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■□1974年原書あり?「くろいこねことしろいこねこ」***『The Little Black White Cat』


パレチェクさん2007年カレンダー


パレチェクさん2007年カレンダー(12ヶ月)
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神秘的で美しい12ヶ月のイラストの中の、≫7月「Summer night」のイラストを見て、『The Little Black White Cat』 、『The Suprise Kitten』の絵本の世界を思い出しました。(同一のイラストはありませんが・・・)
また、別の絵本などでも、共通するモチーフのイラスト(夜の猫の絵)がしばしば登場しています。

初版 1974年
タイトル 『The Little Black White Cat』
テキスト Josef Palecek
イラスト Josef Palecek
出版社≪シンプルに

学研
◆くわしく

英語版
Universe Picture Books/ Gakken
英語テキスト
Ann Herring

原書 「くろいこねことしろいこねこ」
※日本語版原書があったと思われますが、未読、不明・・・。
大きさなど※

日本語版未読、未確認・・・
初版は、月刊予約絵本の形であったと思われます。

英語版の『The Little Black White Cat』の原書表記に、1974年Gakken Co.,Ltd.、とあるので、1974年に日本語版も出されたのではないかと推測・・・。ご存知の方教えてください。

英語版大きさなど※ 英語版
ハードカバー
カラー、27p
約21.7*26センチ
英語版アマゾン洋書※

『Little Black White Cat』
ハードカバー、32p、
Hutchinson 
ISBN: 0091339901
(1978/09)

ドイツ語版アマゾン洋書※テキスト≪シンプルに

『Der kleine schwarze Weissfellkater.』
ペーパーバック
Esslinger, Esslingen
ISBN: 3480901069
(1985/11)
ドイツ語訳James Krüss
◆くわしく

英語版新タイトル 1976年
『The Suprise Kitten』
Parent's Magazine Press , New York
英語テキストEd Sand
▼下記もご参照ください。

ハードカバー
カラー、29p(イラスト部分は上記『Little Black White Cat』とすべて同じ)
約21*26センチ

1974年学研『The Little Black White Cat』として出版されたとの表記あり


■□英語版『The Little Black White Cat』を見て
実は、この、日本語原書の「ワールド絵本」の「The Little Black White Cat」を、個人的にまだ一度も見たことがありません。聞いたこともありません。頼みの図書館にも蔵書がないようなのですが、どなたかご存知の方がいらっしゃいましたらぜひ教えてくださいませ!
出版されているとしたら、『トララララ;▼コチラララ参照』『ちびとらちゃん;▲コチトラ参照』などと、同じ頃・1970年代中頃のものなのでは、と、思っているのですが、どうでしょう・・・。

私物の英語版『The Little Black White Cat』は、版元がGakken co.,ltd 、printed in Japan とあります。テキストもイラストもヨゼフ・パレチェクさんによるもので、英語テキストは、Ann Herringさんとあります。
当時、日本の子どもたちのために世界の作家が優れた絵本を描きおろしてくださった夢のようなワールド絵本は、ふたたび日本から世界各国に、「輸出」されていたようです。

また、後の1976年には、原書コピーライト表示『The Little Black White Cat』1974として、新タイトル、新テキストの、『The Suprise Kitten』Parent's Magazine Press , New York 、英語テキストEd Sand、が出版されたようです。(▼下記参照)

また、James Krüssさんによりドイツ語にも訳されたようですが(『Der kleine schwarze Weissfellkater.』詳細不明)、未読のため、どのストーリー(『The Little Black White Cat』もしくは、後の1976年の新タイトル『The Suprise Kitten』)に基づいているかなどくわしくは不明です。ご存知の方教えてくださいませ。


■□表紙
表紙は、三匹の白いこねこと一匹の黒いこねこが、まあるいお目目をぱっちりあけて、まあるいかごの中から毛糸だまのようにまあるい愛らしい顔をのぞかせているイラスト。
一匹だけ黒色のこねこなのでとても目立ちますが、よく見ると、残りの三匹の白色のこねこたちの顔も、みんなそれぞれ違っています。
誰一人同じねこはいないのだと、細やかに個性を描き分けていらっしゃるのだと思います。

裏表紙は、美しい藍色の夜のイラスト。満天の星のもと、同じまあるいかごのなかで、同じ4匹のこねこたちがすやすやとまあるい顔を寄せ合って眠っています。
いえ、一匹だけ、あの黒いこねこだけが起きていて、片目をあけて、ウィンク!
ほかの三匹のこねこたちの、昼間の白い毛が夜の藍色にすっかり染め上げられて、一匹だけの黒いこねこと、遠目では見分けがつかないくらいそっくりに夜の闇にとけこんでいます。
そう、光がなければ色もなく、夜の闇の中では白いこねこも黒いこねこもただの色をもたないこねこなのですからね!

表紙と、裏表紙だけでも、同じかごの中で、一つの物語を作り上げていらっしゃるようです!

余談ですが、この愛らしいこねこのモチーフは、『Mein Kindchen das bleibt mein.◆』などでも登場するなど、しばしばパレチェクさんの作品の中に見られる楽しいモチーフの一つです。
また、ヨゼフ・パレチェクさんのオリジナルポストカードの一枚、「けしのみ太郎-a」、「けしのみ太郎-b」にも、可愛いねこが登場しています。くわしくはこちら◆


■□物語
そして表紙をめくると・・・。ある家の台所に白いねこの家族が住んでいました。4匹のこねこがいましたが、そのうちの一匹(男の子)だけ、なぜか頭の先から尻尾の先まで真黒ねこでした。
4匹のこねこで遊ぶとき、雪の中で黒いこねこはすぐに捕まってしまいます。石炭倉庫でかくれんぼするとき、黒いこねこだけいつまでたっても見つかりません。
黒いこねこは、ある日一緒に遊ぶことをやめて、だまって物思いに沈みます。
そんな憂える黒いこねこを見て、白いねこの家族は、そっと台所を抜け出して、石炭倉庫に向かいます。
そして墨をなすりつけて、真黒になって戻ってきてみると、黒いこねこは・・・。

 

お互いがお互いを理解しよう、認めようと歩み寄る、とても愛らしい物語。本物は、うわべや見かけには左右されないと、こねこたちのくるくると澄んだ瞳が語りかけてくるようです。
ぜひ日本語原書を読んでみたいです。


1976年新タイトル『The Suprise Kitten』について
▼下記1976年『The Suprise Kitten』欄もご参照ください。

1974年学研『The Little Black White Cat』として出版されたとの表記があり、表紙、本文イラストともにすべて同じものを用いた絵本で、版元は、Parent's Magazine Press , New York、英語テキストは、Ed Sand、とあります。

作者表記はby Josef Palecekと同じですが、英語テキストが異なり、物語設定の細かな部分と、ラストの白黒決着のつけ方が少し異なっているようです。

『The Little Black White Cat』
白猫と黒猫は兄弟。
黒猫は男の子。

『The Suprise Kitten』
白猫の家族に黒猫が迷い込んできた設定。
黒猫の名前はPepper、女の子。

■□1976年『The Suprise Kitten』***原書あり?「びっくりこねこ」
※編集の都合上1976年にとんでいます。
初版 1976年
タイトル 『The Suprise Kitten』
テキスト Josef Palecek
イラスト Josef Palecek
出版社 parent's Magazine Press ,New York
英語版大きさなど※ 英語テキスト
Ed Sand

ハードカバー
カラー、29p
約21*26センチ

(イラスト部分は『The Little Black White Cat』とすべて同じ)

1974年学研『The Little Black White Cat』として出版されたとの表記あり
▲上記も参照ください。

邦訳≪シンプルに 原書あり?学研ワールド絵本
「くろいこねことしろいこねこ」
学研
1974年
◆くわしく

■□原書を見て
学研ワールド絵本「くろいこねことしろいこねこ▲」のタイトルと英語文を改め、版元を変えて出版されたものです。ただし、原書は学研の1974年の 『The Little Black White Cat』、とのコピーライトの記載があります。

イラストは『The Little Black White Cat』と全く同じものだと思われます。
クレヨンかパステルで描かれたような輪郭線の、愛らしいまん丸お目目の白いこねこたちと黒いこねこの物語。
ただ、テキストが少し異なっているようです。とくに最初と最後。

 


■□物語を読んで
▲上記1974年「くろいこねことしろいこねこ」欄もご参照ください。
『The Little Black White Cat』では、三匹の白いこねこと一匹の黒いこねこ(男の子)は兄弟という設定でしたが、
The Suprise Kitten』では、違います。ある日どこからか、一匹の黒いこねこ(女の子)が、白い三匹のこねこのいる家族のもとに、迷い込んできた設定です。名前をPepperとつけてもらって白ねこの家族の一員になります。
それから、最後。ラストの決着のつけ方が、少しだけ異なるように思います。

二つの色の物語、といえば、有名なレオ・レオニさんの 『◇あおくんときいろちゃん』(至光社) がありますが、二つの色の決着のつけ方には、いろいろな展開があると思います。まさしく、「白黒つける」というか、「白」になるか、「黒」にそまるか、まざって「灰色」になるか、まざるのですが混ざり方が「ぶち模様」になるか、「マーブル状」になるか、などなど・・・。

それぞれの「白黒つけかた」に、こめられた意味や思いがあると思うのですが、テキストによって、同じイラストでも、ラストの展開が異なるところが興味深いです。
どちらかとあえていうなら、個人的好みは 『The Suprise Kitten』 かな。
いわば 「本当の自分探し」 の絵本。

かつてガース・ウィリアムズさんの 『◇しろいうさぎとくろいうさぎ』(福音館書店)が出版なされたとき、白と黒ということで、いろいろ言われたむきもあった、という話をちらと聞きましたが、この、『The Suprise Kitten』、『The Little Black White Cat』は大丈夫だったのかな・・・とも、考えたりもします。でも何度か再版されているのですものね。ぜひもう一度、日本でもよみがえれ。

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