■タチヤーナ・マーブリナさんの絵本
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タチヤーナ・マーブリナ(1900-1996)・・・ロシアの画家。魔法昔話や創作メルヘンの挿絵を得意とし、1975年にA.プーシキンの『昔話集』でソ連邦国家賞を受賞。1976年に国際アンデルセン(画家)賞を受賞。 『メルヘン・アルファベット』(ネット武蔵野)著者紹介より |
『メルヘン・アルファベット ロシア昔話』 |
≫別頁『銀色の馬』 |
『メルヘン・アルファベット ロシア昔話』ネット武蔵野
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『メルヘン・アルファベット ロシア昔話』 タチヤーナ・マーヴリナ作 田中友子訳・文 ネット武蔵野 2005年
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タチヤーナ・マーブリナさんの描く情熱のロシア文字のアルファベットを舞台に、ロシアの昔話たちが炎のようによみがえります。 贅沢な画家、贅沢な素材、贅沢な印刷、贅沢な製本・・・何もかもが豪華で華麗なアルファベット絵本、そしてフォークロア絵本の傑作。 ロシア昔話のてほどきとして、ひとつひとつ解説もおさめられた、ロシア昔話イラスト百科。
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すばらしいです。 渾身の作。
お値段も2190円+税金と、絵本にしては高めなのですが、ページ数も64ページと、少し厚め、表紙は金色、開いた遊びのページは赤い紙、本文迫力のイラストにも惜しげもなく金色・銀色が施され、豪華そのもの、贅沢きわまりない丁寧なつくり!
原書は、『Сказочная азбука』главное управление "гознак" 1969、とあります。しかもその文字まで、マーヴリナさんの筆による美しい飾り文字になっていて、すでに絵の一部に溶け込んでいるのです
本文は、圧倒的、美。 文字という一風変わった自由な形のキャンパスに、みずみずしくのびのびと筆を自在に走らせた、水もしたたるような美しい物語。 マーヴリナさんの得意とする、ロシアの魔法昔話やおとぎばなしの主人公やモチーフが、生き生きとアルファベットの文字の枠の中に収められているのです。 それは小さな絵巻みたい。
しかも、目にもあでやかな、その描き文字の下には、出典となるのロシア昔話をあまり知らない日本の読者のために、訳者の田中友子さん(「カスチョールの会」の「ロシアグラフィックコーナー」の代表者でいらっしゃいます。関連絵本はこちらとこちらにも)がひとことを加えた絶妙な訳文。
さらに、ロシア文字やロシア昔話に、なじみの薄い日本の読者のために、田中友子さんが、巻末にそれぞれのあらすじをつけ、丁寧な詳しい解説を施してくださっているのです! いたれり、つくせりとはこのこと!
まずひととおり最初からマーヴリナさんの炎のように情熱的な作品をしかと愛でた後、解説を読み、ロシア昔話に少しなじんだ上で、もう一度最初から、そのお話のあふれてくるようなアルファベットをつぶさに眺めると・・・さらに輝きがますようです。 ロシアの昔話が、大胆で自由闊達なアルファベットの中で、ふたたび生命を吹き込まれ、生き生きと目の前で物語を繰り広げてくれるような、そんな美しい錯覚にとらわれます。
とにかく、なにもかもすごい本です。 ぜひ、図書館などでお確かめください。

「・・・40余りの昔話やおとぎばなしからとった、さまざまなイメージがずらりと並ぶ『メルヘン・アルファベット』は、ロシア昔話・おとぎばなしのパノラマ、図鑑、カタログといってもよいでしょう。無限に広がる色鮮やかなロシアおとぎばなしの世界が、一望のもとに見渡せるのです。また、優れた画家であるタチヤーナ・マーヴリナが描き、高い印刷技術を誇るモスクワの造幣局で特別に印刷された原本および、それを忠実に再現した本書に、美術書としての価値があることは言うまでもありません」
・・・『メルヘン・アルファベット』田中友子さんの解説より
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