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□1988年『Der große Bär und der kleine Bär.』***未邦訳「おおきいくまとちいさいくま」

初版 1988年
タイトル 『Der große Bär und der kleine Bär.』
テキスト Käthe Recheis
イラスト Josef Palecek
出版社

2社あり
・Der Kinderbuchverlag Berlin-DDR 1988

・Verlag Herder KG Feriburg im Breisau 1988

大きさなど※ ハードカバー
カラー、24p
約28.3*20.7センチ
(Herder版;約28*20.5センチ)
アマゾン洋書


Kerle, Freiburg
ISBN: 3451701391
(March 2000)


『Der grosse Baer und der kleine Baer.』
ペーパーバック版
Herder, Freibg.
ISBN: 3210248249 (January 1995)

邦訳 未邦訳
「おおきいくまとちいさいくま」

版元について

1988年初版の『Der große Bär und der kleine Bär』には、版元記載が並んで2つあり;
・Der Kinderbuchverlag Berlin-DDR 1988
・Verlag Herder KG Feriburg im Breisau 1988
と、なっています。

このうち、上記のDer Kinderbuchverlag Berlin-DDR社は、1987年にドイツ語版『Andulka vom bunten  Hügel』(チェコ語原書は1984年『Andulka pod barevnym kopcem◆』)を出版しています。

また、下記のVerlag Herder KG Feriburg im Breisau社は、1985年『Das Lied vom Apfelbaum.◆』の版元の一社、Herder& Co.,Wien社と関連があるのかもしれませんが、詳細不明です(ISBN番号が違うので)。ご存知の方教えてくださいませ。


原書を見て
表紙
おおきいくまとちいさいくまが、ブルーベリーの茂みに座って、これからブルーベリーを食べようと枝を口にはこんでいる、愛らしいイラストが表紙です。


アマゾン洋書ではこちら、再販されたもののようで、
Kerle, Freiburg
ISBN: 3451701391
(March 2000)
とあります。(未読)
これは、1988年初版のDer Kinderbuchverlag 版とも、Verlag Herder 版とも、同じものと思われます。


物語を眺めて
物語は、茶色いおおきなくまと、茶色いちいさなくま、たぶん親子グマのほのぼのとした森の生活のひとコマを描いたもの、だと思います。
個人的にヨゼフ・パレチェクさんが描くクマというのは、結構めずらしいような気がするのですが、どうでしょうか?
読めないのが悔しいかぎりですが、全頁カラー、見開きいっぱいに美しいイラストが描かれ、短めのテキストが添えられていて、小さい子にも楽しめる作品になっているのでは、と思います。

本文最初のページは、オレンジ色のやさしいお顔の太陽のもと、茶色いちいさいくまが、草むらにぺたんと座って、どことなく不安げな表情でいるイラストなのですが、思い出す場面がありました・・・、『ちびとらちゃん◆』の表紙です。茶色いくまをよく見ると、うっすらとさまざまな茶色のグラデーションのしましま模様が手足に施されていて、お洒落!

主人公はこのちいさいくま。
おおきいくまは、ブルーベリーを食べに森の奥に行きたいのですが、ちいさいくまは行きたくありません。
おおきいくまが行ってしまったあと、ちいさいくまは森で一人ぼっちになって・・・。
という物語のようです。

ヨゼフ・パレチェクさんの描く森はここでもとても美しく、温かい落ち着いたオレンジ色を基調とした濃密なグラデーションで、静かで深い魅力をたたえています。
取り残されたちいさいくまの場面で、冴え冴えとした青緑色を基調としたこちらもとても美しい森の場面があるのですが、見知らぬ森の奥のうすぐらく奥深いさまと、ちいさいくまの不安な気持をあらわしているようで、ブルーベリーの実のようにみずみずしく印象的です。

ちいさいくまは愛らしくしっかりした意思を秘めたつぶらな瞳を持ち、おおきいくまはどっしりとおおらかでやさしい表情をしています。
表紙画像のブルーベリーの枝を口元に運ぶ2匹のくまのイラストは、本文中にも使用されているものなのですが、そのゆったりと幸せそうなことといったら!

こちらも邦訳希望、親子でゆったりと読みたい絵本だと思います。

余談ですが(?)、この絵本の最初の中表紙の上部に、パレチェクさんならではのオレンジ色のぱっちりおめめににっこりお口の太陽が、片手に葉っぱをもって登場しています。
この太陽は、最後のページ(本文とは関係のないページ)の下部では、幻想的な月夜を思わせるような青色に少しずつ染まり、すやすやと目を閉じています。まるで、絵本を読んでもらった子どもたちに、「おやすみなさい・・・」と言っているみたい。
両手はそっと顔に添えられているのですが、片手にはシダのような大きな葉っぱと、ブルーベリーの実の枝を持っています。
こんな嬉しいおまけのような美しいイラストで、もう一つの小さなお話が生まれるような、細やかな配慮がほどこされているところはさすが!

また、テキストの作者 さんをアマゾン洋書で検索すると、有名な方のようで、たくさんの作品がヒットしました。その中には、ヤン・クドゥラーチェクさんの絵本『Das schimmernde, flimmernde Licht.』もあるようです。


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