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■1972年『Wer ist der Maechtigste auf der Welt?』***邦訳『ねずみのレオポルド』

初版 1972年
タイトル 『Wer ist der Maechtigste auf der Welt?』
テキスト
≪シンプルに
Libuse Paleckova(Palecek)
◆くわしく
イラスト Josef Palecek
出版社
≪シンプルに
Nord-Süd Verlag
◆くわしく
大きさなど※

ハードカバー版
カラー、32p。
約29.3*21センチ

ペーパーバック版
約28.7*21センチ

アマゾン洋書※

『Wer ist der Maechtigste auf der Welt?』
Nord-Sued Vlg., Moenchalt.
ISBN: 3858251291 (1992/09)
邦訳≪版元

オンライン書店ビーケーワン:ねずみの レオポルド

邦訳
『ねずみのレオポルド』
リブシェ・パレチコヴァー 作 
ヨゼフ・パレチェク 絵 
千野栄一 訳
フレーベル館
1981年 品切れ
◆くわしく

邦訳大きさなど※ ハードカバー
カラー、32p。
約29.2*21.5センチ
英語版

英語版・未読
『Mightiest in the World』
Lutterworth P 1980
(Lutterworth社は、1980年『Bird of Happiness』(※『Mir gefaellt es nicht ueberall.◆』)も出版しています)

英語版アマゾン洋書※

『Mightiest in the World (STORIES OF FAITH & FAME)』
英語版
ボードブック、32p
Lutterworth P 
ISBN: 0718824253


原書を読んで(眺めて)
原書の作者表記は、Libuse und josef paleckとなっています。
表紙
原書ハードカバー版(初版?)と、ペーパーバック版では表紙が異なるようです。
ペーパーバック版の表紙は、邦訳版の表紙と同じもので、本文中の一場面を用いたもの。裏表紙へとイラストの余韻が続いていくレイアウトです。
ハードカバー版では、手描きとおもわれるタイトル文字が、空白の人物の頭の部分をなしているような粋なレイアウトです。その顔ともいえるタイトル文字の下に、たくさんの勲章もいさましい軍人服のような青い洋服が、片腕を胸に当てるポーズで立っていて、その肩飾りの上に、ちょこんとねずみがたって、タイトル文字(の顔)を見上げています。
物語の舞台が人間の劇場の衣裳部屋なので、その衣装を巧みに表紙に取り入れている感じです。そして裏表紙は、四角い絵の額縁のような枠の中に、青くほのすける桃色のしましまの三日月を背にずらりと枠に並んで座っている、ネズミたちの影のイラスト。真ん中でたって横笛を奏でているのは、エドゥアルド、となりで目をつむって聞いているのはユリイカだと思われます。額縁の下には、その絵のタイトルのようにバラの花、そしてハートの中に、J+Eの文字が。(二人の頭文字と思われます。そしてこのハートのモチーフは、ペーパーバック版の裏表紙にも用いられています)
邦訳の裏表紙は、この裏表紙と同じものを用いています。表表紙は、ペーパーバック版と同じ表表紙を用いています。
邦訳を読んで
表紙は、ヨゼフ・パレチェクさんのさまざまな絵本にしばしば登場する、しましまぼうしをかぶったような、桃色の三日月の横顔のあごの部分に、ちょこんとすわった可愛いねずみの恋人同士の寄り添うイラスト。
三日月は薄紅色の花のしきつめられたような、青い雲の上にふんわり浮かんでいるようで、心なしか不安げに手をとる二人を、にっこりと青いまんまるのおめめで見つめています。
プロジェクト・アノから発売の、ヨゼフ・パレチェクさんのオリジナルポストカードの宛名面に、オリジナルの小さな白黒のカットが描かれているのですが、その中に、三日月のモチーフもちゃんとありました!くわしくはこちら◆

これまでのパレチェクさんの絵本とはまた違った、エアブラシか、スパッタリングを施したような、細かな色の粒子を施した、深みのある繊細な美しいイラスト。絶妙な色のとりあわせと重ね方、余白を生かし躍動感あふれる構成は、やっぱりパレチェクさんならではでとってもチャーミング!
かつて1966年に『Solche Leute mag ich nicht.◆』という白黒の児童書を出版なさっていらっしゃるのですが、その白黒のイラストの中にも、このようなエアブラシのような技法を用いた部分がいくらか見られます。

また、愛らしいねずみたちのモチーフは、は、『Mein Kindchen das bleibt mein.◆』などでも登場するなど、しばしばパレチェクさんの作品の中に見られる楽しいモチーフの一つです。


物語
テキストは奥様のリブシェ・パレチコバーさん。
「ねずみのよめいり」として、世界的に有名で、いろいろなパターンで親しまれているお話をもとに、愉快でちょっとひねりのきいたねずみたちの愛と信頼と勇気の物語に仕上げていらっしゃいます。

ねずみのユリイカはお年頃。大好きなねずみの青年(エドゥアルド)がいるのですが、父親のレオポルドは許してくれません。それどころか、ユリイカのおむこさんにいちばんふさわしい相手を勝手に探し始めます。
まず、レオポルドがいちばんに振り仰いだのは、さんさんと頭上高く輝くおひさま。
おひさまこそユリイカのおむこさんにもっともふさわしい相手です!
ヨゼフ・パレチェクさんの描くまぶしい太陽!
見開き半分以上いっぱいにひろがる、光の粒子がはじけるような、黄金色の美しい太陽!しかも無邪気で愛らしく、子どものようにあどけなくのびやかな太陽!
ところが、なにやら急に雲行きが怪しくなって、まさにその堂々たる太陽を、もくもくたる黒雲がおおいかくします・・・。
それでは、世界でいちばん強いのは、太陽よりも雲なのでしょうか?
ところが・・・。

結局、ユリイカにいちばんふさわしい、世界でいちばん強い相手は誰だったのでしょうか?
特に茶目っ気たっぷりのまぜっかえしのラストがお気に入り。
ユリイカの父のレオポルドの、ちょっと頑固でお調子者の性格が、どこかにくめなくて愉快です。

世界でいちばん強い、大切なものは何か、を、子どもにもわかりやすく、楽しく美しく描かれているとびきり素敵な絵本ですので、ぜひ図書館などでお読みになってくださいね。
カバー見返しにちらりとのっている、訳者の千野栄一さんのことばが、この絵本について述べたいことをすべて集約してくださっている、という感じで素晴らしい文章なので、こちらもぜひごらんあれ。

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