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■1971年『Das haessliche Entlein.』***邦訳『みにくいあひるの子』

初版 1971年
タイトル 『Das haessliche Entlein.』
テキスト
≪シンプルに
Hans Christian Andersen
◆くわしく
イラスト Josef Palecek
出版社
≪シンプルに
Nord-Süd Verlag., Mönchaltorf.
◆くわしく
大きさなど※ ハードカバー
カラー、32p。
約32.8*24.5センチ
アマゾン洋書※

『Das haessliche Entlein.』
Nord-Sued Vlg., Moenchalt.
ISBN: 3858251984 
(1986/11)

邦訳≪版元

クリックで拡大します。『みにくいあひるの子』ハンス・クリスチャン・アンデルセン作 ヨゼフ・パレチェク絵 偕成社

■邦訳
『みにくいあひるの子』
アンデルセン 作 
ヨゼフ・パレチェク 絵 
やまのうちきよこ 訳 
偕成社
1984年
◆くわしく

邦訳大きさなど※

ハードカバー
カラー、32p。
約32.5*24.5センチ

英語版など

英語版
『The Ugly Duckling』1971年
未読

『The Ugly Duckling』
英語版
ハードカバー、52 p
Abelard-Schuman Ltd
ISBN: 0200717391 
(1971/12)

フランス語版『Le vilain petit canard』1972年
など


邦訳を読んで
イラストについて

クリックで拡大します。『みにくいあひるの子』ハンス・クリスチャン・アンデルセン作 ヨゼフ・パレチェク絵 偕成社

このイラストは、
パステルとガッシュ(※)を用い、「ひっかき」という技法を利用している
(※不透明水彩絵の具で、油絵のような力強い表現ができるそう)
そうで(『みにくいあひるの子』のカバー見返しより)、
1ページごとに基調となる比較的濃厚な暗めの色調をもち、そこに溶け込むように、ほのあかるくうかびあがった登場人物たちのイラストが、幻燈会を見ているようで、とても印象的な感じです。

夕暮れの燃え尽きる前の一瞬を描きとめたような、ヨゼフ・パレチェクさんのほとばしるような情熱豊かな、美しい大型絵本。

なお、この赤紫色の美しい表紙は、後の1990年のアンデルセン原作作品『Die Nachtigall◆』の表紙の雰囲気にも、どこか通じるものがあるような気がします。奇しくも、両者ともに「とり」にまつわるアンデルセンの物語でもあります。1971年の『Das haessliche Entlein.』から、1990年の『Die Nachtigall』へと・・・20年近くの流れる年月が美しく結晶化したような、とても壮大なロマンを個人的に感じてしまいました。


物語について
原書『Das haessliche Entlein.』のアンデルセンのテキストは一部省略されているそうですが、偕成社版では、
作品の世界をあますところなく伝えるために、原作を完訳しています
とあります。
つまり、パレチェクさんの情緒豊かなテキストと、アンデルセンの「みにくいあひるの子」の完璧なテキストが、存分に楽しめる豪華な絵本、ということ! 
偕成社さま、ありがとうございます! 

「みにくいあひるの子」のお話はとても有名ですが、「みにくいあひるの子」がそのみにくさゆえに、あひるの母親にさえうとまれるようになり、逃げるように親子のもとを出て行ったところから、辛い一冬を一人ぼっちで耐え忍ぶところまでの細かな場面を、すべて覚えていらっしゃる方は、意外と少ないのでは、と、思います。
「みにくいあひるの子」は、救いを求めていく先々で、すべてうとまれて、嫌われて、逃げ出さざるを得なくなるのです。・・・こう書くと、何だか救いがないくらい可愛そうですが、それだけに、有名なラストの幸せに、本当に心からほっとしてしまいます。

このお話は、作者のアンデルセンの自伝的作品、と、いわれているそうですが、だからこんなに自虐的に「みにくいあひるの子」をいじめているのかもしれません。
それでも、広い世界を見たい、という欲求や、美しいものへの憧れを捨てず、プライドを保ち、じっと辛い冬を耐え忍ぶ姿は、パレチェクさんの美しいイラストとあいまって、とてもけなげで感動的です。

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