■ライマー(ライマ)さんの絵本 |
Lai Ma(頼馬) 1968年生まれ。本名 頼建名。台湾の人気絵本作家。1995年最初の絵本『おこりんぼうのアングリー(火を噴く竜になっちゃった)』▼(朔北社)を発表。中華児童文学賞など、絵本の賞の受賞暦多数。 (『パラパラ山のおばけ』岩崎書店 表紙カバー裏見返し 著者紹介 『あわてんぼうさん』朔北社 表紙カバー見返し 著者紹介 参照) |
『パラパラ山のおばけ』*『あわてんぼうさん』*『おこりんぼうのアングリー』 |
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『パラパラ山の おばけ』 ライマー作・絵 中由美子訳 岩崎書店
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白ぶたのルルが山道の暗闇で見た、でっかいおばけ。 血相を変えて逃げてきたルルの迫真の体験談に、村人たちは大慌てでおばけ対策に励みますが、そんなとき、にひきのヤマアラシがやってきて・・・。
怖がりの子も怖いもの見たさの子も、おばけの正体当ててみる? 見事な疑心暗鬼の顛末を描いた台湾のおしゃれな絵本。
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白ぶたのルルが山のうえからころんころころころがりおちてきた。 ルルはひとこといったきりきをうしなった。 おばけ・・・
パラパラ山に、まっくろでとげだらけのでっかいおばけが出た! たちまちビーだま村中、てんやわんやの大騒ぎ、おばけ対策に大わらわ。だけどあわてているせいか、なんだかついていなくて、うっかりちょくちょく事故ばかり。
そんなとき、にひきのヤマアラシが、なんとパラパラ山をおりて村へやってきて、 「ルルさんのうちはどこですか」と、あちこちたずねてまわった。 村長さんはびっくり。 「あそこにはおばけがいるんじゃないかね。」 「おばけですって?・・・」 ・・・
ひとりひとりの表情やしぐさが思い思いに描きこまれた、色鮮やかできめ細やかな楽しい絵本。 作者のライマーさんは、台湾の人気作家だそうですが、納得のおしゃれで愛らしい絵と、子どもたちの大好きなちょっぴりこわくて愉快なお話。 ちょこちょこと可愛い感じの絵ですが、なかなか構図が大胆で動きに迫力があるので、白ぶたのルルの恐怖体験を臨場感たっぷりに追体験できます。固唾をのんで話を聞く村人たちの顔といったら! にわかおばけ騒動のとばっちりというか、子どもたちへの余波も、見逃せない面白さ。 「はやくねないとおばけがつれにくるぞ」 「いたずらばっかりすると山へやっちゃうぞ」 なんて、ちゃっかり利用されていたりしてね。むかーし、似たようなこと両親に言われたりしませんでした?(笑)
ともあれ、このおばけ騒動にけりをつけたのは、きょとんとした顔がかわいいあの動物。 おばけの正体が、いま真実の光に照らされて浮かび上がります・・・。
まったく余談ですが、はりねずみえほん愛好者の一人としては、なんとなく嬉しいヤマアラシ出演絵本。
The Monster of PalaPala Mountain、初版は2003年、Heryin Books,Incとあります。
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『The Monster of Palapala Mountain (ハードカバー)』 Heryin Books, Inc. (2006/7/15)
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この表紙は、本文の一場面だと思われます。「おばけ」に出くわしてホウホウノテイで逃げてきた白ぶたのルルの話を、入院先(?)のベッドを囲んで、固唾をのんで村人たちが聞き入っている緊迫の場面。
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『あわてんぼう さん』 ライマ作 宝迫典子訳 朔北社 2006年
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かいぶつ国どうぶつ村のぬいぐるみげき上演は6時。 村いちばんのあわてんぼうさんが起きたのは5時15分。 いそげ!いそげ! あわてんぼうさん、間に合うの?
本当の名前を誰も覚えていないという、きのどくな(?)あわてんぼうさんのあわてふためきと、ちゃくちゃくと手はず整え余裕しゃくしゃくで6時を待つかいぶつ村の住民たちひとりひとりのさまざまな行動が、ページのあちこちでじっくり楽しめる絵本。 いまこの同じ時刻を、みんなは何して過ごしているのかな?
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ゆうがた6じに「おおきな木のほこらげきじょう」で ぬいぐるみげきがじょうえんされます。 かいぶつ国たいぼく村の住民たちが、 みじたくして、とじまりして、みんないっしょにおしばいをみにでかけたのは5じ。
あわてんぼうさんがようやく目を覚ましたのは、 「わ!5じ15ふんだ」
「たいへん!たいへん!おくれちゃう!」は あわてんぼうさんのくちぐせです。 「いそげ!いそげ!」 これもくちぐせ。
でもね、あわてんぼうさん、そんなにあわてると・・・
にぎやかな仲間たちひとりひとりの表情が楽しい、かいぶつ国たいぼく村の、ある日のぬいぐるみ劇の上演の6時までのどきどきはらはらを、ユーモラスに色鮮やかに描いた絵本。 夕暮れ迫るひとときの、長くのびた影が、コミカルな愛らしさのぎゅっとつまったような明るいイラストに、独特の豊かな雰囲気をかもし出しているよう。
見開きページの右上に、ほのぼのタッチのイラストではなく、駅時計のようにシンプルでやや無機質な感じの丸い時計版がいつも示されていて、ページをめくるごとに、6時までの緊迫感がだんだん高まってきます。 どのページにも、個性豊かな愛らしいかいぶつ村の住民たちが、ひとりひとり思い思いに楽しく描かれていて、本当に時計版の時刻のその瞬間、となりの世界でにぎやかに活躍しているみたい。
遅刻寸前のあわてんぼうさんが、別の意味でもまんまとあわてんぼうをやらかす楽しい物語は、なにやら誰にも一度くらいは見覚えあるようなないような、とても身近でほほえましいお話なのですが、そのお話をもっと豊かにおおらかに、夢いっぱいにふくらます、かいぶつ国たいぼく村の世界が、ライマさんならでは! それぞれのかいぶつたちの別の物語へ、あわてんぼうさんの別の日の物語へと、どんどんつむいでいけそうな、楽しい余韻を感じます。 余談ですが、我が家にもかなりの頻度で「あわてんぼうさん」が多数出現することが発覚し、なにかことあるごとに、「わー、あわてんぼうさんだー」と、指摘をかわしあい、余韻をたっぷり楽しませていただいております(笑)。
作者の頼馬さんご自身によるあとがきの、「ほごしゃのみなさまへ」の文章に、作者のこの本への願いがこめられてて、美しい壮大な夕暮れを見たときのようにじんとします。
原書は『慌張先生(Mr.Hasty)』1999 Hsin Yi Publicatuons,Taipei,Taiwan,R.O.C.とあります。
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『おこりんぼうの アングリー』 ライマ作 宝迫典子訳 朔北社 2006年 |
蚊のポータンは、おこりんぼうの血が大好き。さされると、噴火病になって、炎が消えなくなってしまいます。 ある朝、おこりんぼうのアングリーが、ちくりとさされてしまって・・・。
個性豊かなかいじゅうたちのおりなす世界が、愉快な絵本。細やかに描きこまれた色鮮やかな絵も魅力。 大迫力の炎のおりたたみページもお楽しみ。 おこりんぼうは、どのこかな?
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かのポータンは おこりんぼうの ちが だーいすき。 ポータンにさされると、たいへん! ふんかびょうになってしまいます。 ある日、かいじゅう国の、とってもおこりんぼうのアングリーが、ポータンにちくりとさされてしまって、たいへんなことになってしまいました。 ガオオオと大声を出したら、口から鼻から炎が飛び出て、部屋も食べ物もともだちのひげも黒こげ、それでも炎が消えなくなってしまったのです。 さすがのアングリーも、炎を消そうと必死になるのですが・・・。 ・・・
ちょっぴりのこわさと、ユーモアと夢がいっぱいの、かいじゅう国でおこった、おこりんぼうの喜怒哀楽の物語。 色を何層にも重ねて丹念に描きこまれた、想像のかいじゅうたちが魅力的。さらに、おりたたみページをやきつくすように描かれた、真っ赤な炎の絵が、めらめらと大迫力で迫ってきます。 小さい子にもよくわかる、素直な展開のストーリーも、物語の伝えたい大切な一言も、明快で、痛快。 右往左往試行錯誤するアングリーや、おろおろ逃げ惑うまわりのかいじゅうたちの姿も、ユーモラスで、一人一人がいきいきと輝いています。 さあ、これをよんだら、どこかのおこりんぼうさんたちも、いろいろ考えてみるかしら。もしもうっかりポータンにさされてしまったとしたも、どうすればいいか、これでちゃんとわかりましたよね(笑)。
原書は、『我變成了―隻噴火龍了』 I've Become a Fire-Breathing Dragon 、コピーライトは2004年とあります。 1995年のデビュー作なのですって。
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