おかあさんはマーシャをベッドいれました。そしてへやのあかりをけすと、おとなりへでかけていきました。 マーシャはよこになっていましたが、いつまでたっても、ねむくなりません。 (※余談ですが、子どもが子ども部屋で一人で眠る海外の作品には、ベッドへ入った後の、子どもだけの小さな冒険へと続く展開が豊富ですよね)
まくらの高さやふとんの重さもすっかりいやになったマーシャは、こっそりいやなベッドから抜け出して、用心しながら玄関のドアをあけて、とびはねながら駆け出しました。 「ああ おきているってたのしいな!」
門のところに犬のチャーフカがいて、「どうしておきているの?」とほえますが、マーシャがいやなベッドの話をすると、 「なんといってもいぬごやでねるのがいちばんだよ。さあ、ぼくのこやをかしてあげるよ!」
「まあ、おもしろそうね。」 マーシャはさっそく犬小屋に入ってみますが、マーシャにはちょっとせまくてきゅうくつ。 親切にほねを持ってきてくれたチャーフカに、 「ありがとう。いいおうちね。でも、わたしはここではねたくないわ」
そしてマーシャは、気を悪くしたチャーフカと別れて、めんどりのココのとりごやへ走っていきました。 ・・・。
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切りそろえた前髪もあどけない、ふっくらと愛らしいマーシャの、よりよい寝床を探して歩く、ほほえましい夜のお散歩の物語。
夜おとなしくベッドで眠るなんて、たいくつでつまらないと思っているマーシャは、そのことをベッドのせいにして、こっそり家から抜け出すことに成功して大喜び。 もっといいベッドはないかと、つぎつぎと出会う動物たちにきいてみるのですが、こんなおそくに外にいるもんじゃないよと、さりげなくたしなめてくれる親切な彼らの寝床は、あいにくマーシャにはしっくりこないものばかり。 素直にきっぱりと断るマーシャに、動物たちは少々おかんむり。
昔話の形式をふんだ、その繰り返しのリズムが心地よく、どこか月明かりに浮かぶ版画のような、やわらかく蒼いイラストが、気持を穏やかにしてくれます。
おやすみ前に読んだら、マーシャとともに、世界中でいちばんいいベッドにくるまれて、幸せな眠りにつけそうな絵本。
魅力的なイラストを描いたガリーナ・レーベジェワさんの、その他の作品もぜひ見てみたいです。
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