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1980年『Piccoli concerti della sera』***邦訳『ちいさなよるのおんがくかい』

初版 1980年
タイトル 『Piccoli concerti della sera』
イタリア語
テキスト≪シンプルに Libuse Paleckova(Palecek)
◆くわしく
イラスト Josef Palecek
出版社 Quadragon srl,Milano,Italy
大きさなど※ イタリア語原書未読のため詳細不明
邦訳≪版元

クリックで拡大します。『ちいさなよるのおんがくかい』リブシェ・パレチコヴァー作 ヨゼフ・パレチェク絵 フレーベル館 品切れ

邦訳


■『ちいさなよるのおんがくかい』
リブシェ・パレチコヴァー作
ヨゼフ・パレチェク絵
竹下文子訳
フレーベル館
1981年 品切れ

◆くわしく

邦訳大きさなど※ ハードカバー
カラー、32p
約26.5*23.2センチ
その他

レン・コーポレーションさんの◇HPにご紹介あり

オランダ語版は 『Verhaaltjes-voor-het-slapen-gaan 』 Kosmos Amsterdam 1980
ハードカバー
カラー、32p
約24*21センチ
邦訳と同じ構成(版型が異なり、少し小さい)

ドイツ語版

ドイツ語版
『Die kleine Abendmusik
12 Gutenachtgeschichten
本文イラストは同じもの。副題に「12の夜の詩」とあるように、12の詩とそのイラストからなる。イタリア語版のダイジェスト版のような感じ?
表紙と、ページ構成、順序などが異なる。

版元はbohem press,Zürich/Recklinghaunsen/Wien、1983
1983年同時にLes Editions du Cerf,Parisでも出版された模様です。
下記1983年表▼もご参照ください。

ヨゼフ・パレチェクさんポストカードについて ***続きのあれこれ
ヨゼフ・パレチェクさんの美しいポストカードセットの中には、
「ちいさなよるのおんがくかい -a」
「ちいさなよるのおんがくかい -b」
「ちいさなよるのおんがくかい -c」
というタイトルの3枚があります(下記をごらんくださいね。くわしくはこちら◆)。

『ちいさなよるのおんがくかい』-a

ちいさなよるのおんがくかい -a

ヨゼフ・パレチェクさんの
オリジナル・ポストカードの一枚
取扱店で発売中
ポストカード特集はこちら
このイラストは、パレチェクさんの≫2007年カレンダー≫9月「Garden concert」のイラストと、同じモチーフだと思われます。

(c)Josef Palecek (c)project ano

↑ピアノをかなでる女の子の後姿の、幻想的な青いポストカードは、『ちいさなよるのおんがくかい』のタイトルともなった一編の詩「ちいさなよるのおんがくかい」にそえられた、すいこまれるように美しいイラスト。・・・と、同じものだと思ってよく見たら、異なっているのです!
本当にわずかですが、色づかいや、女の子の髪型の一部などが、それぞれに少しずつ異なっています(この青いイラストは、後の1983年ドイツ語版の表紙▼にも用いられていますが、その表紙の女の子とも、全体の色使いや細やかな模様などとも、わずかずつですが異なっています!)。

ちなみに他の2枚も、1981年邦訳版『ちいさなよるのおんがくかい』の中で用いられているイラストと、そっくりのモチーフですが、本当にわずかずつ色や線、仕上がりなどが異なります。
絵本やポストカードとして出版するに当たり、年月を経たものについては、そのつどあらためて描き直されたり、丹念に手を加えられたりと、一筆一筆真心を込められて、一枚一枚世に出されているのでは・・・と、個人的想像ですが、推測されます。当時の印刷技術と、現在の印刷技術の差や、使用されている紙の質などで、ポストカードの色艶がとても美しく鮮やかに、新鮮に思われたのですが、そのまぶしいような新鮮さは、それだけではなかったのですね!

『ちいさなよるのおんがくかい』-b

ちいさなよるのおんがくかい -b

『ちいさなよるのおんがくかい』-b ポストカード表のカット 2本足のさかな

ポストカード宛名面のオリジナルイラスト

ヨゼフ・パレチェクさんの
オリジナル・ポストカードの一枚
取扱店で発売中
ポストカード特集はこちら

(c)Josef Palecek (c)project ano

『ちいさなよるのおんがくかい』-c

ちいさなよるのおんがくかい -c

ヨゼフ・パレチェクさんの
オリジナル・ポストカードの一枚
取扱店で発売中
ポストカード特集はこちら

(c)Josef Palecek (c)project ano

※レン・コーポレーションさまの許可を得て画像を掲載しております。無断転載などはご遠慮ください。

パレチェクさん2007年カレンダー


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>> A2サイズ/2,625円(税込)
≫アット・アームズ
発売の詳細などは上記HPでごらんになってくださいね。

カレンダーのページは≫こちら
神秘的で美しい表紙は、『ちいさなよるのおんがくかい』の表紙のモチーフと同じ!また会えて、感激の一枚・・・。



原書を探して
幻のフレーベル館1981年の邦訳『ちいさなよるのおんがくかい』の原書表記は、『Piccoli concerti della sera』Quadragon srl,Milano,Italy,1980、となっています。原書はイタリアで出版されたと思われますが・・・未読。
私物のオランダ語版『Verhaaltjes-voor-het-slapen-gaan 』Uitgeverij Kosmos b.v.Amsterdam,1980、邦訳1981年と、発売後またたくまに世界各国で出版、紹介されているのでは・・・と推測。それくらい、本当に、夢のように美しい絵本です!
邦訳版表紙

クリックで拡大します。『ちいさなよるのおんがくかい』リブシェ・パレチコヴァー作 ヨゼフ・パレチェク絵 フレーベル館 品切れ大好きなチェコの画家・ヨゼフ・パレチェクさんの幻の邦訳絵本の一冊で、青い月の光にほのうかぶ、夢のように美しく、清らかな調べの聞こえてきそうにみずみずしい、珠玉の作品。
長い髪をたなびかせ、瞳を閉じて、ほほえみを浮かべる青い女の子の、なんと詩的で神秘的なこと!
月明かりに照らされて、浮かび上がる薄紅色の頬は、まぶしい季節を閉じ込めたもぎたてのモモのよう。
なびく髪には三日月がうかび、幻想的な草花が咲き乱れ、ちょうちょがひらめき、尾の長い鳥が舞い、バイオリンの青年が奏でています。(このなびく髪の部分は、後に新しいモチーフとして描きあらためられ、1988『Alles Gute◆』の表紙となっています。また、この表紙のモチーフは、1998『Kral sedmi zavoju◆』の表紙のモチーフにもつながっていると思われます。)

かんざしのようにも見える、枝垂れる花飾りが、夢見る女の子の額を、頬を縁取って、その鈴のような花びらから、夜露のふれあうかすかな音のように、清らかで愛らしい調べが、今にも聞こえてきそう。
ちょうちょや鳥の羽音、そしてバイオリンの音色、月のまたたき、ふるえる花びら。

表紙だけで、ただ事ならぬ美しい絵本だとわかります。

美しすぎる表紙を開くと、個性的な深い緑色の羽を持つ虫が、花を掲げておでむかえしてくれます。(ちなみに、このこおろぎのような虫は、パレチェクさんの作品にくりかえし登場するモチーフの一つで、『Mein Kindchen das bleibt mein.◆』『usmevavy svet cesti basnici detem◆』などにもちらりと登場しています)

中表紙は、パレチェクさんならではの、幻想的な太陽と三日月。すやすやと眠る太陽は、元気なオレンジ色の上部から、だんだんピンク、青と、夜色に染まり、腕枕にもたれて微笑んでいます。
その下に、ぱっちりと瞳を開けて、夜を見守りつづけるやさしいピンク色の三日月。しましまのとんがり帽子をかぶっているようにも見える模様、そしてその薄紅色も、ヨゼフ・パレチェクさんの作品に繰り返し登場する素敵なモチーフ。左記にもご紹介しているポストカードの宛名面に、オリジナルの小さな白黒のカットが描かれているのですが、その中に、太陽と三日月のモチーフもちゃんとありました!くわしくはこちら◆


本文を読んで
さらにページをめくると・・・
見開き2ページごとにまとめられた、手のひらにのるような愛らしい物語が14編。
基本的には、左ページに奥さまのリブシェ・パレチコバーさんの文章とヨゼフ・パレチェクさんの小さなカット、右ページに大きな美しいイラスト。記念写真のように、余白の白い枠取りの中におさめられているので、一枚一枚が額に飾られているような、まるで小さな美術館。
ひとつひとつきらきらとかがやく珠玉のお話たちの中で、とりわけ私の好きなものは、
「はなのすきなちょうちょのおはなし」
『トララララ◆』の表紙の女の子のような、縦じまの虹色のワンピースを着た清楚な女の子が、ひざを抱えてまあるくなり◆、空を舞うちょうちょを見上げて、少しだけ微笑んでいます。長い髪の頭にはカチューシャのように花飾り。この花飾りの少女、フローラちゃんが、ある日野原で迷子になるのですが・・・。
「おはなしつくりのおじさんのおはなし」
世界中の子どもたちのために、せっせとお話をつくっているおじさんは、毎晩庭で、動物たちに自分の作ったお話を語り聞かせます。するとこねこもことりもおさかなも、みんなうっとりいつしか夢見心地。ところがあるとき、やってきたこいぬは・・・。
幻想的な夜の庭、パラソルの中の、魔法のようにチャーミングな世界に、パレチェクさんの魅力がぎゅっとつまっています。耳の先のしましまのうさぎ、魚のような鳥のような不思議な不思議な歩く生き物などなど、他の絵本でもしばしば見かけるパレチェクさんならではの愛らしいキャラクターたちが、ここにもうっとり登場しています。
「とびだしたおさかなのおはなし」

こちらはお昼、白昼夢の物語。虹色の縦じま◆のジャケットに青い蝶ネクタイの、ひげのりりしいものしり博士が、ねそべって本を読んでいると、向こうの小道をとことこと、歩いていくのは、なんとお魚!
驚いた博士は、本を放り出し、とびおきてお魚を追いかけます・・・。
パレチェクさんのフレッシュな暖色系の色使いと、花盛りの木々が美しい、いつまでも眺めていたい心地よい陽だまりのようなイラスト。
パレチェクさんの絵本には、しばしば子どものような可愛らしい二本の足で歩くお魚が、かたすみに元気に登場するのですが、そのモチーフの源泉はここにあったりして・・・などと、思ったり。
この愛らしいモチーフを、左記のオリジナルポストカードの宛名面に発見しました!
(ちなみに、二本足の魚のモチーフの登場する他の絵本には、『Der Regenbogenberg, eine Traumgeschichte◆』『Die Insel Hammerbö◆』などがあります)

「おばけのもりのおはなし」
「おばけのもり」には、いじわるなおばけと、やさしい妖精が住んでいました。いじわるなおばけは、いつも通りがかる人を脅かしてばかり。やさしい妖精にはどうすることもできません。そんなあるとき妖精は、素敵なものを見つけました・・・。
青、蒼、藍、青い夜の薄闇のなかに、神秘的に浮かび上がる妖精。ふうわりと宙をただよいながら、うっとりと目を閉じて・・・。
表紙の女の子にもどこか似た雰囲気の、神々しいまでに美しい妖精に、ただもう、魅了されるばかり。
このイラストには、パレチェクさんが筆でお描きになった青い飾り枠があって、本当にどこかの美術館を垣間見ているような心地です。

・・・このように、一つ一つお気に入りをあげていけば、結局14編すべてになってしまうのでは、と、思えるほど、いずれあやめかかきつばた、咲き競う物語が、惜しげもなくおさめられた珠玉の作品です。

この絵本の原画(一部かもしれませんが)が斑尾高原絵本美術館などで2004年に公開されたようなのですが、残念ながら見に行けませんでした。ご覧になった方、ぜひ感想をおきかせくださいませ。

邦訳フレーベル館版は惜しくも現在品切れ。
復刊が熱く望まれますが、◇レン・コーポレーションさん(※)のHPのヨゼフ・パレチェクさんの作品ご紹介のページには、この『ちいさなよるのおんがくかい』の美しい表紙などのご紹介がありますので(必見です!)、大きな大きな期待のかかるところです!
(※レン・コーポレーションさんは、『おやゆびひめ◆』などの、一連のヨゼフ・パレチェクさんの絵本の版元・アット・アームズ(レン・コーポレーション+アット・アームズ)の一社でもあります)


なお、ただいま取扱店で発売中の、ヨゼフ・パレチェクさんの美しいポストカードたち(企画 プロジェクトアノ)の中にも、『ちいさなよるのおんがくかい』からピックアップされたと思われるイラストがあります。▲ポストカードについて続き(左上の表)を読む

なお、この『ちいさなよるのおんがくかい』のように、小さな詩、うた、童謡などの詩集に、ヨゼフ・パレチェクさんが愛らしいイラストをそえた本については、こちら◆もご参照ください。

 

1983年『Die kleine Abendmusik12 Gutenachtgeschichten』***(「ちいさなよるのおんがくかい」12のよるのうた)
※編集の都合上1983年にとんでいます。
初版 1983年
タイトル 『Die kleine Abendmusik
12
Gutenachtgeschichten
テキスト Libuse Paleckova(Palecek)
原書表記は、Libuse und Josef Palecek
イラスト Josef Palecek
出版社

bohem press,
Zürich/Recklinghaunsen/Wien

大きさなど※ ハードカバー
カラー、28p。
約23.5*20.2センチ
邦訳 未邦訳
■□『ちいさなよるのおんがくかい』
フレーベル館
1981年、品切れ、の14編の詩のうちの12編の詩
その他 1983年同時にLes Editions du Cerf,Parisでも出版された模様

  主な相違点 表紙
1980年イタリア語版『Piccoli concerti della sera』 32p、14の詩 『ちいさなよるのおんがくかい』リブシェ・パレチコヴァー作 ヨゼフ・パレチェク絵 フレーベル館 品切れ(邦訳、オランダ語版表紙に基づいて推定)表紙のためのイラストと推定。本文中には用いられず。
ちなみに、このモチーフのイラストは、繰り返し他のヨゼフ・パレチェクさんの絵本などの作品中にも見られます。
1983年ドイツ語版
『Die kleine Abendmusik
12 Gutenachtgeschichten』
28p、12の詩 上記ポストカード参照。本文中には用いられず。表紙のためのイラストと推定。
そっくりなモチーフのイラストが、1980年イタリア語版の本文中に用いられている。


■□原書を見て
▲上記1980年表もご参照ください。
■□表紙

『ちいさなよるのおんがくかい』-a

ちいさなよるのおんがくかい -a

ヨゼフ・パレチェクさんの
オリジナル・ポストカードの一枚
チェコアートセレクトショップanoで発売中
ポストカード特集はこちら
このイラストは、パレチェクさんの≫2007年カレンダー≫9月「Garden concert」のイラストと、同じモチーフだと思われます。

(c)Josef Palecek (c)project ano

1983年ドイツ語版『Die kleine Abendmusik
12 Gutenachtgeschichten』の表紙は、上記ポストカードの、女の子がピアノをひいている後姿の、幻想的な青いイラストと同じモチーフです。ただし、まったく同じものではありません。
そして、このモチーフは、1981年邦訳『ちいさなよるのおんがくかい』の中の一編「ちいさなよるのおんがくかい」に添えられたイラストとほぼ同じなのですが、やはり、まったく同じものではありません・・・!少なくとも、3度、このモチーフのイラストについて、丹念に手が加えられているということになります。そしてどのイラストもそれぞれに独自の音楽を秘めているような美しいみずみずしい作品です。もしも復刊の際には、いったいどのイラストが選ばれるのでしょうね・・・!

そして、1983年ドイツ語版『Die kleine Abendmusik
12 Gutenachtgeschichten』の本文中には、このイラストのテキストの詩が、おさめられてありません。
この1983年ドイツ語版は、副題に
「12 Gutenachtgeschichten」(「12の夜の詩」)
とあるように、12の詩とそのイラストから構成されています。14の詩から構成されていたイタリア語版(1981年邦訳の原書です)のダイジェスト版のような感じ、でしょうか?
つまり、1980年イタリア語版とは、表紙や、詩の数が異なり、ページ数、詩の順序、ページ構成などが異なっています。
ちなみに、惜しくもあと一編、1983年ドイツ語版にはおさめられていない詩は、1981年邦訳版のタイトルでいうならば「おはなしつくりのおじさんのおはなし(上記参照)」でした。この、おはなしの傘がパラソルの中に花開いたような楽しくて印象的なイラストは、裏表紙に用いられています。

ドイツ語版元bohem press社(Zürich/Recklinghaunsen/Wien)社は、その他のヨゼフ・パレチェクさんの絵本では、1984年『Die Prinzessin von Solimanien◆』、1985年『Das Lied vom Apfelbaum.◆』なども出版しています。

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