『どうぶつにふくをきせてはいけません』朔北社

『どうぶつに
ふくを
きせてはいけません』

ジュディ・パレット文
ロン・パレット絵
ふしみみさを訳
朔北社
2005年

「どうぶつにふくをきせてはいけません」
そのわけは?

格調高く精緻に描きこまれた動物たちが、几帳面にキチキチに洋服を着こんで精一杯、おめかし・おすまし。その生真面目さと、ちぐはぐな洋服姿のなんとまあ哀愁漂うお気の毒な様・・・笑えます。
たとえ服を着ても隠せない、動物本来の姿の、心の叫びが、チクチク聞こえてきそうな絵本。

表紙画像のころころつんつんしたお茶目な動物は、ヤマアラシ。

「どうぶつにふくをきせてはいけません。
なぜなら・・・

ヤマアラシはとんでもないことになるし
オンライン書店ビーケーワン:どうぶつにふくをきせてはいけません 

ラクダは・・・」

ハイ。
どうぶつにふくをきせてしまったらどうなるか、の、見本帳のような、楽しくて可笑しい絵本。
きっぱりと美しい精緻なイラストと、きりりと短いテキストで、鏡のように一目瞭然。

本当にフリーハンドで描いたのかと思うほど精密で、何か法則でもありそうなほど厳密なイラストの線と線の間隔から、とてもクラシカルで格調高い雰囲気がただよいます。

動物たちのあどけない瞳からは無邪気な愛らしさがただよい、丹念に描かれた動物たちのいっちょうらのお召し物のナレノハテからは、とにかくきっちりと襟をあわせて着こなした無理矢理感と、だからいわんこっちゃない的無常観がないまぜになって、なんとも可笑しみがこみあげます。
それでいて、妙にどっしりとはちきれそうな、洋服の下の充足感や、中身のつまったハムのような充実感が、おさえてもおさえきれない動物たちの心の叫びをあらわしているようで、チクチクと、どこかイタガユイ笑いが誘われます。

大真面目にお洋服に自分をつめこんだ動物たちが、身をもって、絵でもって示してくれているちぐはぐなおすまし顔は、まさしく、

オンライン書店ビーケーワン:どうぶつにふくをきせてはいけません 「どうぶつにふくをきせてはいけません」。

もしもし子どもたちが、「なんで?どうぶつにふくをきせてはいけないの?」と聞いたなら、この絵本で決まり。
つぎつぎどしどしと、手を変え品を変え洋服を変えて、どっしりと現れる動物たちのお洋服姿に、どっきりしながら、笑いながら答えをかみしめてください。

原書は『Animals should definitely not wear clothing.』、初版は1970年、アメリカではロングセラーだそうです。
アマゾン洋書ではこちらなど。↓他にも、さまざまな版型がでていました。

『Animals Should Definitely
Not Wear Clothing』

Aladdin Paperbacks

↑このアマゾン洋書は、中身ページ一部を見ることができます。

『Animals Should Definitely
Not Act Like People』

Aladdin Paperbacks

↑このアマゾン洋書『Animals Should Definitely Not Act Like People』は、・・・もしかすると続編?それとも、表紙違い?パンダのイラストは、『どうぶつにふくをきせてはいけません』の本文にはないものです。姉妹編があるなら、もっともっと見てみたいですね!

余談ですが、この絵本の表紙のやぶれかぶれ・ヤマアラシくんは、表紙、中表紙、本文最初、(裏表紙)、と、すべて異なるイラストで繰り返し登場しているので、とびきり作者のお気に入りなのかもしれません。なんとも愛らしく、可笑しさと、インスピレーションのこみあげるようなイラストですよね。

非日常的なありえなさをまことしやかに生真面目に描く、絵本ならではのやり方で、見事に真実に迫った絵本。

よろしければ図書館などでお読みになってくださいね。

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