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1985年『Das Lied vom Apfelbaum.』***未邦訳「りんごのきのうた」

初版 1985年
タイトル 『Das Lied vom Apfelbaum.』
テキスト Seifert Jaroslav
イラスト Josef Palecek
出版社

版元2社記載あり
・bohem press Zurich, Recklinghausen, Wien, paris /
ドイツ語訳はKurt Bauman

・Herder&Co.,Wien(オーストリア向け?)
ドイツ語訳Hilegard Grunholz-Schwarzkopf、したがって訳詩も異なるようです。

大きさなど※ 上記2版元の絵本の版型は同じ
ハードカバー
カラー、29p(ページ表記あり)
約29.5*20.5センチ
邦訳 未邦訳
「りんごのきのうた」
その他 bohem press社版のドイツ語訳者のドイツ語訳のKurt Baumanさんは、1972年『Drei Könige◆』のテキストも。 

 
『プラハアート案内』(エクスカイアマガジンジャパン)

オンライン書店ビーケーワン:プラハアート案内

皆川明さん プラハ探訪1 
絵本作家ヨゼフ・パレチェク氏より

チェコアートに関する本『プラハアート案内』(エクスカイアマガジンジャパン)の中に、ヨゼフ・パレチェクさんのインタヴュー記事がおさめられています。
豊かな色彩の絵本そのままに、やさくし温かなお人柄のヨゼフ・パレチェクさんの、激動の時代を背景にご自分の絵を描き続けてきた、貴重なお話を知ることができます。
その中で、ヤロスラフ・サイフェルトさんとともに制作した絵本について少し触れられています。

「スイスの出版社でてがけた絵本の一つに、ヤロスラフ・サイフェルトの詩に私がイラストをつけたものがありました。これは14カ国で翻訳されました。サイフェルトはもともと国民的作家でしたが、体制を批判したことで、目をつけられていました。ですからサイフェルトがノーベル賞をもらったとき(1984年ノーベル文学賞)にも、スウェーデンにいくことができなかったくらいです。サイフェルトが書いた子供のための文章は少ないですから、貴重な仕事をしたなと思いますね。」

・・・それが、この絵本のことではと思います!
パレチェクさんにとっても格別の思いの込められたこの美しい絵本、ぜひとも邦訳をお願いいたします!

このインタヴューで、ヨゼフ・パレチェクさんが述べられていることは、
絵との出会い
「社会主義リアリズム」の時代
絵本の仕事
インスピレーションの源
など。
ヨゼフ・パレチェクさんのアトリエ風景や、作品たちの写真、皆川明さんのインタヴュー風景など、写真も豊富におさめられ、パレチェクさんのお人柄やその作品の背景、源をより深く理解する上で、とても貴重なページになっています。

その他のページでも、チェコアートに関するさまざまな記事がセンスよくおさめられていて、チェコアートをより広くより深く知る、美しい道しるべのような本。


パレチェクさん2007年カレンダー


パレチェクさん2007年カレンダー(12ヶ月)
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≫アット・アームズ
発売の詳細などは上記HPでごらんになってくださいね。

カレンダーのページは≫こちら
ご自身のセレクトによる神秘的で美しい12ヶ月のイラストの中の、≫1月「Winter」のイラストが、『Das Lied vom Apfelbaum.』の本文中の一場面と同様(もしくは共通)のモチーフだと思われます(少し異なっています)。


原書を見て
裏表紙と表紙
◇マミンカ 』(恒文社品切れ)のヤロスラフ・サイフェルトさんの詩に、ヨゼフ・パレチェクさんがイラストを添えたもの。しかも、裏表紙には、お二人の貴重なお写真が!

D.. L.. v. Ap...m
 

b.. p..

↑表紙のイメージはこんな感じでしょうか・・・

表紙は、オレンジ色を基調とした美しいのどかな町の風景。手前に目をつむってさえずる2羽の鳥が、花咲くリンゴの枝に止まっていて、1羽は黒に、紫の水玉模様、1羽はパレチェクさんカラーの斜めのしましま模様。で、その後ろを、バイオリンケース(?)を携えた帽子の男の子が、反対の手にリンゴをもってとことこ歩いているイラスト。
美しいです。


絵本を眺めて
内容は・・・、リンゴの木の一年を丹念に追った物語、なのでしょうか。花のみつをあつめるハチが登場したり、鳥が巣を作ったり。
表紙の男の子のお母さんなのでしょうか、おなかのなかに赤ちゃんを宿しているようで、リンゴの木で季節を追いながら、やがて家族のもとに赤ちゃんがやってくる幸せな一場面も盛り込まれています。

細やかに丁寧に描きこまれた鳥や花びらや雪の結晶のひとつひとつまでも、パレチェクさんのこの作品に対する情熱が伝わってくるような、みずみずしい魅力あふれる絵本。
見開きの片側のページのイラストの中にテキストのおさめられた場面と、見開き両面イラストで、テキストのない場面とが、交互のように組まれています。
四季折々のリンゴの木を中心とする美しい町並みの風景が、そこに暮らす人々の表情も息遣いも織りまぜて丁寧に描かれ、たくさんの小さな物語を見出すことができそうです。
各ページいちばん下の、ページ数を記した印刷部分の両側が、それぞれのページのリンゴの季節をあらわすような、小さなイラストで飾られていて、こんな眼福のおまけもこころにくいばかり。たとえばりんごの実りの季節はこんな雰囲気→

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↑テキストのあるページのイメージはこんな感じでしょうか・・・

ぜひぜひぜひぜひ、邦訳の出版をお願いいたします!この美しさは末永く宝物になるはず。
ヨゼフ・パレチェクさんの描く、一本の木の美しいモチーフは、オリジナルポストカードの一枚「DAREK-a」にも見ることができます。くわしくはこちら◆


版元について
なお、『Das Lied vom Apfelbaum.』は版元とドイツ語訳文の違う2種類の絵本が同時(1985年)に出版されていたようです。
bohem press社版(原書)
原書となるのはbohem press社のもののようで、こちらのドイツ語訳はKurt Baumanさん。Kurt Baumanさんは、1972年にもパレチェクさんとコンビで『Drei Könige◆』を出版しています。
bohem press社はもともとチェコとつながりのある国際的な出版社のようなのですが、詳しくはわかりません。どなたかご存知の方教えてくださいませ。
その他には、
『Piccoli concerti della sera◆』 のドイツ語版『Die kleine Abendmusik 12 Gutenachtgeschichten◆』を、1983年に、
『ソリマンのおひめさま◆』のドイツ語版『Die Prinzessin von Solimanien◆』を、1984年に、出版しています。

Herder&Co.,Wien社版
もう一冊の『Das Lied vom Apfelbaum.』は、版元がHerder&Co.,Wien社とあります(原書表記はbohem press社とあります)。ドイツ語が読めないので詳細不明なのですが、ドイツ語訳者と思われるお名前が、Hilegard Grunholz-Schwarzkopf、とあります。
タイトル、イラストはまったく同じですが、ドイツ語訳詩が異なるようです。 bohem press社とは関連があるのか、1984年にもやはり『ソリマンのおひめさま』のドイツ語版『Die Prinzessin von Solimanien』をbohem press社とともに出版しています(↑上記参照)。また、この版元Herder&Co.,Wien社は、1988年『Der große Bär und der kleine Bär.◆』の版元の一つ・Verlag Herder KG Feriburg im Breisau 社と関連があるかもしれませんが、詳細不明。 

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