■シェル・リンギ(チェル・リンギィ)さんの絵本
Kjell Sorensen-Ringi 1939年スウェーデンのエーデボリに生まれる。イラストレーション、ポスターの分野でも活躍する絵本作家。 『夢をもたなかった人』『太陽と雲』(いずれも日本未訳)など、その絵本作品はいずれもシンプルな設定で深いメッセージを含んでいる。
(『しらないひと』講談社 表紙カバー裏見返し 著者紹介 より)
『しらないひと』

 

『しらないひと』講談社

『しらないひと』
シェル・リンギ/作
ふしみみさを/訳
講談社
2004年

平和な国に突然出現した巨大な足。顔も見えない知らない人と、平和的に交信することは可能でしょうか?
ならびやまとまりの美しい、整った愛らしい絵で、核心をついた、痛快な古典絵本。
復刊を待ち望んでいた一冊。

オンライン書店ビーケーワン:しらないひと

むかしあるところに、ひとりのおうさまがいた。
くにはへいわで、ひとびとはなかよくしあわせにくらしていた。

そこにあるひとつぜん、しらないひとがやってきた。
その顔も見えないくらい巨大な巨大なしらないひとの出現に、たちまちくにじゅうが大騒ぎになって・・・。

少し前に待望の復刊となった古典絵本。(あかね書房の旧刊は1984年、山下明生訳、表記チェル・リンギィ)
クレヨンで無心に描いたような、あどけないタッチの絵が魅力的。どっかり場面の真ん中にすえられた知らない人のはだしの足に対して、向かっていく王さまや兵隊たちの、連続するちっちゃな整列姿や、ちょこまかおろおろ動き回る姿が、ドミノや積み木並べみたいで、見ていて楽しくなってきます。

なにより、寓話的な物語がとてもシンプルで痛快。
王さまたちのどんな手段もなしのつぶてで、まったく動じていないかに思えた知らないひとですが、ついに最終兵器で攻撃されて、初めて見せた意外な反応にびっくり!
一見無邪気なタッチで単純化されて描かれた、目からウロコが落っこちるような見事な解決に、さっぱりと胸のすく思いと、そして振り返ると、どこかほろ苦いような気持ちも少し・・・。
顔の見えない相手だからこそ思いやり、相手の立場に立ち、相手の視点で考えてみる大切さを、シンプルで大胆な場面展開で、大人にも子どもにも明快に痛感させてくれる絵本。

原題は『THE STRANGER』 コピーライトは、1968 by Kjell Sorensen-Ringi とあります。(正確な表記ができていません、ごめんなさい)
シェル・リンギさんの未邦訳の作品には、
文も絵も手がけたものに、『The Winner』『The Sun and the Cloud 』『the Magic Stick』など、
Adelaide Holl さんとの作品に、『The parade』『My father and I』 『The man who had no dream
などがあるようです。


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