこのきょうだいです。 ピッケは、いつもおすまししてるおねえさん。 ポッケはあまえんぼうのおとうと。
うれしいときにも、ピッケはおすまし。でもしっぽはフリフリ。 ママにあまえたいときにも、ピッケはおすまし。しっぽをフリフリしたけれど・・・。
いつだっておすましがおで、甘えたり喜んでみせたりすることのちょっぴり苦手な、おねえさんねこのピッケと、あまえんぼうのおとうとねこのポッケの愛らしい物語。 大きな目を見開いて、真ん前を見つめるピッケとポッケが、おしゃれでおしゃまで可愛すぎ! それでいて物語りはただ甘口ではなく、ちゃんと読み応えも見せ所もある嬉しさです。 いつもおすまし、自分の感情を表に出すことがちょっぴり苦手な子はもちろん、他の兄弟姉妹の中で、何故だかいつも出遅れたり、気おされたりして甘え下手な子、きっとたくさんいますよね。 そんな子の気持ちをちゃんとわかってくれて、ほのぼの包んでくれる、特別なデザートのように愛らしい絵本。
続編の、『ピッケとポッケのおとなりさん』(佼成出版社、2003年)では、ピッケの世界がおうちの中から、おうちの外へも広がって、子どもたちといっしょに成長しているみたいな嬉しさです。(余談ですが、最初の方でピッケが読んでいる絵本のタイトルは、さりげなく「ネコのラジオきょく」!表紙の雰囲気は本物の絵本とは少し異なっているけれど、おもわずじゃれたくなる遊び心ですよね。)
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『とんだとんだ』 とりごえまり/さく・え 鈴木出版 1999年
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ひつじさんがたまたまみつけたたまごをそだてる、たまげたおはなし。 たまのように育てたら、あららとんでって、たまらずしょぼん。でもまた、ほら。 「とんだとんだ」のとんでもない結末に、いちばんたまげたのは、だれだろね?
愛らしいデザイン的なイラストも、擬音語たくさんのテキストも、とんとんはず展開も、とどめの効いた結末も、楽しい楽しいみんなの絵本。
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ひつじさんのせなかに、ごっつんあらら、たまごがぽこり。そのままくーくーおひるねしてたら、ぴよぴよあらまあ、どうしましょ。ふわふわむくむくひつじさん、ここはひとはだぬぎますか? いっしょうけんめいそだてたら、いつしかぴっぴっ、とんだとんだとんでった。 しかたがないけど、しょんぼり、しょぼん。 と、そこへごろんごろんとまたまたたまごが・・・。
明るく弾んだ線、色数をおさえつつ、おしゃれどころもしっかりおさえた色使い、絵が可愛いと思ったら、それだけでなく物語も可愛い!それも、ただ可愛いだけでなく、なかなか中身がつまって、ちょいとシニカル。
イラストもおしゃれにシンプルですが、テキストも気持ちよくシンプル。 「はいはいよしよし」 「ぴっぴっぴっぴっ」 などなどのひつじさんのひとりごとや、擬音語、擬態語で、ほんのひとこと、それでいてずばり絵の核心を突く楽しいフレーズになっています。 タイトルの意味が2倍になる(?)、とんでもないどんでんがえしの結末も、たまらない!
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『さいたさいた』 とりごえまり/さく・え
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金の星社 制作すずき出版 2002年
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ぞうさんが大切に育て、森のみんなが見守ってきた花が、今、さいたさいた。
可愛い絵に楽しいフレーズ、愉快な展開、そして最後の、気づくかなのお楽しみと、遊び心満載の絵本。
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上記の『とんだとんだ』▲(鈴木出版)の続編・・・ではありませんが、なにやら同じ世界につながるようななじみやすい雰囲気が嬉しい絵本。
ぞうさんがおはなをつんでいたら、ひゅーひゅるるー、かぜがふいてきて、たねがちょこん。しらないあいだにせなかにくっついて、あらまあ、可愛い芽がこんにちは。 おやまあ、ぞうさん喜んで、わくわく大事に大事に育てたら・・・。
蛍光色のようなオレンジと黄色の効いた、切れ味のいい整った絵に、ずばり真芯をとらえた、はずむように楽しい擬音語がページにちょこん。 しっかりと絵を見て物語をつかんでゆく、愛らしい絵本です。 表紙からすでに物語は始まっていて、裏表紙までお楽しみがかくされているから、すみずみまで目が離せません!
ところで絵をじっくりと見ると、この可憐な花のたねは・・・どうやら一代かぎりなのですね(一年草?)。「さいたさいた」のこの物語が、読み終えたあともずっと続いてくれることを願いつつ。
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