■トマス・ディ・グラッシャーさんの絵本 |
Thomas Di Grazia イラストレーター。手がけた挿絵作品には、シャーロット・ゾロトウさんテキストの絵本『Hold My Hand』(1972)の他、『The Lost Doll』(1972)、『The Merrymaker』(1975)、『Holiday Tales of Sholom Aleichem』(1979)などがある。 |
『ぶらんこをこいだら・・・』 |
別頁≫シャーロット・ゾロトウさんの絵本 |
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![『ぶらんこをこいだら・・・』偕成社](thomasdiburankowokoidara.jpg)
『ぶらんこを こいだら・・・』 フラン・マヌシュキン作 トマス・ディ・グラッシャー絵 まつながふみこやく 偕成社 1982年 品切れ
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女の子がひとりでブランコをこいでいると、空から雲が落ちてきました。 「なにしてるの?頭のうえで」 「やすんでるのさ」 「わたし、こいであげる」 女の子はぶらんこをこぎます。 きぃー、こぅー、 ・・・。
女の子と雲と月と太陽と星の、ひとときブランコでたわむれる、愛らしくて少しメランコリックなメルヘン絵本。 シンプルで不思議な水色の空間を女の子とリズミカルにブランコでゆれながら、ページをめくるごとに増えていく空の仲間たちを目で楽しみ、くりかえすやさしいおしゃべりを耳で楽しんで、子どもの心をとらえるおだやかな絵本。おやすみまえにもぴったり。
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女の子がひとりでブランコをこいでいると、空から雲が女の子の頭の上に落ちてきました! 「なにしてるの?あたまのうえで」 女の子が問うと、 「やすんでるのさ」 と、ふわふわのくもは答えます。 「わたし、こいであげる」 女の子はぶらんこをこぎます。 きぃー、こぅー、
女の子とくもが静かにブランコをこいでいると、つづいて、空から落っこちてきたのはおひさまでした! 女の子は頭の上に雲とお日さまを乗せて、ブランコをこぎます。 きぃー、こぅー、
つづいてやってきたのは・・・
セピア調のえんぴつの線と点描で、ふっくらと描かれたようなシンプルな線画に、印刷の色指定で塗り分けられたようなシンプルな色使い。その色は、女の子のワンピースの赤色と、背景の水色のみ、そのほかは白抜き、というあっさりした感じ(ちょうど表紙のような感じです)。それでも豊かな奥行きを感じるのは、雲や女の子の髪の毛に施されている細かい点描や、くるくるとよく動く愛らしい女の子の表情、それから大胆でリズミカルなブランコの動き、でしょうか。
その背景の少しくすんだ水色ですが、薄く明るめの空色からはじまって、物語の進行とともに、だんだん濃い青色になっていきます。 女の子の不思議なブランコの素敵なおきゃくさまがどんどん増えていって、女の子のブランコのこぐ勢いもどんどん増していって、そして頂点に達したその後は・・・という、少し切なくほんのり甘く満ち足りた幕切れを、静かにひきたてるような、濃い青色だと感じます。 まるで、明かりを静かに落として、おやすみなさい、といっているみたい。
ブランコが大好きな子どもの夢を、温かくはぐくむ優しい絵本。 おひさま、つき、ほし、くも、と、空の仲間たちが一同勢ぞろいして、はじめからおわりまで和やかに穏やかに物語がつむがれます。
原書は『SWINGING AND SWINGING』Harper&Row,Publisers,U.S.A.、1976、とあります。 テキストの作者 Fran Manushkinさんは、元編集者でもあり、ニューヨークに住む人気絵本作家だそうで、ディズニーの『Walt Disney's: 101 Dalmatians』などのテキストも手がけているようです。 イラストのThomas Di Grazia さんは、『Hold My Hand』(テキスト、シャーロット・ゾロトウ)の挿絵など、いろいろな作家の作品の挿絵を手がけているようです。
この絵本の最初のページの献辞にも、 シャーロット・ゾロトウへ と、あります。
シャーロット・ゾロトウさんに捧げられた、女の子と雲と月と太陽と星の、ひとときブランコでたわむれる、愛らしくて少しメランコリックなメルヘン絵本。 おやすみ前にゆっくり読んだら、穏やかな眠りにつつまれそう。
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