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□1970年『Wunschland』***未邦訳「のぞみのくに」

初版 1970年
タイトル 『Wunschland』
テキスト Traute Simons
イラスト Josef Palecek
出版社
≪シンプルに
Nord-Süd Verlag,
Monchaltorf+Hamburg
◆くわしく
大きさなど※ カラー、32p。
ハードカバー
約29.2*21センチ
アマゾン洋書※

『Wunschland』
Nord-Sued Vlg., Moenchalt.
ISBN: 3858250368
(1992/09)

邦訳 未邦訳
「のぞみのくに」

原書を見て
表紙
作者紹介欄などで未邦訳作品としてあげられている『のぞみのくに』では。
初期のヨゼフ・パレチェクさんのおおらかなイラストが堪能できる大型絵本(約29*21cm)。のびのびとした底力を感じます。
まったく読めないので、眺めるだけですが、オレンジ色に染まる美しい草原を、かごを背負った一人の少年が歩いているシルエットの表紙。本文中にも同じような場面があるのですが、まったく同じではありません。つまり、表紙用の場面を改めてお描きになったのでは!
未邦訳絵本を読んで(眺めて)
おもな登場人物は、シルクハット(?)のおじさんと、スカーフのおばさんと、ハンチング帽をかぷったの男の子(と、ねことやぎ?)。

緑豊かな山あいの農家、が舞台でしょうか。
季節は夏?
ふりそそぐ金色のまぶしい太陽に負けず、燃えるように咲き誇るひまわりの庭を、見開きいっぱいに描いた場面は圧巻で、せみしぐれが聞こえてくるような、熱せられてゆらめく陽炎を見るような、ほとばしる力を感じます。
その場面と同じ構図で、今度は紫にうかびあがる夜の場面があるのですが、これがまた絵もいわれぬ美しさ。
昼間の力強い陽光の残像を結ぶようなひまわりの花の、闇にほのうかぶさまは、家の窓からもれてくるやさしい明かりに、照らされるくつをかかげた男の子と、おばさんとおじさんのシルエットを、いっそう幻想的にふちどります。この絵本では、とりわけて光と影を効果的に描き出していて、昼と夜の美しさがきわだちます。

冒頭場面では、男の子はずっとはだしで畑仕事のお手伝いなどしているので、くつを手に入れることは、きっと男の子にとって特別の物語の一つなのでしょう。
次の日、このくつをはいて、表紙にも描かれていた背中のかごにりんごをいっぱいつめこんで、歩いていくと・・・。


表紙から裏表紙まで
本文扉のイラストの、白い花の咲き誇っているような、小鳥のさえずる一本の木は、本文終わりに同じ構図で、リンゴをたくさん実らせています。
パレチェクさんの作品は、表紙から裏表紙まですべてに意味をもたせ、細やかな心配りのもと、トータルにデザインなさっている絵本が多いのですが、こんなこだわりも、この頃からすでに垣間見せていらっしゃったのですね。

テキストのTraute Simonsさんの他の作品には、『ぼくのさんりんしゃ』(偕成社 品切れ)などがあるようです。

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