■中村牧江さんと林健造さんの絵本 |
中村牧江 東京都生まれ。コピーライターとして、数々の賞を受賞。絵本作家として、林健造氏との作品に、『ふしぎなナイフ』▼『もしゃもしゃ』(福音館書店)、『ちがうのだあれ』『ちかくにいるのだあれ』(ひさかたチャイルド)がある。 |
林 健造 愛媛県生まれ。グラフィックデザイナーとして、数々の賞を受賞。装丁家として書籍を多数手がけ、絵本作家としても活躍中。 |
『てをみてごらん』*『ふしぎなナイフ』 |
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『てをみてごらん』 中村牧江さく 林健造え PHP出版 2007年
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きみのてはいまなにしているの
白い紙の手のしぐさに、心をつかまれ、ゆさぶられます。 紙の手の白さと質感と光と影が、さまざまな光景を浮かびあがらせる、拍手の絵本。手も口ほどにものを言うのですね。
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きみのてと ともだちのて あくしゅをすれば もうなかよしだ ・・・
白い切り紙で表現された、さまざまな手のしぐさが、繊細な影と質感をともなって、豊かな表情を見せてくれる絵本。 手の形に切り抜いた紙を、手のひらのぬくもりを確かめるように、そっとくぼませたり、そわせたりして、光を当て、撮影しているのでしょうか・・・。あるいは、それをイラストにしたもの・・・? のばしたり、握ったり、広げたり、組まれたりした、手の指の、手の甲の、てのひらの、白い紙の質感が、時にはこのまま動き出すのではないかと思えるほど、いきいきと輝いて見えます。その先につづく顔や、周りの光景までも、目の前に浮かんでくるよう。 白い世界に白い手の、ほとんど色のない世界に、時折現れる色が、とても鮮やかで、美しい印象。 添えられた短い文章とともに、さまざまなメッセージを手渡ししてくれるような、心に残る絵本。
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『ふしぎなナイフ』 中村牧江/ 林健造さく 福田隆義え 福音館書店 こどものとも年中向き 通巻83号 1993年2月号
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目の前のリアルで美しい絵と言葉の展開する不思議な世界が、頭の中の常識を小気味よく覆してくれる、痛快な絵本。 子どもたちも大好き。
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ふしぎなナイフがまがる ねじれる おれる ・・・
一本のナイフがありました。磨きぬかれたくもりなき銀色の、金属の照りも艶もまぶしい、切れ味の鋭そうな、由緒正しきナイフです。完璧なナイフ。 そのふしぎなナイフが・・・、まさか! 写真と見まごうほどに精緻に描かれたナイフが、およそナイフとむすびつかないような言葉に導かれ、まさかの見事な七変化を遂げる、驚きの絵本。 写真ではとうていありえないような、絵本ならではの展開に、日頃がちがちだった頭がくにゃりとまがり、溶けていくのが痛快です。 「ナイフ」が、「ねじれる」なんて、言葉と言葉の結びつきと、言葉と絵の結びつきの、一見ねじれた関係を、耳と目から理解できたときの喜びは、子どもたちもひとしおですよね。 ページをめくるたび、子どもたちの熱いどよめきが、間近に聞こえてきそうな絵本。
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