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1981年『La petite ondin』***邦訳『人魚ひめ』

初版 1981年
タイトル 『La petite ondin』
テキスト≪シンプルに Hans Christian Andersen
◆くわしく
イラスト Josef Palecek
出版社≪シンプルに Nord-süd Verlag,Switzerland
◆くわしく
大きさなど※ 原書未読のため不明
邦訳≪版元

『人魚ひめ』ハンス・クリスチャン・アンデルセン作 ヨゼフ・パレチェク絵 プロジェクト・アノ


邦訳
『人魚ひめ』
ハンス・クリスチャン・アンデルセン文
ヨゼフ・パレチェク絵
石川史雅訳 
プロジェクト・アノ
(◇レン・コーポレーション◇アット・アームズの共同出版)
2005年
◆くわしく

ビーケーワン→オンライン書店ビーケーワン:人魚ひめ

邦訳大きさなど※ ハードカバー
カラー、40p。
約32.5*24センチ
ドイツ語版

ドイツ語版
『Die kleine Seejungfrau.』
未読


ペーパーバック、44p
Nord-Sued Vlg., Moenchalt.
ISBN: 3858251682
(1992/09)

英語版 英語版
『The Little Mermaid』
未読


ハードカバー、42 p
Faber & Faber
ISBN: 057111847X
(October 1981)

 


原書を探して
『人魚ひめ』は、原書を一度も見たことがなかったので、ぜひともこの目でその美しさを確かめてみたい待望の1冊でした。
原書は『La petite ondin』Nord-Sud Verlag,Switzerland in 1981 とあります。
邦訳を読んで
『人魚ひめ』ハンス・クリスチャン・アンデルセン作 ヨゼフ・パレチェク絵 プロジェクト・アノいまから20年以上も前のイラスト、とは思えないほど、美しく、完成度の高い作品。時を越えて愛され続けるアンデルセン童話にふさわしい、においたつような気品あふれる渾身のイラストたちです!

ページ数が、普通の絵本に多い32ページよりもさらに多い、約40ページであることは、アマゾン洋書の検索などで知り、かなり挿絵にお力を注がれた作品なのでは、と、想像していたのですが、邦訳の『人魚ひめ』のページ数も40ページ!
きらきらとながれるように美しい本格的なテキストが左側のページに、そのテキストの魅力をあますところなく伝えるしっとりとした夢のように美しいイラストが右側のページに、大型の絵本ならではの嬉しい迫力で、たっぷりと堪能できます。

 
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↑テキストページのイメージはこんな感じでしょうか・・・

そして、左側のページのテキストのレイアウトを見て驚きました。
線の細い四角い枠のなかに文章がおさめられているのですが、その上下の真ん中に、パレチェクさんの描く小さなカットが一つずつ添えられているのです(上記のイメージでいうと、の部分が該当)。
それは、そのページにもりこまれている場面を象徴するような、海の香り高い貝殻や、魚、花などのカットで、全体的にながめると、ページ数表記の小粋なレイアウトもあいまって、大切に額縁に入れられた作品をひとつひとつ鑑賞しているようです。
心にくい演出!

そしてうっとりするような、右側のページ一面の、パレチェクさんの幻想的なイラストです。

幾重にも重ねられた深みのある色は、海の底から空をのぞいているような、空から海の底をのぞいているような、ゆらめきのなかに浮かび上がる光と闇を感じます。

『人魚ひめ』ハンス・クリスチャン・アンデルセン作 ヨゼフ・パレチェク絵 プロジェクト・アノinゆらゆらと広がる長い髪や、白く長い手、指、静かな中にりんとした光をたたえた瞳、うっとりと閉じる瞳、切なくふせる瞳は、物言えぬ人魚ひめの言葉以上のものを熱く伝えてくれるよう。


表紙から裏表紙まで
裏表紙にも、本文扉絵にも描かれ、表紙で人魚姫が指に持っている赤い花は、大きさや色を変えて、くりかえし本文のイラストの中にさりげなく登場しています。時に海にうつる太陽の影として、時に人魚姫の願いの象徴として、時に人魚姫のはかなさそのものとして・・・など、さまざまな解釈のできる、とても奥深いモチーフの一つとして、そっと登場しているように思います。このあたりの物語性も、パレチェクさんならではのひそやかなプレゼントですよね!

海から離れたチェコの、パレチェクさんから贈られた、豊かな海の香りにおいたつ繊細で切ない珠玉の絵本(※)。
テキストも、イラストも、原作を大切にした本格的な作品ですので、少し大きい子から大人まで、すべての人に堪能していただけると思います。
ぜひ、図書館などでお読みになってくださいね!
(※ちなみに、パレチェクさんの海の登場する作品には、1975年『Michael hat einen Seemann ◆』、1980年『ソリマンのおひめさま◆』、1995年『Die Insel Hammerbö◆』などがあります。)

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