■新読書社・プログレス出版所(モスクワ)・ラードガ出版所(モスクワ)

『ソビエトの子どもの本』シリーズ2
チャルーシン家の動物絵本たち

新読書社と当時のプログレス出版所(モスクワ)、あるいは当時のラードガ出版所(モスクワ)の共同出版として発行されました。製本も紙質も印刷も、当時のソビエトの香りを伝えるもので、今より技術的には劣りますが、とてもレトロで素朴なぬくもりがあります。
当時と現代のさまざまな背景から再販は困難だと思われますので、もし図書館などでごらんになり、お気に召しましたら、状態や在庫など、直接版元の新読書社さんか、ネット書店・プレシャスブックスさん、オンライン書店海ねこさんなどにお問い合わせくださいね。在庫僅少、ともうかがっています!

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『どうぶつのこどもたち』*『どうぶつのちびちゃん』*『どうぶつのこどもたち』(岩波書店)*『はじめてのどうぶつえほん』*『子ねこのチュッパが、とりをねらわないわけ』*『わんぱくすずめのチック』

≫別頁*『北の森の十二ヶ月 上』*『北の森の十二ヶ月 下』*『もりのてぶくろ』*『おしゃべりなもり』

 
■『どうぶつのこどもたち』新読書社・ラードガ出版所

 

『どうぶつのこどもたち』新読書社・ラードガ出版所

オンライン書店ビーケーワン:どうぶつのこどもたち 『どうぶつのこどもたち』は、現在ネット書店などでも購入可能です。

『どうぶつの
こどもたち』

新読書社・
ラードガ出版所
1985年
税込価格1,050円
(本体価格1,000円)

1.「どうぶつえん」
サムイル・マルシャーク文
チャルーシン絵(表紙の絵)
かばさわたかこ訳
動物園で暮らす動物たちを親しみをこめてうたった小さな詩が、「がちょうのこ」「ぞうのぼうや」「きりんくん」など17編、それぞれの動物のしっとりしたイラストとともにおさめられています。
岩波書店さんの「おりのなかのこども」と、同じテキストを元にしたものと思われますが、原書は同じ版ではないと思われ、抜粋されている詩がいくらか異なり、それぞれのイラストも、動物たちのポーズや大きさなど少しずつ異なっています。
動物たちの、ものいいたげな澄んだ瞳と、落ち着いた色調がとても美しく、動物への深い愛情のこめられた心に残るイラストで、岩波書店版とくらべっこするのもまた楽し!ですね。
2.「あばれんぼうのこぐまのおはなし」
アグニヤ・バルドー作
ウラジミール・ステーエフ絵
ばばともこ訳

生き生きとした楽しい線のイラストで、わがままできかんぼうで両親をこまらせてばかりの、わんぱくこぐまちゃんのお話を描いているのですが、実はこわいしつけ絵本とも言えます。日本の作品にはないようなちょっと異色のストーリー、という感じがします。

みんなのなかに、こんなあわれなこぐまちゃんみたいな子どもは、いないよね?

3.「いっち、に、さん・・・」
ラープチェフ文と絵
福井研介訳

少し拙い感じの、あっさりした愛らしいイラスト。
ロシアの豊かな自然と、子ども時代から詩を愛し大切にするロシアの人々の気持ちが垣間見えるような作品。

原文はきっと韻を踏んでいて、声に出して読むとさぞ気持ちいいんだろうな、と思います。

『どうぶつのこどもたち』新読書社・ラードガ出版所

1冊の絵本の中に、それぞれちがう持ち味の、動物たちのお話が、3作品もおさめられているので、いろいろと楽しめます。

なかでも、静かなチャルーシンさんのイラストは、眺めているだけで穏やかな気持になり、繰り返しそっと開いてみたくなります。

新読書社版『どうぶつのこどもたち』の三番目におさめられている作品「いっち、に、さん・・・」の作者、ラープチェフさんの絵本には、もう一冊『どうぶつのちびちゃん』という作品が、新読書社さんより出版されています。
こちらも、ラープチェフさんの描く、あどけなく少し拙い感じのする明るいタッチで、愛らしい動物たちのしぐさがいくつも描かれている小さな詩集のような感じの絵本です。

 

『どうぶつのちびちゃん』ラプチェフさく・え おちあいかこやく 新読書社・ラードガ出版所

オンライン書店ビーケーワン:どうぶつのちびちゃん

『どうぶつの
ちびちゃん』
ラプチェフさく・え
おちあいかこやく
新読書社・
ラードガ出版所
1983年
税込価格525円
(本体価格500円)

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■『どうぶつのこどもたち』石井桃子訳 岩波書店 品切れ

オンライン書店ビーケーワン:どうぶつのこどもたち

ちなみに、岩波書店の『どうぶつのこどもたち』は、画家の異なる3作品がおさめられていて、こちらもしっとりと味わい深いものになっています。

いつのまにかアマゾンなどでも品切れのようですね・・・。

『どうぶつの
こどもたち』
おはなし サムイル・マルシャーク
石井桃子 訳・編
岩波書店
1954年

1.「おりのなかのこども」
サムイル・マルシャーク文
エブゲーニィ・チャルーシン絵

動物園の動物たちを、やさしく見つめた子どものための美しい詩に、チャルーシンさんがしぐさも愛らしい動物のイラストを添えた静かな作品。
「がちょう」(表紙のイラスト)「ぞう」「きりん」など14編。

2.「めんどりと十ぱのあひるのこ」
サムイル・マルシャーク文
ウラジミール・レーベデフ絵

ロシア・アバンギャルドを代表する画家でもあったレーベデフさんの後期のイラスト。時を経てインクがにじみ沈んだ感じの印刷もあいまって、ゆるゆるとなつかしい感じです。
ねずみに奪われた自分のたまごの代わりに、あひるのたまごをもらって大事にあたためたかあさんめんどりと、生まれた十羽のあひるのこの、愛らしくほほえましい物語。かいがいしく世話を焼き、守ろうとするめんどりかあさんですが、子どもはあひる、池へと勝手に入り、ついにはねこに狙われます!そして・・・。
親子の愛情と絆を、ほのぼのとしたユーモアと、静かで美しい絵でやさしくうたった作品。

3.「ばかなこねずみ」
サムイル・マルシャーク文
ウラジミール・レーベデフ絵

耳に心地よいうたのようなテキストと、ほんのり物静かなイラストで、なかなかおやすみできないわがままな子ねずみのおろかな物語を描きます。
「かあさんの声はきいきい声だから、誰かおもりを探してきて」と子ねずみに言われて、おろおろするかあさんねずみは、
「あひるのおばさんきてください。こどもをねかしてくださいな。」
と、次々と生き物たちに子守唄を頼むのですが、どの声も子ねずみの気に入りません。
とうとう最後にやってきたのは、ねこのおばさん。ところがこのねこのにゃおにゃお声の歌は、とても子ねずみの気に入って・・・。

かつて『おひげのとらねこちゃん 』(童心社 品切れ)というマルシャークさんとレーベデフさんのコンビの詩集の邦訳が出版されていたのですが、こちらにも、「おばかさんのこねずみのおはなし」と、さらにそれとは対照的な「りこうなねずみのおはなし」、などなどがおさめられています。

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■『はじめてのどうぶつえほん』新読書社・ラードガ出版所

『はじめてのどうぶつえほん』エブゲーニィ・チャルーシン文 ニキータ・チャルーシン絵 佐伯靖子訳 新読書社・ラードガ出版所

『はじめてのどうぶつ
えほん』
エブゲーニィ・チャルーシン文
ニキータ・チャルーシン絵
佐伯靖子訳
新読書社・
ラードガ出版所
1991年
税込価格1,223円
(本体価格1,165円)

オンライン書店ビーケーワン:はじめてのどうぶつえほん 

「あつい国とさむい国のどうぶつ」
「森のなかで」
「家畜たち」

と題された3章に分かれています。
世界中のさまざまな動物たち、身近な森や家の周りの動物たちが、親しみを込めて子どもたちに話しかけるような短いテキストと、どこかわび、さびを感じるような趣のあるイラストで、丁寧に紹介されている動物絵本です。

『はじめてのどうぶつえほん』エブゲーニィ・チャルーシン文 ニキータ・チャルーシン絵 佐伯靖子訳 新読書社・ラードガ出版所

世界的に有名な動物画家のエブゲーニィ・チャルーシンさんのテキストに、息子のニキータ・チャルーシンさんがイラストを添えた、動物たちへの愛情あふれる絵本。

絵筆の才能というのは、遺伝で伝えられるものなのでしょうね、チャルーシン家に脈々と流れる芸術的才能には脱帽で、本当に言葉もないくらい感動です。

「・・・チャルーシン家の伝統とは、老舗のもっている良さに似ている。それは本物なのだ。」
カスチョール」19号「動物と自然を愛した画家 E.チャルーシン(1901-1965)」田中知子さんの論文より。
(「カスチョール」は、ロシア児童文学の研究・紹介を行っている同名の会の発行する情報冊子の名前です。ロシア児童文学に関心のある方はぜひ)

ニキータ・チャルーシンさん(1934-2000)は惜しくも亡くなられましたが、現在ではその娘のナターリヤ・チャルーシナさんが、絵本画家として活躍中です。邦訳には、日本の子どもたちのために描きおろしてくださった作品『おしゃべりなもり』(福音館書店)オンライン書店ビーケーワン:おしゃべりなもりなどがあります。

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■『子ねこのチュッパが、とりをねらわないわけ』新読書社・ラードガ出版所

『子ねこのチュッパがとりをねらわないわけ』エブゲーニィ・チャルーシン文と絵 松谷さやか訳  新読書社・ラードガ出版所

『子ねこのチュッパが、
とりをねらわないわけ』
エブゲーニィ・チャルーシン文と絵
松谷さやか訳
新読書社・ラードガ出版所
1981年
税込価格420円
(本体価格400円)

オンライン書店ビーケーワン:子ねこのチュッパが、とりをねらわないわけ
チュッパは、とてもおどろいたり、なにかふしぎなものとか、おもしろいものにきがつくと、くちびるをぴくぴくさせて、
「チュプ、チュプ、チュプ、チュプ!」「つかまえるぞ!さらっちゃうぞ!からかってやるぞ!」と、いう子ねこです。
好奇心いっぱいで目の大きな愛らしい子ねこのチュッパの、ほほえましい毎日を描いた小さな物語が、3編おさめられています。

1.こねこのチュッパ
ある日チュッパが、灰色の小鳥をつ狙ったお話。まだまだぶきっちょなチュッパに、うまくつかまえられたかな?
2.あかちゃんにされたチュッパ
チュッパはおかあさんにぴしゃりとぶたれました。おかあさんのお腹には新しい子ねこがいるのです。もう大きいチュッパにはかまってもらえません。ところが、生まれた子ねこたちを、誰かがみんな連れて行ってしまって・・・。
生まれたての子ねこの身代わりをさせられるチュッパを描きながら、ねこの習性についても知ることが出来ます。いままでとすっかり勝手が違って、とまどうチュッパの表情が愛くるしいお話。
3.チュッパがとりをねらわないわけ
チュッパがすずめたちを狙いますが、すずめたちは逆に大勢よってきて、ちゅんちゅんチュッパに騒ぎ立てます。そのやかましさに驚いて逃げ出したチュッパは、今度は別の鳥をみつけて・・・。

『子ねこのチュッパがとりをねらわないわけ』エブゲーニィ・チャルーシン文と絵 松谷さやか訳  新読書社・ラードガ出版所

文章も絵も、動物画家のエブゲーニィ・チャルーシンさんによる絵本です。
墨絵を思わせるような色調と濃淡の味わい深いイラストで、愛らしい子ねこのチュッパのひとコマひとコマを、丁寧にいつくしんで描いています。

好奇心いっぱいの子どものような、子ねこの習性や、子ねこをとりまく生き物たちの行動にも、いつのまにか親しめる、はじめての動物絵本。

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■『わんぱくすずめのチック』新読書社・ラードガ出版所

『わんぱくすずめのチック』  ビアンキ作 チャルーシン絵 おちあいかこ・あさひみちこ訳 新読書社・ラードガ出版所

『わんぱくすずめのチック』
ビアンキ作
チャルーシン絵
おちあいかこ
あさひみちこ訳
新読書社・ラードガ出版所
1983年
税込価格525円
(本体価格500円)

オンライン書店ビーケーワン:わんぱくすずめのチック
チックはあたまの赤い若者ものすずめです。ひとつになった、たんじょう日に、かの女のチリカとけっこんして、一しょにくらすことにしました。

はじめにチックが巣作りに選んだのは、既に他の仲間が住んでいる木の穴。ケンカが大好きないさましいチックは、追い出そうと戦いますが、すぐに年寄りすずめたちがやってきて、大騒ぎになります。生まれ故郷の庭にはもういられなくなったチックは、どこか新しい巣づくりの場所を求めて、チリカと二羽で飛び立ちます。

しばらく行くと、しげみの影にだれもいない木の物置小屋がありました。玄関の階段のところに、赤茶けたおす猫がいたのですが、勇敢なチックは気にせず、せっせと巣をつくります。
まもなくチリカは可愛いたまごを生んだのですが、あたためようとしたとき、茶色の猫の爪が屋根からのびてきて・・・。

いさましいわんぱくすずめのチックの家探しと、執念深い茶色の猫との勇敢な戦いを描く、自然の営みを楽しい読み物に仕立てた絵本。

『わんぱくすずめのチック』  ビアンキ作 チャルーシン絵 おちあいかこ・あさひみちこ訳 新読書社・ラードガ出版所

文章は動物作家のビアンキさん、絵は動物画家のチャルーシンさん(エブゲーニィ・チャルーシンさんでしょうか)。

二人の一流の動物作家の合作で、わんぱくすずめのいきいきとした行動や習性が、とても読み応えのある絵本になりました。
少し文章量は大目ですが、最後まではらはらどきどきする物語の展開に、チックがんばれと一息に読めてしまいそうです。

すずめのチックが主人公ですが、自然の中の鳥として描かれているので、鳥たちの身を守る知恵や、時に豊かな自然の厳しさ、はかなさも知ることが出来ます。

日本のすずめにとてもよく似たチックのふっくらしたイラストが、親しみと愛情を込めて描かれた、愛らしい絵本。

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新読書社さんのお問合せ先はこちら。

電話 03−3814−6791
FAX 03−3814−3097
今回画像の掲載許可をいただくに当たってメールアドレスを教えてくださいました。ご注文・お問い合わせなどは上記またはこちら

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