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1974年『ちびとらちゃん』***『The Timid Little Tiger』

初版 1974年
英語版タイトル 『The Timid Little Tiger』
ただし原書『ちびとらちゃん』とまったく同じ物語ではないと推定される。
テキスト Josef Palecek
イラスト Josef Palecek
出版社≪シンプルに

学研
◆くわしく

英語版
Universe Picture Books/ Gakken
英語テキスト
Ann Herring

原書

ちびとらちゃん
ヨゼフ・パレチェク作
まつむらよしお文
学研ワールド絵本
1974年
品切れ

大きさなど※

初版は、月刊予約絵本の形であったと思われます。(未読)
その後何度か違う装丁でハードカバー化され、再版されています(セット販売)。

オンライン書店ビーケーワン:ちびとらちゃん

単独の絵本『ちびとらちゃん』(フローラルいちご版)は、
カラー、27p。
約21.7*26.3センチ

 


ヤン・クドゥラーチェクさん作『ちびむしちゃんのさんぽ』と2話セットの豪華な絵本版では、2話合計で
カラー、56p。
約21.5*26.3センチ

英語版大きさなど※


ハードカバー
カラー、27p
約21.7*26センチ

英語版アマゾン洋書※

『Timid Little Tiger』
ハードカバー、27P
Random House Audiobooks
ISBN: 0091411009
(1980/03)

ドイツ語版アマゾン洋書※

(※未読で、アマゾン洋書の出版年記載の1985年、1990年により、旧「ちびとらちゃん」では、と、推測しました。)


『Der kleine Tiger.』
ペーパーバック
Oetinger, Hbg.
ISBN: 3789161225 (1985/01)


『Der kleine Tiger.』
ペーパーバック
ISBN: 3925578064 (1990/02)

アニメーション 1976年
『The Little Tiger』
(Maly tygr)
監督;Bohuslav Sramek
デザイナー;Josef Palecek
KF a.s. - Studio Bratri v triku
12分, 35 mm, カラー, 1976
新装版≪版元シンプルに*≪作者シンプルに

1995年世界同時発売
ドイツ語版原書
『Nein, ich fuerchte mich nicht, nein, nein.』
Nord-süd Verlag
英語版
『Brave As a Tiger』North South Books
英語訳Andrew Clements
◆版元についてくわしく

新イラスト、新テキスト(Libuse Palecek(Paleckova))、未邦訳。
◆作者についてくわしく


原書『ちびとらちゃん』を見て
表紙
1974年に月刊予約絵本の形で(ペーパーバック版?)初版が出されたと推定される『ちびとらちゃん』は、その後ハードカバー化されて、少なくとも三度度装丁を変えて再版されているようです。(←左表参照)

版により、何種類かの表紙があると思われます。
単独ハードカバー版『ちびとらちゃん』(比較的初期)の表紙の一つは、野原でぽろぽろと涙をこぼす、なにやら悲しげなちびとらちゃんのイラスト。英語版『The Timid Little Tiger』と同じものです。
ヤン・クドゥラーチェクさんとの競演絵本では、同じイラストがトリミングされ、小窓からのぞくような形の表紙でした。
比較的新しい私物の単独ハードカバー版(学研フローラルいちご版、1993年新訂1版の表紙は、本文の一場面、ちびとらちゃんがゆうきを求めてサーカスに挑戦するイラストが用いられています。


物語
お話は、ちょうちょを追いかけて、いつまにかちびとらちゃんが、迷子になるところからはじまります。
そこへ、強そうな大きなとらたちがあらわれて、さらにちびとらちゃんはこわくなってふるえてしまいます。
ちびとらちゃんはとらだけどよわむしで、「どうしたら強い子になるでしょう」と、おかあさんがいつも心配するくらい。

強そうなとらたちは、こわがるちびとらちゃんを見て、
「なんだこれは。ねずみかな」
ちびとらちゃんは、ぼくはとらだ、と、主張しますが、とらたちは聞き入れてくれません。なぜなら、
「とらにはゆうきがある」。
そして、なんと、ちびとらちゃんから、とらのもっともとららしき象徴の、しましま模様を取り去ってしまったのです!

泣きながらも、「ゆうき」を探しに出かけたちびとらちゃんは・・・。

ヨゼフ・パレチェクさんの描く美しい若草色の野原、見守るほほえましい太陽、後に出てくる夜の山の幻想的な蒼い場面、美しい・・・ひたすら美しいです。とらたちのしましまが、どれ一頭として同じものはなく、どのとらの顔も、すべて個性的に描き分けていらっしゃる細やかさ。
このお話における、とらたちの自分のしま模様に対する思い入れを、さりげなくでもしっかりと表現なさっているようです。

このお話を読むと、まったく別のお話ですが、教科書にも載っていた有名な『◇モチモチの木』(岩崎書店)を、個人的に思い出しました。こちらも力強いタッチの大好きな作品!決して色褪せることのない永遠の名作です。
『ちびとらちゃん』も、教科書に載ってもまったくおかしくないくらい、すばらしい作品だと思うのですけれど!


当時の「ちびとらちゃん」、洋書版「ちびとらちゃん」について
また、『ちびとらちゃん』は、学研ワールド絵本のために描きおろしてくださった作品で、ヨゼフ・パレチェク作・絵、まつむらよしお文、となっています。
また、当時の学研ワールド絵本は、英語版、ドイツ語版など、Universe Picture Books/ Gakken 版元で、海外にも紹介・出版されていたようです。

『ちびとらちゃん』の場合は、同時期の作品『The Little Black White Cat◆』1974年Ann Herring英語テキスト、とともに海外版が出版されたようで、
英語版が『The Timid Little Tiger』、
ドイツ語版が『Der kleine Tiger.』詳細不明、など。
(ただし、アマゾン洋書で1985年と表記のあるドイツ語版『◇Der kleine Tiger.』は、奥さまのLibuse Palecek(Paleckova)さんテキスト、となっているようです。←左表参照)
当時は現在ほど作者表記などが厳密ではなかったということなのかもしれませんが、不明。

また、私物の英語版を読んだ感想としては、細かなエピソードが、一部日本語の『ちびとらちゃん』とは異なっている印象でした。

相違点;「勇敢だったのは誰だ?」 の質問主。
日本語版→馬。
英語版→しましまをとりあげたとらたち。
さらに、1995年新装版(英語版『Brave As a Tiger』)では・・・。
「勇敢だったのは誰だ? 」 の質問主。→しましまをとりあげたとらたち。より見せ場に。
その他の相違点;
表紙の雰囲気。→笑顔に。
場面数→一場面減。
「ちびとらちゃん」に「Fang (牙)」の名前が(英語版のみ)。


1976年アニメーションフィルム化


この作品は後に1976年、チェコでアニメーションフィルム化され(タイトル、『The Little Tiger』;Maly tygr)され、絵本化もされたようです。
レン・コーポレーションさんの◇HPにご紹介があります。

  

2007年2月21日、他のチェコのアーティストたちのアニメーションとともに、ついにDVDで発売に!


1995年新イラスト・テキスト版『Nein, ich fuerchte mich nicht, nein, nein.』 Nord-süd Verlag
▼下記1995年欄もご参照ください。
また、1995年新タイトル・新イラストでノルド・ズッド社より世界同時発売された『Nein, ich fuerchte mich nicht, nein, nein.』は、奥さまによるテキストです。
この英語版『Brave As a Tiger』を個人的に読んでみると、細かなエピソードが新しくなっていて(▲上記記表参照)、流れる年月の間に、このお話がイラスト・テキストともに大切にあたためられ、磨きぬかれたことが分かります。基本的に物語は、『ちびとらちゃん』と思われますが、さらに美しくよみがえった新しい「ちびとらちゃん」もぜひとも邦訳を希望したいところです。


学研フローラル絵本について

学研フローラル絵本といえば、毎月日本の子どもたちのために、世界各国のイラストレーターたちが、オリジナルの絵本を描きおろしてくださった、という、夢のような月刊予約絵本。主として幼稚園や保育園を通じて購入するシリーズのようで、現在も発刊中とのことですが、一般書店ではあまりお目にかかれない、かくれたる(?)傑作シリーズ。
一部、過去のタイトルが復刊され(『くもさんなにをみたオンライン書店ビーケーワン:くもさんなにをみたなど)、このたび一般書店などでも購入可能になったことは記憶に新しいですよね。

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1995年『Nein, ich fuerchte mich nicht, nein, nein.』***未邦訳 参照原書『ちびとらちゃん』

※編集の都合上、1995年にとんでいます。

初版 1995年
英語版タイトル 『Nein, ich fuerchte mich nicht, nein, nein.』
テキスト≪シンプルに Libuse Palecek(Paleckova)
◆くわしく
イラスト Josef Palecek
出版社≪シンプルに

Nord-süd Verlag AG,Gossau Zürich,Hamburg und Salzburg
◆くわしく

大きさなど※ ハードカバー、
カラー、28p
約22*24センチ
アマゾン洋書※

『Nein, ich fuerchte mich nicht, nein, nein.』
ペーパーバック
Nord-Sued Vlg., Moenchalt.
ISBN:3314006799 (November 1998)
参考原書

ちびとらちゃん

ヨゼフ・パレチェク作
まつむらよしお文
学研ワールド絵本
1974年
品切れ
参考アニメーション 1976年
『The Little Tiger』
(Maly tygr)
監督;Bohuslav Sramek
デザイナー;Josef Palecek
KF a.s. - Studio Bratri v triku
12分, 35 mm, カラー, 1976
英語版 『Brave As a Tiger』
English adaptation by Andrew Clements
英語版出版社

1995年世界同時発売
North-South Books, an imprint of nord-Sud Verlag AG, Gossau Zurich, Switerland.

英語版大きさなど※ ハードカバー、
カラー、28p
約22*24センチ
英語版アマゾン洋書※


『Brave As a Tiger』
 ハードカバー、32 p
North South Books
ISBN: 1558583955
(May 1995)


『◇Brave As a Tiger』
North South Books
ISBN: 1558583963
(May 1995)

 


原書を見て
表紙

表紙は、若草色の地に、長いしましましっぽをなびかせて、元気よくにっこりと歩いているちびとらちゃんのイラスト。そして、右上に青いちょうちょ。
原書学研ワールド絵本『ちびとらちゃん▲』の表紙とも(3種類ほどあると思われますが、そのどれとも異なります)、英語版『The Timid Little Tiger』とも、まったく異なっている新しい表紙です。
野原を思わせる背景に、ちびトラちゃんが一人でいるモチーフは似ているのですが、その表情が対照的で、『The Timid Little Tiger』では泣いていたちびとらちゃんが、『Nein, ich fuerchte mich nicht, nein, nein.』では、まんまるのくりくりお目目を輝かせて、元気いっぱいにっこりしています。
ちなみに、『The Timid Little Tiger』の、ぽろぽろと涙をこぼして泣いているちびとらちゃんの表紙のモチーフは、『Nein, ich fuerchte mich nicht, nein, nein.』の中表紙に、新しいタッチで再び登場しています。

『Nein, ich fuerchte mich nicht, nein, nein.』は、英語版『Brave As a Tiger』などとともに、Nord-süd Verlag 社から世界同時発売がなされたようです。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどで発売された英語版は、現在も、海外の古本市場などで、比較的見かける頻度が高いので、かなり人気が高く広く読まれていたのかなあ、と思います。復刊、そして翻訳希望ですよね!

 


英語版『Brave As a Tiger』を読んで
※上記1974年『ちびとらちゃん▲』欄もご参照ください。
『ちびとらちゃん』ではヨゼフ・パレチェクさんテキスト、となっていましたが、『Brave As a Tiger』では、奥さまのLibuse Palecek(Paleckova)さんテキスト、になっています。

英語版テキストをなさっている方(Andrew Clementsさん)も違うのですが、ストーリーも、学研ワールド絵本『ちびとらちゃん』とは微妙にエピソードが異なります。『The Timid Little Tiger』と似ている感じです。

ですがその『The Timid Little Tiger』とも、導入部が少し異なるのと、ページ数の関連か、減っている場面があって、より凝縮されストーリーが際立つ感じです。
ちなみに、この『Brave As a Tiger』のちびとらちゃんには「Fang (牙)」 という名前がつけられています。(ドイツ語版原書では、「der kleine tiger(ちいさいとら)」で、特別な名前はないみたいです)
さらに、「勇敢だったのは誰だ?」 の質問主は、『The Timid Little Tiger』と同じく、最初にしましまをとりあげた大きなとらたちです。加えて『Brave As a Tiger』のとらたちとの問答の場面は、日本語版よりもさらに重要な見せ場になっている感じです。(▲上記記表参照)
イラストもそれをふまえていて、さりげなく登場に際して描き加えられた箇所も発見して、パレチェクさんの、細部まで心を配った完璧なお仕事ぶりに感動してしまいます。

日本語訳のお話も、本当の強さと勇気を描いた完成度の高い物語でしたが、英語訳の『The Timid Little Tiger』、『Brave As a Tiger』のテキストも、さらに推敲を重ね磨きぬかれた感じです。

他のイラストの構図や場面展開は、『ちびとらちゃん』 『The Timid Little Tiger』とよく似ているのですが、すべて新しくさらに鮮やかに美しく仕上がっており、必要に応じて、加筆されたり削られていたりして、きわめて完成度の高い作品に仕上がっています。
最初の 『ちびとらちゃん』 をお描きになったときから、流れる年月の間に、パレチェクさんの熟練の腕に、さらによりいっそう磨きがかかっているのが素人にもよくわかります。

本当に、生まれ変わった『ちびとらちゃん』ともども、ぜひとも復刊していただきたい作品です!



2007年2月21日、他のチェコのアーティストたちのアニメーションとともに、ついにDVDで発売に!

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