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1975年『Däumelinchen』***邦訳『おやゆびひめ』

『おやゆびひめ』

おやゆびひめ

ヨゼフ・パレチェクさんの
オリジナル・ポストカードの一枚
取扱店で発売中
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(c)Josef Palecek (c)project ano

初版 1975年
タイトル 『Däumelinchen』
テキスト≪シンプルに Hans Christian Andersen
▼くわしく
イラスト Josef Palecek
出版社≪シンプルに Nord-Süd verlag Swizerland
▼くわしく
大きさなど※ ハードカバー版未読
ペーパーバック版
カラー、32p。
約28.7*20.5センチ
アマゾン洋書※

『Daeumelinchen.』
ペーパーバック
Dressler, Hbg.
ISBN: 385825052X
(1992/11)

邦訳≪版元

クリックで拡大します。『おやゆびひめ』ハンス・クリスチャン・アンデルセン作 ヨゼフ・パレチェク絵 プロジェクト・アノ

邦訳
おやゆびひめ
H.C.アンデルセン文
ヨゼフ パレチェク絵
石川史雅訳
プロジェクトアノ
(◇レン・コーポレーション◇アット・アームズの共同出版)
2005年
◆くわしく

オンライン書店ビーケーワン:おやゆびひめ←ビーケーワン

邦訳大きさなど※ ハードカバー
カラー、32p。
約32.5*24センチ

新訳文のお話

その部分は・・・おやゆびひめが、ヒキガエルの親子につれさられ、ちょうちょの助けを得て逃げ出したのもつかのま、今度はコガネムシにつかまったかと思いきや、周囲の声にまどわされたコガネムシに追い出されて、森でひとりぼっちになってしまう場面。

最初は夏でそれなりにひとりでしのいだのですが・・・冬になり・・・と、いう場面、イラストは、おやゆびひめが萌える草花の中ブランコをこいで遊んでいる可愛らしい場面なのですが(ペーパーバック版原書の表紙でもあります)、該当する日本語訳のないレイアウト、というか、あえて省略されているレイアウトになっていたのです。
もちろん落丁などではなく、はじめからそういう意向だったそうなのですが、私も含めて「省略?」というお問い合わせが多かったそうで(ごめんなさい)、なんと、版元のレン・コーポレーションさんは、この部分も含めて全面的に日本語訳を見直してくださったのです!
英断ですよね!

そして・・・漢字まじりでぐっと読みやすくなっている上、ルビがちゃんとふってあるので、この本をひとりで読んでみようかなーと挑戦する一年生ぐらいの子どもだったら、なんとか最後まで読み通せて大きな満足が得られそうな、そんな嬉しいレイアウトになっているのです。

しかも、あらためて読み直してみて、さらに驚きました。
訳文が、よりなめらかな日本語に変化しているのです。
読みやすいと感じたのは、レイアウトのためだけではなかったのですね!

今回の新訳にあたって、関係者の方々が本当に細心の注意と情熱をもって、『おやゆびひめ』をすみずみまで美しい極上の絵本に仕上げてくださったことがうかがえて、感動です・・・。
その努力たるや、並や大抵ではなかったことと思います。
本当にありがとうございました!


原書(ペーパーバック版)を見て
表紙
実は2005年待望の邦訳版『おやゆびひめ』を目にして手にして、初めて知ったのですが、私物のドイツ語ペーパーバック版原書の表紙と、邦訳の表紙とは異なっていました。
本文中の1ページの、本格的な冬が訪れる前のひとときの、オレンジ色の野で遊ぶおやゆびひめのイラストが、ドイツ語ペーパーバック版の表紙になっています。

邦訳版『おやゆびひめ』の表紙の赤い花の美しい絵は、ドイツ語ハードカバー版原書の表紙と同じものだそうです。本文中に似たモチーフのイラストはあるのですが、同じものはないので、この表紙のために、本文とは別に描かれたものだと思われます。


邦訳版を見て
表紙
色鮮やかな大型の絵本で(約32.5*24センチ)、日本語のタイトルの、ひかえめでほっそりとした飾り文字もきらりとこだわりを感じます。
そして真っ白な地に温かみのある美しい赤い花の表紙。
その真ん中に、すっくと立ち、こころもちドレスのすそをつまんだ、可憐で清楚なおやゆびひめ。

赤色というのか、ピンク色というのか、オレンジ色というのか、さまざまないろの微妙に重なった、パパラチャ・オレンジのような、熟れた南国の果実のような、とろけるような色の花が、花びらをふちどるさりげない模様が、すでにして、ヨゼフ・パレチェクさん独自の世界への秘密の扉の、胸のどきどきするような予感を感じさせます。

まさしく、パレチェクさんの絵。
ずーっとずーっと、こうして邦訳を手にする日を夢みて、念じて、祈り続けていたのだもの。

プロジェクト・アノさま、日本中のパレチェクさんファンの熱い願望をこんなに美しくかなえてくださって、本当にありがとうございます!


裏表紙
しかも、裏表紙にご注目。

一見、表紙の赤い花の中の可憐なおやゆびひめを、反転させただけのものに思えるのですが、否、まっすぐに、目に飛び込んでくる、透き通るように美しい白いものがあります。それはこの絵本を読み終えた子どもたちへの、みずみずしい充実感と、物語の澄んだ余韻をそっと届けてくれるような、ひそやかで愛らしい贈り物。
(ちなみに私物のペーパーバック版洋書の裏表紙は、くるみのベッドですやすやと眠る親指姫のイラスト。本文中の、かえるにつれさられたことをまだ知らない場面のイラストからカットしたものだと思われます)

表紙から裏表紙までの嬉しい細やかなこだわりも、パレチェクさんならではのものですよね!
そして本文中の豊富なイラストも、初期ののびやかな、すこし濃密な色彩の、パレチェクさんならではのイラストたち。

パレチェクさんカラーともいえるような、ページごとのテーマとなるカラーの、微妙な色を重ねて豊かな深みを出したオレンジ色を基調としたページも、紫色、青色を基調としたページも、すべてここにあります。
美しいペーズリー模様のようなパレチェクさん独自のチャーミングな町並みも、草花も花も、葉の茂る木々も、雪の結晶も、チョウチョも、なにもかもここにあります。
クリックで拡大します。『おやゆびひめ』ハンス・クリスチャン・アンデルセン作 ヨゼフ・パレチェク絵 プロジェクト・アノinそして、『Wer ist der Maechtigste auf der Welt?◆』の表紙などでも繰り返し出てくる、ピンクの三日月も、ここではしましまのぼうしをかぶってはいませんが、ラスト手前のページで、燦然と大きく輝いています。
そしてそして『トララララ◆』の表紙などでも繰り返し出てくる、首をかしげてひざをかかえるちょっと憂えた女の子◆。 あの胸の震えるようなナイーブなモチーフの原形ともいえるイラストも、『おやゆびひめ』の本文中の1ページに、すでにあでやかに登場しているのです!

つまり、一連のパレチェクさんのイラストの軸となる珠玉のモチーフたちが、きらきらと、そこここに、惜しげもなくちりばめられている、ということ!
(ちなみに、可憐なおやゆびひめが普通の少女になったような、愛くるしい女の子は、『Mein Kindchen das bleibt mein.◆』などの中にも登場しています。)


テキストを読んで
ちなみに、『おやゆびひめ』に用いられているテキストは、とても本格的な少し長いもので、原作に忠実なものになっているのでは、と思います。
このため、読み聞かせには、すこし体力がいりますが(笑)、子どもたちはたぶんある程度このお話を知っていると思いますので、わりとすんなりと最後まで、お話の世界と美しいイラストを堪能してくれるようです。(3姉妹に読み聞かせすると、次の日さっそくおやゆびひめのイラストを描いていました。くるみのベッドにお花の花びら・・・というのが、やはり3姉妹の小さなオトメゴコロをくすぐったよう)

なお、このテキストですが、2005年5月の初版のものが、一部の読者からの問い合わせなどにより、より美しくなめらかな訳に見直され、文字配列のレイアウトも新しく読みやすく一新されて、2005年6月、新しい『おやゆびひめ』として生まれ変わっています。(▲続きは左表参照ください)

※レン・コーポレーションさまの許可を得て画像を掲載しております。無断転載などはご遠慮ください。


パレチェクさん2007年カレンダー


パレチェクさん2007年カレンダー(12ヶ月)
>> A2サイズ/2,625円(税込)
≫アット・アームズ
発売の詳細などは上記HPでごらんになってくださいね。

カレンダーのページは≫こちら
神秘的で美しい12ヶ月のイラストの中の、≫5月「Tumbelina」、≫6月「Water-lily」のイラストが、『おやゆびひめ』の本文中の一場面それぞれと同様(もしくは共通)のモチーフだと思われます(同一かどうかはわかりません)。


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