■レナード・ワイスガードさんの絵本
レナード・ワイスガード 1916年生まれ。アメリカの代表的な挿絵画家。マーガレットワイズ・ブラウン(筆名はゴールデン・マクドナルド)さんとのコンビの絵本『ちいさな島』(童話館出版)で、1947年コールデコット賞を受賞。
『あめがふるときちょうちょうはどこへ』*『ともだちできたかな?』*『きんのたまごのほん』

 

『あめがふるときちょうちょうはどこへ』(金の星社)

て。
藍色の美しい、レナード・ワイズガードさんのあの絵本、『あめがふるときちょうちょうはどこへ』 ( 金の星社 )。

あめがふるとき
ちょうちょうはどこへ

メイ・ゲアリック 文
レナード・ワイスガード 絵
岡部うた子 訳
金の星社
1974年

雨です。
静かな霧雨です。
木も花もみんなぬれそぼり、見るものすべてけぶっています。
雨音も吸い込まれるようなしっとりとしたほの暗い世界で、女の子は考えます。
この雨の中、ちょうちょうはどこへいくのかしら。虫や小鳥は?猫やあひるは?

見たことがあって、知っているものもあるけれど、まだ見たことのない、知らないものもあるのです。

女の子は考えをめぐらせます。
心地よい慈雨を窓辺で感じながら、ほお杖をついて、読者はいつしか小さな女の子になります。

藍色と黄色がこんなにもドラマチックでしっとりと美しいとりあわせだと、小さな女の子のようにはじめて気づいたとき、雨上がりの最後の一粒のように、きっと心打たれることでしょう。


原書は『WHERE DOES THE BUTTERFLY GO WHEN IT RAINS』 (McIntosh & Otis Inc.1961) と、あります。
私物は2002年第38刷とあります。そして初版はなんと1974年ですって! こんな素敵な絵本が、静かに版を重ね続けているなんて、とても心強く頼もしいかぎりですね。


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画像をクリックすると、セブンアンドワイ書店での詳細がご覧いただけます。

です。
静かな霧雨です。
木も花もみんなぬれそぼり、見るものすべてけぶっています。
雨音も吸い込まれるようなしっとりとしたほの暗い世界で、女の子は考えます。
この雨の中、ちょうちょうはどこへいくのかしら。虫や小鳥は?猫やあひるは?
見たことがあって、知っているものもあるけれど、まだ見たことのない、知らないものもあるのです。
女の子は考えをめぐらせます。

ラスト近くまで直接女の子が描かれてはいないので、女の子のやさしいつぶやきに誘われて、読者はいつのまにか小さな女の子になります。
窓辺で頬杖をつきつつ、昼なのにたそがれのような不思議な薄闇の世界をながめつつ、おおきな瞳で考えている小さな女の子。の横顔が浮かんできたのですが、みなさまはどうですか?

ちなみに3姉妹に読み聞かせたところ、
「あー、知ってる」
「えー、知らない」
「それ、こうだよ」
と、女の子の問いかけにいちいち反応、たびたび中断させられて、・・・詩情あふれるこの絵本の世界にひたりきるには、少しやかましかったようです(笑)。

特別なドラマはないけれど、リリカルで心地よいテキストと、藍色の微妙な濃淡のかすみがかった美しいイラストに、ラストへと続く黄色の挿し色がとても効果的に映えていて、大のお気に入りの一冊。ひたひたといつのまにか心に満ちてくる、静かな余韻がとても好き。
図書館などで、ぜひご覧になってくださいね。

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『ともだちできたかな?』岩崎書店 品切れ

アメリカの子どもの絵本の代表的作家の、マーガレット・ワイズ・ブラウン(1910-1952)さんのテキストに、彼女とたくさんのコンビ作品でも知られる著名な画家、レナード・ワイスガードさん(1916- )が、愛らしいイラストを添えた古典的絵本。

オンライン書店ビーケーワン:ともだち できたかな? 

『ともだち
できたかな?』
マーガレット・ワイズ・
ブラウン作
レナード・ワイスガード絵
各務三郎訳
岩崎書店
品切れ

とうさんはうさぎ、こどもはひよこ。なかのよい父子のとうさんうさぎが、ある日急に遠くまではねていきたくなりました。残ったひよこも、とことこおでかけ。
誰がひよこと遊んでくれるかな?
よちよちひよこの、可愛い散歩の始まりです。

物静かで落ち着いた2色のイラストと、つぎつぎと動物に出会う親しみやすいテキストで、ほのぼのとした絵本の散歩が楽しめます。
ひよこに親切な動物も、興味をもたない動物も、世界にはいろいろな相手のいることが、しっかりした美しいイラストでわかるでしょう。


原書『LITTLE THICKEN』の最初のコピーライトは1943年とあります。
表紙はオレンジ色の地に、緑とオレンジの2色刷りが懐かしい感じの、ふくふくとしたうさぎと可愛いひよこがお話しているような愛らしいイラスト。

本文も2色刷り、あるいはモノクロなのですが、レナード・ワイスガードさんの、確かなデッサンの自然や動物たちが、余計なもののあまりないすっきりとしたデザインで、見やすくて、親しみやすくとても丁寧な感じに仕上がっています。

同じような感じのうさぎのポーズでも、ガース・ウィリアムズさんの描くうさぎオンライン書店ビーケーワン:うさぎのおうち (画像は『うさぎのおうち』(ほるぷ出版)、テキストは同じくマーガレット・ワイズ・ブラウンさん)とはまた違った感じで、くらべっこするのも絵本ファンとしては大きな楽しみの一つですよね。

テキストは黄金のマーガレット・ワイズ・ブラウンさんによるもの。

父さんうさぎが、どこまでもかけまわりたくなって、子どものひよこをおいて、ひとっぱしりしに行ってしまいます。
残されたひよこはよちよちお散歩。
だれが遊んでくれるかな?

静かな語り口で、ひよこといっしょにお散歩しながら、たくさんの陽気な動物たちに出会え、いろいろなことを学びます。
ひよことうさぎの父子というのも、とても夢のある設定ですよね。

のひよこが生まれたとき、はじめてみたものが父さんうさぎだった、とありますが、そのお話って、こちらの、『きんのたまごのほん』(童話館出版)オンライン書店ビーケーワン:きんのたまごのほん のお話のことかしら、と、思ったりもしましたが、微妙に違うみたいです。図書館などでぜひお確かめくださいね。

余談ですが、父さんうさぎが自分のために、子どものひよこをおいてひとっぱしりに行ってしまう場面・・・これは、父さんがうさぎだから、でしょうか。
どうやらうさぎの中には、母親うさぎが子どもを生みっぱなしにするという習性をもつものがいるそうです。残された子うさぎはどうするかというと、たまたま近くにいる別の知らない母うさぎからおっぱいを飲ませてもらうのだそうです。母うさぎは、自分の子でなくても子うさぎにおっぱいを与えるのだそうです。
時に子どもを置いて、自分のために遠くにかけていく父さんうさぎの設定は、いろいろな事件の多い今の日本ではかなり特別なことかもしれないですね。

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『きんのたまごのほん』童話館出版

『きんのたまごのほん』
マーガレット・ワイズ・ブラウン作
レナード・ワイスガード絵
わたなべしげお訳
童話館出版
2004年

マーガレット・ワイズ・ブラウンさんとレナード・ワイズガードさんの黄金コンビによる、すみずみまで美しく彩られ、輝いている、色鮮やかで豪華な絵本。

むかし、いっぴきのひとりぼっちの小さい雄のうさぎが、中で何か音のするたまごをみつけました。
何が入っているのでしょう?
男の子かな、うさぎかな、ゾウかな・・・。
うさぎはたまごを押してみたり、木の実をぶつけてみたり、上にとびのってみたり、果ては丘の下へ転がしてみたり。

それでもたまごはわれません。
そのうち、
コッ、コッ、
中から何か音がしてきて、うさぎは長い間やわらかな耳をそばだてるのですが、中から何にも出てきません。
あたたかなたまごにもたれているうちに、うさぎはとても眠くなって・・・。

うさぎとたまごの赤ちゃんの初めての、そして特別の出会いを、美しくいとおしく描いた、みずみずしい春の贈り物のような絵本。

アメリカの子どもの絵本の黄金コンビ、マーガレット・ワイズブラウンさんと、レナード・ワイスガードさんによる、可憐な野の草花と緑豊かな、すみずみまでいとおしく描きこまれた、美しい豪華な絵本。
原書は『THE GOLDEN EGG BOOK』Random House,Inc.、最初のコピーライトは1947年とあります。

アマゾン洋書ではこちらなど、愛され続けるロングセラー絵本のようです。

『The Golden Egg Book
(Big Little Golden Books)』

Golden Books

オンライン書店ビーケーワン:きんのたまごのほん 「むかし、あるところに、いっぴきのちいさいおすのうさぎがいました。
うさぎは、ひとりぼっちでした。
あるひうさぎは、たまごをみつけました。
そのたまごのなかで、なにかうごいているおとがきこえました。
なんだったでしょう?」

大型絵本の1ページ1ページに卵型の枠があり、その中に、たまごを見つけたちいさなうさぎの、たまごの中のだれかさんを起こすための可愛らしいあれこれの物語が、一場面一場面丁寧に描かれています。
卵型の枠の外は、春の野に咲きほこる色とりどりの可憐な草花で彩られ、どのページも思い出がいっぱいの美しいアルバムを見ているよう。

ひとりぼっちのうさぎは、たまごの中で動いているだれかさんを目覚めさせようと、時に大胆に転がしたりなどしていろいろ試みるのですが、たまごはちっともわれません。
そのうち中で、
コッ、コッ、
と音がしてきて、長い耳を傾けているうちに、うとうと、たまごのぬくもりに抱かれて、うさぎは眠り込んでしまいます。

すると今度は、たまごの出番。
たまごからやっと出てきたひとりぼっちのだれかさんが、初めての世界で初めて見た小さなうさぎを、あれこれ大胆に起こそうと頑張ります。

うさぎとたまごで、対句のような繰り返しの表現も楽しく、美しく、互いに一人ぼっちだと思っていた二人の出会いが、ほほえましく喜ばしく描かれています。

出会って、そして、ここにいる。ともにいる。

これはきっと、天からの祝福、贈り物かもしれません。

ころでこの絵本ですが、で触れたように、同じ作者・マーガレットワイズブラウンさんとレナード・ワイスガードさんのコンビによる別の作品『ともだちできたかな?』(岩崎書店、品切れ)の、姉妹編、あるいは前編にあたる、父さんうさぎと、たまごの赤ちゃんのそもそもの出会いを描いた物語かな、と思ったりもしたのですが、実際の絵本を開いてみると、違っていました

ともだちできたかな?』は、父さんうさぎとひよこの物語なのですが、『きんのたまごのほん』のたまごから生まれてくるのは、ひよこではなかったのです。
そして、物語でも、『きんのたまごのほん』では、父子関係、親子関係結ぶというより、対等な大切な友だち関係を結ぶ、という感じがします。

この、未知の二人が出会い、打ちとけてよりそうお話って、マーガレット・ブラウンさんと、ガース・ウィリアムズさんの珠玉の作品『うさぎのおうち』(ほるぷ出版)オンライン書店ビーケーワン:うさぎのおうち にもありますよね。

『うさぎのおうち』
マーガレット・ワイズ・ブラウンさく
ガース・ウィリアムズえ
松井るり子やく
ほるぷ出版

春の喜びにあふれたみずみずしく美しい野原で、一匹の茶色いうさぎがおうちを探して走っています。

ここはどうかな?
春を歌う小鳥の木の上も、かえるの水の中も、うさぎには住めません。

おうちを求めてうさぎは走って走って・・・、そして、一匹の白いうさぎと出会いました。
「きみのうちはどこ?」
それはね・・・。

春の動物たちとの出会いを繰り返しながら、リズミカルに歌うようにつむがれるテキスト、つぶらな丸い瞳、つややかでなでたくなるような毛並み、ひげの一本一本までも、愛らしく心を込めて描かれイラスト・・・。
春の穏やかな光にやわらかく包まれた、美しく喜ばしい、宝物のような作品。

この絵本の画家、ガース・ウィリアムズさんの絵本についてはこちらにも。



オンライン書店ビーケーワン:きんのたまごのほんそれにしても、『きんのたまごのほん』の、表紙から見返しから裏表紙まで、1ページ1ページめくるごとに、感動で指も心もふるえるくらい、美しい作品だと思います。
すみずみまでくっきりと鮮やかで、少しくすんださまざまな豊かな色の取りあわせが、見事に調和して、春の出会いの喜びをたたえているような、全頁会心の作。
表紙を見て贈り物みたいと思うのもそのはず、かけがえのない二人の出会いと心の結びついてゆくさまを、子どもにもわかりやすく、少しじれったく、そしてゆるぎなく描いたテキストとともに、作者の真心と魂がこめられた、すばらしい作品だと思います。
ぜひ、図書館などでごらんになってくださいね。

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