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『やんちゃな サルと しずかなパンダ』 アントニア・バーバーぶん メイロ・ソーえ 山口文生やく 評論社 2001年
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やんちゃなサルとしずかなパンダは、こどもたちの人気者。でも、パンダは何もしていないのに、好かれるなんて、サルにはおもしろくありません。 納得できないサルが、寺の老人に、パンダとサルのどちらがえらいか決めてもらう、愉快で天晴れなお話。
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むかし、中国のある村に、サルとパンダがすんでいた。サルは、やんちゃな元気もの。パンダは、しずかでおっとり。 村のこどもたちは、2ひきが大すき。あそぶ時には、サルといっしょに大はしゃぎ。あそびつかれると、パンダをさがしてひるねをした。 ところが、パンダのほうが人気があると思ったサルは、おもしろくなくて、日ましにいたずらがひどくなる。 そこでやさしい村人は、サルにけがをさせずにいたずらをやめさせようと、村はずれのお寺のおしょうさんに相談した。 おしょうさんは、ふくれっつらのサルの言い分を聞いて、それから、ササの下でのんびり夢見心地のパンダの言い分を聞こうとするけれど・・・。
竹やぶでササを食べてねているだけで、だれの邪魔もせず、何もしないパンダが、どうしてこどもたちに好かれるのでしょう? サルはいつだって、好奇心いっぱいで、なんでもどんどん取り組んで、器用にこなすし、子どもたちを笑わせたり、びっくりさせたりもするんです。いたずらだけじゃなくて、いろいろけなげな努力もしているんですよ。 ほら、サルの勇ましい冒険談に(多少ホラもまじってますけど)、子どもたちだって、聞き入っているでしょう? それなのに、パンダときたら、ここまでサルが詰め寄っても、老人に説明や、申し開きすらしないんです。 何をしてるかって、何もしていないんですよ! パンダ、形勢危うし?
目端が利いて、活発なサル型、寡黙で、思慮深いパンダ型。自分の中に一つの世界を持つパンダと、自分の外の世界に飛び出そうとするサル。特徴を巧みにとらえた寓話的な動物たちの言動が痛快です。 それぞれの言い分を聴く老人のゆったりした裁きも天晴れで、満を持した決着は爽快。あらためて、物事の道理を説いてくれる老人の言葉に、子どもたちも、二人の魅力を再確認、サルだって、文句のつけどころがありませんよね。 それにしても、初めから、子どもたちは、サルとパンダのそれぞれの魅力を、無意識のうちにもちゃんと知っていたのですね。 集団の中にも時々出てきたり、自分の中にも顔をのぞかせたりする、サル型、パンダ型。どちらも、それぞれのよいところを認めて、大切にしてあげたいなあと思いました。 民話を聴くようにくつろいだ気持ちで、とんとん拍子に楽しく読める物語でありながら、鋭い一面も見せてくれる、痛快な絵本。 部分的に版画のようなタッチを取り入れ、筆のタッチを巧みに生かしたイラストも、オリエンタルでみずみずしい雰囲気。
原題は、『THE MONKEY AND THE PANDA』 、Frances Lincoln Limited , London 1995 アマゾン洋書ではこちらなど。↓
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『The Monkey and the Panda (Windy Edge) (ペーパーバック) 』 Frances Lincoln (2004/01)
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テキストの作者、アントニア・バーバーさんの、他の邦訳絵本には、『まほうつかいのむすめ』(ほるぷ出版、エロール・ル・カイン絵) 、『ネズミのあなのネコの物語』(ブックローン出版、品切れ、ニコラ・ベイリー絵)があります。
メイロ・ソーさんの作品を、アマゾン洋書で検索したら、華やかで魅力的な表紙の本が多数ヒットしました。邦訳出版ならないかしら。
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『Tasty Baby Belly Buttons: A Japanese Folktale (ハードカバー)』 Alfred a Knopf (1999/04)
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日本昔話の桃太郎などをもとにしたお話のよう。うりこひめが鬼退治。読んでみたい!
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『Countdown to Spring: An Animal Counting Book (ボードブック) 』 Alfred a Knopf; Board版 (2004/1/13)
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『The Emperor and the Nightingale (ペーパーバック)』 Frances Lincoln Ltd (1999/7/7)
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『The Beauty of the Beast: Poems from the Animal Kingdom (ハードカバー)』 Alfred a Knopf (2006/3/14)
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