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□1978年『Claudia mit einer Mütze voll Zeit.』***未邦訳「クラウディアの帽子に時間をつめこんで」

初版 1978年
タイトル 『Claudia mit einer Mütze voll Zeit.』
テキスト≪シンプルに Wolf Harranth
◆くわしく
イラスト Josef Palecek
出版社
≪シンプルに
Verlag Jungbrunnen,
Wien,München
◆くわしく
大きさなど※ ハードカバー
カラー、 32p。
約28*20.8センチ
邦訳 未邦訳
「クラウディアの帽子に時間をつめこんで」
英語版

英語版
『No Time for Claudia』
Dobson Books 
英語訳James Dobson
1980

この版元Dobson Books社は、1980年に同じコンビの作品をもう一冊、『The Wonderful Meadow』『"Da ist eine wunderschöene Wiese,"sagt Herr Timtim▲』を、出版しています。
同じく英語訳は、James Dobsonさんという方。(Dobson Books社は、Dobsonさんの会社?)
アマゾン洋書でJames Dobsonさんのお名前を検索したところ、300件以上もヒットしてびっくり!
有名な方のようです。

英語版大きさなど※

ハードカバー
カラー、32p。
約20.8*28.4センチ

英語版アマゾン洋書※

『No Time for Claudia』
ハードカバー、32p、Dobson Books
ISBN: 0234721839
(1980/06)

「虹色の縦じまのワンピースの女の子のモチーフ」

ひざをかかえるおんなのこ ポスター

ポスター

ヨゼフ・パレチェクさんの
オリジナル・ポストカードの一枚
取扱店で発売中
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(c)Josef Palecek (c)project ano

この虹色の縦じまのワンピース、茶色く流れる素直な長い髪のモチーフは、他の絵本、
『トララララ◆』の表紙のひざを抱えた女の子
『ぼーるさんどこへいったの◆』の表紙のボールをおいかける女の子・マリンカ、ただし髪はおかっぱです。
『マシュリカの旅◆』の表紙のひざをかかえた女の子、『マシュリカの旅』リブシェ・パレチコヴァー作 ヨゼフ・パレチェク絵 編集工房くうなどなど・・・でも、目にしたことがあります。


さらに、虹色の縦じまの洋服を着た男性では、
『イグナツとちょうちょう◆』のイグナツさんの縦じまのシャツ
『"Da ist eine wunderschöene Wiese,"sagt Herr Timtim◆』のTimtim氏の縦じまのズボン
『Leo ist der allerletzte Räuber.◆』のLeoの縦じまのズボン
『Makovy muzicek◆』の縦じまのズボン

などなど・・・。
きっと、お気に入りの大切なイメージなのでしょうね!

 

※レン・コーポレーションさまの許可を得て画像を掲載しています。無断転載などはご遠慮ください。

 


 原書を見て
原書は1978年初版、ドイツ語『Claudia mit einer Mütze voll Zeit』Verlag Jungbrunnen、タイトルの英語直訳は、Claudia with a cap fully time、となるようです。
テキストは、Verlag Jungbrunnen社の絵本で、1970年代にヨゼフ・パレチェクさんとコンビの多い、Wolf Harranthさん。
個人的に入手できたVerlag Jungbrunnen社のパレチェクさんの絵本では、この1978年の絵本から、本文がオールカラーになっています(それまでは、カラーと白黒が交互に組まれた構成)。
表紙
表紙のふちは緑色、その内側に赤い枠。つまり、緑と赤の二重枠。

 

 

こんな雰囲気でしょうか???。

その中に、翼の生えたおおきな柱時計と、その柱時計にちょこんとこしかけて、手を振っている少女の表紙。
長い髪をなびかせる愛らしい少女は、ちょうど頭から青い帽子(野球帽みたいなの)をとったところなのか、たかだかと片手にかかげている感じ。
少女のワンピースは、虹色の縦じま模様に、白いえり、白いパフスリーブ、なんて可愛い! 
この清楚で可憐な虹色のワンピースのモチーフも(↓続きは左下の表をご参照ください)、振り子の大きな柱時計に刻まれたこまかな装飾も、時計の背の青い翼の文様も、少女の髪の色使いも、点々のまゆげも、みんなみんなパレチェクさんならではのもの。

はやる心を静めながら、ハードカバーの表紙をめくると・・・奥付。と、いうのでしょうか、見返しに、本文に直接関係のない、無地の遊びのページなどははなく、そのままコピーライトや作者、出版社などの記載のページがはじまっています。(なので、ボードブックのような、ちょっと珍しい感じです。)

なお、英語版『No Time for Claudia』が、1980年Dobson Books 社から出版されたのですが、この「ボードブック仕様」は共通しています。


英語版物語を読んで
元気いっぱい、笑顔の表紙の女の子とはうらはらに、物語の始まりは、家族全員、少しうかない表情です。

 

What a dreadful Sunday.

なんてつまらない日曜日、とでも訳すのでしょうか・・・。
日曜日だというのに、ママは仕事が忙しすぎて、家にまで持ち帰るありさま、パパはママのかわりの料理が忙しく、お兄ちゃんは明日のテストで勉強が忙しく、だあれも、元気いっぱいのクラウディアと、遊ぶようなひまを持っていないのです。
クラウディアは、みんなと新しいゲームがしたいのに。
みんな、そんな時間なんかない、というのです。

そこでクラウディアは、青い帽子をかぶって、一人公園に出かけます。日曜日の公園は誰もいません。みんなどこかお出かけなのでしょう
いまごろ家に閉じこもっているのは、クラウディアの家族と、それから・・・公園のそばのマンションの一番上に住んでいる、年老いたセラーさん(Mr.Seller、となっているので、あきんどさん、おみせのおじさん、という感じのニュアンスも入っているお名前なのかなあ?)。

セラーさんの部屋は、珍しい古い写真や家具や道具でいっぱい。
「セラーさんは、いまあたしと遊ぶようなお時間はあるの・・・」
とクラウディアがおずおずと言うと、セラーさんは笑います。
「ほしいだけおじょうちゃんにあげられるよ」

なんとセラーさんは、クラウディアに時間をくれるというのです!
その「時間」は、セラーさんの部屋の壁にかかっている大きな古い振り子の柱時計にあって、クラウディアに少しわけてくれるというのです。
セラーさんが柱時計の扉をあけてくれたので、クラウディアはかぶっていた帽子を差し出し、ほんのすこし時間を帽子の中に受け入れて、落とさないように急いで帽子をかぶります。

「ありがとう、セラーおじさん!」

そして家に帰ると、魔法のように素敵な日曜日が待っていました!
みんなクラウディアと、新しいゲームをして遊ぶ時間をつくってくれたのです。
ところが・・・。
という、お話。(だと思います)

本文はそんなに難しくないと思われる、短めの英文だったので、一生懸命、しどろもどろに読んでみました。
細かいニュアンスがわからない部分も多々あるのですが、かまってほしい遊んでしい、子どもらしい素直な心の、ちょっぴり切なく愛らしいファンタジー、という感じです。
キーワードは時間、それも帽子で受け止めて、帽子の中にしまっておく、なんて、とても魅力的で粋な表現ですよね!

ヨゼフ・パレチェクさんの美しいのびやかなイラストが、さらに魔法のように、物語を美しく彩ります。

クラウディアたちが散歩する公園の木々も、家族でピクニックに行く小山も、パレチェクさんならではのリズミカルで美しいデザインと、取り合わせや重なりの美しい色使いの、見ているだけで幸せになるような風景です。そして、セラーさんの家の目をつむってまるまるねこや、ピクニックのページにちらっと登場するしましま模様の耳のうさぎ、これの愛らしい動物たちは、ほかのパレチェクさんの絵本にも、たびたび登場しているモチーフ!

 


羽つき時計のモチーフ
さらに、同様のモチーフでいえば、鳥かごに入っている、羽の付いた目覚まし時計のモチーフをしばしば目にする機会があるのですが、この絵本にも、背中に羽のついた柱時計や、目覚まし時計が登場しています。もしかすると、ここにルーツがあるのかもしれませんね・・・。
(『Der Regenbogenberg, eine Traumgeschichte.◆』1991、『Die Insel Hammerbö◆』1995、などにもちらりと登場しています)。

 

また一冊、ヨゼフ・パレチェクさんの描く珠玉の宝物絵本が増えました。なんて幸せな時間!

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