チックはあたまの赤い若者ものすずめです。ひとつになった、たんじょう日に、かの女のチリカとけっこんして、一しょにくらすことにしました。
はじめにチックが巣作りに選んだのは、既に他の仲間が住んでいる木の穴。ケンカが大好きないさましいチックは、追い出そうと戦いますが、すぐに年寄りすずめたちがやってきて、大騒ぎになります。生まれ故郷の庭にはもういられなくなったチックは、どこか新しい巣づくりの場所を求めて、チリカと二羽で飛び立ちます。
しばらく行くと、しげみの影にだれもいない木の物置小屋がありました。玄関の階段のところに、赤茶けたおす猫がいたのですが、勇敢なチックは気にせず、せっせと巣をつくります。 まもなくチリカは可愛いたまごを生んだのですが、あたためようとしたとき、茶色の猫の爪が屋根からのびてきて・・・。
いさましいわんぱくすずめのチックの家探しと、執念深い茶色の猫との勇敢な戦いを描く、自然の営みを楽しい読み物に仕立てた絵本。
|
文章は動物作家のビアンキさん、絵は動物画家のチャルーシンさん(エブゲーニィ・チャルーシンさんでしょうか)。
二人の一流の動物作家の合作で、わんぱくすずめのいきいきとした行動や習性が、とても読み応えのある絵本になりました。 少し文章量は大目ですが、最後まではらはらどきどきする物語の展開に、チックがんばれと一息に読めてしまいそうです。
すずめのチックが主人公ですが、自然の中の鳥として描かれているので、鳥たちの身を守る知恵や、時に豊かな自然の厳しさ、はかなさも知ることが出来ます。
日本のすずめにとてもよく似たチックのふっくらしたイラストが、親しみと愛情を込めて描かれた、愛らしい絵本。
|