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『かたつむりみつけた』 トミー・ウンゲラー作 五味太郎訳 架空社 1987年 現在品切れ
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かたつむりどこ? 洒落たセンスのぐるぐる模様を、みんなで一緒に探してね。ここにも、そこにも、ぐるぐるぐる。みんなぐるかも、要注意? 楽しくてあかぬけた文字なし絵本。
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図書館で見つけて、すっかりとりこ。 トミー・ウンゲラーさんの黒のセンス、洒落ものですよね。 表紙も黒。 左下に、目をつむって、かたつむりの殻そっくりのホルンを吹いている、腰に剣を指した兵隊さんみたいな男の人がひとり。 ホルンから、「かたつむりみつけた」のタイトル文字が、こぼれる音楽の調べのように、なめらかな曲線に並んでいます。 わくわくしながら表紙を開けると、
かたつむりどこ?
ほとんどそれだけ、文字なし絵本。
かたつむりは、この絵本においてはイコールぐるぐる模様のことで、表紙においてはホルンのぐるぐると、剣のつばのくるぐる模様のこと。 またあるページでは、山のいただきに立つ雄ヤギの立派な角の先端にむかって、ぐるぐるとカーブしているところ。 別のページでは、広い海のただ中で、少しあれた波にもまれている小さな手こぎボートのおじさんの場面でいえば、かたつむり的ぐるぐるは、波の先端の渦巻くしぶき模様のこと。
こんな風に、見開き両面を使って、どこかにかたつむりぐるぐるを巧みにひそませた、しゃれっ気のあるユーモラスなイラストが大胆な構図で描かれていて、3姉妹はもうぐるぐる探しに夢中でした。
さあ、あなたもはりきってぐるぐるかたつむり模様をさがしましょう。
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原書は、『Snail, Where Are You?』、たぶん表紙のタイトルの上にもこの英文表記があるので、これだと思います。 初版は1962年、New York Harper & Row 社より出版と思われます。 そして、アマゾン洋書で、同じタイトルの新装版、『Snail, Where Are You?』を発見。
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『Snail,
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Where Are You?』 Blue Apple Books Liftflap 版 (2005/09)
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あかぬけた配色とセンスの光る穴あき仕掛け絵本。黒一色の流れるフォルムのとびらをあけると、穴からちらりとのぞいていた「ぐるぐるかたつむり」の粋な正体が明かされます。 テキストは一行程度、ほとんど文字なし絵本としても楽しめるので、小さなお子様とぜひご一緒に、おしゃれにひそむぐるぐるの世界をお楽しみください。
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↑↑↑ クリックして、「中身を見る」もクリック! アマゾン洋書でなんと中身がちらりと見えちゃいます! わくわくと購入したのですが、おしゃれな穴あき仕掛け絵本でした。基本的には邦訳本とも同じイラスト。そしてぐるぐる模様に沿った穴を開けた黒一色の(時折赤、たまに青)ページをかぶせ、このぐるぐるは何かな?と思わずひらいてみたくなる、大胆なカットと配色の仕掛けページが添えられています。 たとえば上記画像の表紙ですが、一見かたつむりそのもののように思われる真ん中のかたつむりの形は、実は穴あきで、表紙カバーを外すと、邦訳本と同じ表紙の兵隊さんのうっとりと吹くホルンとなってあらわれるのです!
『かたつむりみつけた』の色使いはもともとあかぬけている感じがありますが、仕掛け絵本『Snail, Where Are You?』に用いられている仕掛け部分の鮮烈な配色も、洗練されていて、おしゃれ! 黒一色のしかけとびらをぱっとひらいたら、華やかな紫や、黄色、赤・・・に、ひき立てられたトミー・ウンゲラーさんのイラストが、目にも鮮やかにとびこんできます。手書き風のテキストの文字もくるんとさきっぽがカールしていて、ちょこんと真ん中に愛らしく。 邦訳本はテキストがありませんでしたが、仕掛け絵本『Snail, Where Are You?』は短い一行のテキストが添えられています。もちろんそのまま文字なし絵本として自由に楽しむこともできると思います(ハハでも小さな子どもでも大丈夫!)
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『くつくつみつけた』 トミー・ウンゲラー作 五味太郎訳 架空社 現在品切れ 1987年
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ほとんど文字なしくつさがし絵本。くつははくものなんて、常識をきっとくつがえしてれるかも。すましたイラストに巧みにくっついたり埋め込まれたりしているくつたちをハックツして、たいくつ知らず。
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上記『かたつむりみつけた』(架空社 品切れ)の姉妹編。 原書は『ONE,TWO,WHERE'S MY SHOE?』、最初のコピーライトは1964年、1973 by Diogenes Verlag AZ Zurich、とあります。 アマゾン洋書では、『One, Two, Where's My Shoe』(Harpercollins)。
表紙は黒の地に、赤い制服・制帽姿のおひげの兵隊さん。よくよく見ると、りりしい制服の首から型にかけてのライン、房飾りのようなそのデザインは、あみあげのブーツ、が、かかとをあわせてくっついている形、なのですよ!
『かたつむりみつけた』同様、テキストはほとんどなく、最初と最後以外は完全に文字なし絵本、ともいえるほど。 さあ、くつはどこ? 片足でひっくりかえってすましていることもあれば、両足そろえて何かの形になりきっていることもあって、なかなか絶妙にかくれんぼしていたり、まったく最初から大胆にバレているのがおかしすぎるページもあったり。 くつの種類もハイヒール、長靴、革靴、木靴、と、ヨリドリミドリ。長靴鳥や革靴魚なんて、抱腹絶倒、それがまた3姉妹が最初なかなか気がつかないので、ページを開く手がブルブル震えるくらいおかしかったのでした(笑)。 『かたつむりみつけた』のぐるぐる探しよりは、3姉妹には難しかったようですが、三回目くらいから三女も俄然張り切って(ポイントを覚えたようです)、姉たちに負けじと必死で指差していました。
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訳者の五味太郎さんも、3姉妹の大好きなかくれんぼ絵本『たべたのだあれ』『かくしたのだあれ』▲(ともに文化出版局)をはじめとして、『そら、はだかんぼ!』(偕成社)、『きんぎょがにげた』(福音館書店)、『まどからおくりもの』(偕成社)などなど、卓越したアイディアのかくれんぼ絵本をたくさんお描きになっていらっしゃるので、かくれんぼつながりみーつけた、という感じかしら???
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『こうもりの ルーファス』 トミー・ウンゲラー作 萩谷琴子訳 岩崎書店 現在品切れ |
ふとカラー映画を見たことから、明るい世界にあこがれたこうもりのルーファス。ちょうど落ちていた絵の具で、自分の黒い羽を色とりどりにぬって、おひさまにむかって飛び立ちますが、驚いた人々は・・・。
こうもりのルーファスの、色々自分を探す愛らしい物語。ひきしまった黒の世界から、明るい色鮮やかな世界へ、トミー・ウンゲラーさんの洗練された色彩のページを、ルーファスとご一緒に。
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ピリッとスパイスがきいていて、メリハリとエスプリがたっぷりと。小ぶりな版型、愛らしいルーファス、あかぬけたイラスト、何より、「自分探し」のテキストがお気に入り。
こうもりのルーファスはつつましく灰色と黒の夜の世界に生きていたのですが、ある日通りすがりに色鮮やかな映画をちらと見てしまい、お日様のかがやく色とりどりの昼の世界にあこがれます。 運よく絵の具が落ちていたので、ルーファスは、自分の黒い羽に好きな色をどんどんぬりたくり、おひさまのもとに飛び立ちます・・・。
ところが、奇抜な色彩のルーファスを見た人々はびっくりして、なんと鉄砲で打ち落としてしまうのです(!) ルーファスが落ちたところは有名なちょうちょ収集家のタータロ先生の庭。先生ははじめルーファスを珍しいちょうちょだと思ったのですが、すぐにそうではないとわかり、ルーファスの絵の具を洗い流し、傷を消毒してくれます。 ショウドク、という言葉、何かとおてんばで小キズの絶えない3姉妹の興味を惹いたようで、なかなか熱心に見入っておりました。 ハハはここからの場面が好き。 ほのぼのとした結末は、いちばん望ましいかかわりに落ち着いたのではないかな、と、にっこりしてしまいます。
小さいながらも、トミー・ウンゲラーさんのひきしまった黒、青、華やかな赤紫色、黄色・・・と、魅力的な色彩が楽しめる、愛らしい絵本。 原書は『Rufus』。初版はアメリカで1961年、邦訳の翻訳は1980年のドイツ語版によるものだそうです。(「版型と絵の一部がちがう」そうです。) (『こうもりのルーファス』著者紹介より)
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『ぼうし』 トミー・ウンゲラーさく たむらりゅういちやく あそうくみやく 評論社 1997年 2006年改訂版
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きまぐれな風でぼうしを手に入れた退役軍人・ベニト・バドグリオの、とんとん拍子の出世物語を中心に、不思議なぼうしの軌跡を描いたシニカルな絵本。 熟成されたワインのような色合いの軽やかなイラストと、口当たりのいいテキストで、読めば読むほど気持ちのよく酔っていくような、とっておきの絵本。祝・復刊。
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むかし、ぼうしがひとつあった。黒いりっぱなシルク・ハット。 ぼうしはお金持ちの頭の上で、しあわせにくらしていたが、ある日オープンカーから風にふきとばされて、くるくるくるり、とうとう、いちもんなしの退役軍人・ベニト・バドグリオのはげ頭にぽんとちゃくりくした。
なんと、ぼうしはまるで生きているみたい、ベニトの命令に従って、踊ったり飛んだり、危機一髪の場面だって見事な救出劇を演じたりするではないか!
ふしぎなぼうしのおかげで、ベニト・バドグリオはいまや立派な紳士、むかしとった杵柄で、いさましく事件の現場へ駆けつける・・・。
トミー・ウンゲラーさんのシニカルな傑作絵本、待望の復刊! しゃれたぼうしの活躍も粋ならば、ちょいといかめしい言葉を交えた口調のよいテキストも粋、ユーモラスな線画にそえられた渋めの色使いも粋、何もかもが伊達ではなく、誇り高さの中にも遊び心をのぞかせて、なんて軽快、なんて痛快。 富も名誉も希望も正義も、ナンセンスも皮肉も風刺も純愛も茶番も、すべてがいい塩梅につかっていて、ひきしまった味わい。 ぼうしとベニトの前で次々と繰り広げられる人様の危機を、機転をきかせて見事に救い出す爽快さ、とんとん拍子にのぼりつめていくベニトを一緒に見守る痛快さ、そして・・・美しい手品を見せられたような、鮮やかな幕切れ。 天晴れ。 風のむくまま気のむくまま、何度でも読み返して拍手をおくりたい古典絵本。 読みやすく美しくなっての再登場なのですって。祝・復刊。
原書は『THE HAT』1970 Diogenes Verlag AG.,Zurichとあります。
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