■たごもりのりこさんの絵本
1972年東京都生まれ。図書館員、ちんどん屋、骨董屋をへて、イラストレーターに。『もののけ交錯絵巻』『ごっほんえっへん』(以上、「おおきなポケット」福音館書店)、『なぞなぞごてん』(鈴木出版)オンライン書店ビーケーワン:なぞなぞごてんなど。
(『ばけばけ町のべろろんまつり』岩崎書店 著者紹介 より)
『ばけばけ町へおひっこし』*『ばけばけ町のべろろんまつり』*『うちゅういちのタコさんた』

 
『ばけばけ町へおひっこし』岩崎書店

 

『ばけばけ町へ
おひっこし』
作・絵たごもりのりこ
岩崎書店
2004年

鮮明で妖艶で、見つめられたらどきっとしそうなイラストと、明快で摩訶不思議なテキストが楽しい絵本。
きっちり描きぬかれたイラストのすみずみまで、お楽しみがてんこ盛り。
あまり物怖じしないぼくの一家や、きさくな町の人々も魅力いっぱいで、遊びに行ってみたいなあ。

オンライン書店ビーケーワン:ばけばけ町へおひっこし

ばけばけ町にとってもいいいえがあって、ぼくんちこれからおひっこし。
「たこのまーくのばけばけひっこしセンターでーす」
って、なんだかトラックもあやしい感じだけど・・・やっとばけばけ町についたら、ぼくらがすむはずのいえがなかったんだ!
おとなりさんのねこたさんがでてきて、おしえてくれた。
「あのね、おたくのいえならついさっきおでかけになったようですよ」
いえがでかけた?いったいどこに?
ぼくはいえをさがしに、ねこたさんのむすめのとらこちゃんの案内で町にでかけた・・・。

愉快な愉快なばけばけ町のお話、でた!
はっきりとした色、ぱっちりとしたお目目、妖艶というか、妖しいというか、艶があって、目に見えるものだけでなく見えないはずのものまでもはつらつと輝いている感じ。
細部まできっちりぎっちり描きこんでいるなんでもありの雰囲気、ちょっとレトロなムードが、掘り出し物市みたいにわくわくしてしまいます!

どこか毒キノコを思わせるような、ひっこし先の真っ赤な屋根の家もおしゃれで妖しくてなにやら胸がざわざわする感じですが、その真っ赤な家がお出かけなんて、奇想天外な着想がまたたまりません。
その家を探しながら、ページを進むほどに、もうこれ以上ないくらいタダゴトナラヌ雰囲気が迫ってきて、モノノケちっくで、ぞくぞくします。こういうの、大好き!
タイトルと表紙から期待するとおりの極楽的元気のよさ、明るいおどろおどろしさが、思う存分つまっています。
ちびっこもお楽しみの、かくれんぼ探しや、思わず指差し確認しないではいられない、ばけばけ町地図なども盛り込まれていて、ほくほくお買い得感いっぱい。

続編に期待がかかりそうな結末も、ほのぼのと妖しくて、いいですね〜!

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『ばけばけ町のべろろんまつり』岩崎書店

『ばけばけ町の
べろろんまつり』
作・絵 たごもりのりこ
岩崎書店
2005年

年に一度のばけばけ町のべろろんまつりによっといで。
おなじみのばけばけ町の住人みんなで力をあわせて、祭りを盛り上げている熱気が、心地よく絵本から伝わってきます。
カラフルでエネルギッシュな絵のすみずみまで、見逃せないお楽しみ。

オンライン書店ビーケーワン:ばけばけ町のべろろんまつり

あんぐりじぞうが
あ〜んぐり、べろろんと、
おそなえものをたべる季節になったら、
年に一度のばけばけ町のべろろんまつりのはじまりです!

けんちゃんもとらこちゃんも、はりきってゆかたに着替えて・・・。

こっくりクリーミーな空の色、土の色に、パレットから飛び出たような緑色、赤色が妖艶なハーモニーをかもし出す、エネルギッシュな絵が、一度みたら忘れられない鮮やかさ。
シリーズ一冊借りたら、すみずみまで看破して、全冊読破せずにはいられない魔的な引力を持っていますよね。

かっちりとした輪郭で描かれた愛らしい登場人物たちは、前作『ばけばけ町へおひっこし(岩崎書店)でもちょこっと登場した、あのおばけ、この妖怪、あの生き物、このモノノケ、あのおじさん、このおばさんと、嬉しくなってしまうような一致をみせていて、それぞれが頼もしく自分たちの祭りを盛り上げています。ばけばけ町のみんなは、絵本を読む子どもたちと同じくらい、自分たちの町が大好きなのですね!
さらに、初登場の面々もにぎやかに加わって、これからのシリーズ展開が待ち遠しくなるほど。

登場人物の豊富さ、明るいマガマガシサも魅力的ですが、背景の家の中のしつらえや、商店街や、祭りの夜店のいならぶ様子が、どこか昭和的でなつかしくて、子どもだけでなく大人の心も弾む感じです。

おばけがこわいちびっこも大丈夫。おばけと友だちになりたいちびっこも、誰と仲良くなろうか、迷うくらいてんこもり。祭り好きなら腕まくりして飛び込みたくなるにぎやかさ。夜店好きなら、よりどりみどりで、帰りたくなくなってしまうかも。

祭りの後の余韻もほのぼの、ばけばけ町のべろろんまつりをまるごと味わえる絵本。

ばけばけ町のシリーズには、他のシリーズでも登場しているうわさのどろぼう・「どろんちゅうのすけ」一家が、チーズケーキをねらって大騒ぎを巻き起こす、『ばけばけ町でどろんちゅう』(岩崎書店)オンライン書店ビーケーワン:ばけばけ町でどろんちゅうがあります。

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『うちゅういちのタコさんた』国土社

『うちゅういちの
タコ
さんた』
北川チハル・作
たごもりのりこ・絵
国土社
2006年

おとうちゃんの夢は、うちゅういちのタコやきや。
名前が三太だから、店の名前もタコさんた。
サンタクロースのはなしなら、うちはかんけいないけどね・・・。

なあ、おとうちゃん、なんでうちには、サンタクロースがきてくれへんの?

個性的な家族がとても魅力的な、ほっかほかの人情物語。
いつもと一味違うさんたの物語をご一緒に。

オンライン書店ビーケーワン:うちゅういちのタコさんた

たまこのいえはタコやきや、「タコさんた」。
さんたはさんたでも、サンタクロースのことちゃうで。おとうちゃんのなまえが、「三太」やから、タコやきの「タコ」とくっつけて、みせのなまえにしてるねん。
はなまるどおりで、いちばんちぃちゃいみせやのに、タコにんぎょうでめだってる。
なんでうちには、へんてこなタコにんぎょうがあるんやろ。

おとうちゃんは、
「めざせ!うちゅういちのタコやきや!」
なんてむねをそらすけど。

きょうはクリスマスのまえの日。
となりのくつやのやっくんのいえには、よいこにしてたら、サンタさんがくるんだって。
うちにはいっぺんもきたことないけど・・・。

思い切っておとうちゃん、おかあちゃんに話してみたら・・・。

いきのいい関西弁の楽しい、下町の元気な女の子の、あつあつの家族の物語。
いつも心に夢を持ち、家族のために頑張っているタコやきやのおとうちゃんと、大好きな夜間トラックの運転手の仕事で輝いているおかあちゃん、そんな個性的な二人が大好きで、元気いっぱいの女の子、たまこ。
でもそろそろ、お店のへんてこなタコにんぎょうが、気になりだす微妙なおとしごろ突入なのですよね・・・。

それに、たまこの家には、いっぺんだって、サンタクロースがきたことがないんです。
サンタクロースって、ほんまにおるん?

そんな、ともすれば難しい問題に、おとうちゃんとおかあちゃんは何て答えるんでしょう。
答えようにも、おとうちゃんだって、子どもの頃に、サンタクロースにプレゼントをもらったことなんて一度もないんです。
でもね・・・。

やわらかい関西弁で、時にユーモラスに茶化しながら、ときに鋭くつっこみながら、サンタクロースが一度も訪れたことのないたまこの家にとって、いちばん大切なものを、真正面から描いた物語。
これからますますお年頃のたまこちゃんですが、大好きなおとうちゃんとおかあちゃんという、人生の大先輩に囲まれて、でっかい夢を追い続ける二人の後ろ姿をしっかり見つめながら、広い世界を少しずつ知っていったなら、きっとうちゅういちの女の子になれますよね!

魅力的で頼もしい家族の愉快なイラストは、あつあつほわほわのイメージそのままで、元気がもりもりわいてきそう。
物語も絵も元気いっぱい、抜群に面白くて楽しくて、文章量的にも低学年からばっちり。サンタクロースの存在もふくめて、なにかと微妙な年齢にさしかかった子どもたちにもぴったり。

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