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『ブルンミとアンニパンニ』 文と絵 マレーク・ベロニカ 訳 羽仁協子 風濤社 2003年
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いちごつみに出かけたブルンミが、いちごのかわりにつぎつぎと見つけたのは、誰かの靴、シャツ、むぎわらぼうし。 着てみたらぶかぶかのブルンミが、つづいて見つけたのは・・・。
ブルンミとアンニパンニの、記念すべき出会いの物語。 心弾む色、心踊る形、わくわくする展開、素直で巧みで楽しいお話に、絵本を閉じた後も満ち足りた気持ちがずっと続きます。
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ブルンミとアンニパンニの、記念すべき出会いの物語。可愛い見返しの連続模様はいちご。

よくはれた日に、ブルンミがかごを持っていちごつみに出かけると、おや、野原に赤い靴を見つけました。
だれのかな? わからないけどはいてみよう。
ブルンミは茶色のくまさん。はじめから服も靴も帽子も何も身に着けていませんが、ぬいぐるみのように愛らしい茶色の身体をしています。 そのブルンミに、赤い靴はわりとぴったり(かな?)。 続いて歩いていくと、今度は青いシャツを見つけました。
だれのかな? わからないけどきてみよう。
続いていくと・・・
ちょっぴりミステリー仕立て(?)で、ブルンミと一緒にわくわくと物語が進んでいきます。 ひとつひとつ見つけたものを身に着けて、ぶかぶかになったブルンミが、見つけられなかったもの、そして見つけたものとは・・・!
やわらかくにじんだ色の重なりが、どこか切り絵のような、輪郭を切り抜いたカラーフィルムを重ねたような、古い印刷のにじみのような、とてもいい雰囲気を出しています。 ものの形がシンプルに、簡素に平明にデザイン化されていて、それだけでおしゃれな切手か、ポストカードのよう。 色と形を際立てる愛らしいタッチでやさしく描かれた、ぶかぶかの洋服を着てみるブルンミの、愛くるしいことといったら!
持っているだけで嬉しくて、眺めてなおほころんで、読んでまたまたにっこりする、子どもたちも大好きな愛らしい絵本。
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『おやすみ、アンニパンニ!』 文と絵 マレーク・ベロニカ 訳 羽仁協子 風濤社 2001年
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ブルンミとアンニパンニと、こねこの出会いの物語。 ないていたこねこを家につれて帰った二人は、こねこと一緒にそれぞれのばんごはんを食べて、それぞれのやり方でおふろに入ります。 さあ寝る時間になったら、こねこがいません。 ブルンミを寝かしつけたアンニパンニは、どこかでこねこのなくこえを聞きますが・・・。
ほのぼのとしたおやすみなさいのひとときを、美しくおしゃれなイラストで、ゆっくりと描いた愛らしい絵本。 ちょっぴりおねえさんのアンニパンニと、小さな子どものようなブルンミ、そしてこねこらしい愛嬌たっぷりのこねこ、ブルンミ・ワールドの大好きな登場人物たちがみんなそろった、記念すべき絵本。
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ブルンミとアンニパンニがいちごつみからかえってくると、とちゅうでこねこがないていました。 ふたりはこねこを家につれて帰りますが、おふろのあと、さあもう寝る時間だというのに・・・こねこがいません。
ブルンミはきょろきょろしています。−こねこはどこ? おうちへかえったんでしょ。
アンニパンニはブルンミを寝かせて、自分も寝床につきますが、そのとき・・・。
いちごつみで二人が出会った物語・『ブルンミとアンニパンニ』▲の、いちごつみから帰るおしまいの場面から、続いているようないないような(※参照)、ブルンミワールドのつながる・広がる物語。 後の『びょうきのブルンミ』▼などにさりげなく登場している、灰色の可愛いこねこちゃんとの出会いの物語です。 (※実際、『ブルンミとアンニパンニ』の本文最後のページと、『おやすみ、アンニパンニ!』の本文最初のページは、よく似ています。もっというなら、『ブルンミとアンニパンニ』の表紙 と、『おやすみ、アンニパンニ!』の本文最初のページはもしかすると、星をのぞいて同じ絵かも!)
おろしたての色画用紙をめくるように、一枚一枚わくわくする色使いが好き。それも原色をほどよくくすませた、穏やかでとろけるような色使いが好き。 おやすみの物語で、夜のお話なので、お部屋の中の場面が多く描かれているのですが、このお部屋の家具や草花たちのデザインが、またまたすっきりとおしゃれで魅力的なのです。表紙のゆりいすなど、本当にほしい! このお部屋のしつらえや間取りなどが、別の絵本『ブルンミのたんじょうび』▼や、『びょうきのブルンミ』などのものと、ほぼ同じなので、ブルンミ・ワールドは、最初からきちんと、ブルンミたちをとりまくものたちの設定が取り決められていたのかな、などと思います。 こんなおくゆかしいつながりを発見するのも、ファンのひそかな楽しみですよね。
コピーライトは1973年、とあります。 この絵本は、1973年に同じく風濤社から邦訳出版されていた『おやすみ,アンニパンニ!』の復刊のようです。 見返しの連続模様は、ちょうちょ。アンニパンニの青いパジャマの蝶ネクタイのような飾り模様です。(このパジャマも、後の『びょうきのブルンミ』で着ています)
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『ブルンミのたんじょうび』 文と絵 マレーク・ベロニカ 訳 羽仁協子 風濤社 2003年
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今日は何の日かわかる? ひ み つ! 何かをこそこそ、どこかへこそこそ、あちこちいそがしくいったりきたり、なぞめいた行動をしながら、アンニパンニはブルンミに何にも教えてくれません。 とうとうおこったブルンミが家を飛び出すと・・・。
アンニパンニのおともだちも登場する、にぎやかでおしゃれな絵本。ひみつにあわせて、ちょっぴりおめかしで、ますますシックで美しく。 ほほえましい素直なひみつが、途中でもうわかったら、アンニパンニたちとおんなじ気持ちで、おどろくブルンミの顔を思い浮かべながら、わくわくページがめくれそう。
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おはようブルンミ! きょうはなんのひかわかる? アンニパンニがききました。 わからないよ ね、おしえて! いわないわ ひ み つ!アンニパンニはこたえました。 ・・・
お楽しみの表紙見返しの模様は緑色のプレゼント箱。 本文最初の、ブルンミを起こすアンニパンニの水色のパジャマは、『おやすみアンニパンニ!』▲、『びょうきのブルンミ』▼などと同じもの。 この明るくて元気な水色は、他のブルンミ絵本でも、さし色としてしばしば用いられていますが、『ブルンミのたんじょうび』では、最初のページ以外、姿を消してしまいます。そのかわり(かどうかはわかりませんが)、登場しているのが、表紙にも用いられているこっくりした青色。そのせいかどうなのか、たんじょうびのおめかしも手伝って、絵本全体の色調がとてもシックでしっとり華やいでいて、いつもとまた異なる趣き。 さまざまなブルンミ・ワールドが楽しめて、とても得した気分です。
素直でほほえましい秘密は、きっとすぐに絵本を読む子どもたちにもわかるかな、という感じ。どうかしら? でもきっと、アンニパンニとおんなじように、そのときを待つ楽しみと喜びがふくらむことと思います。 みんながとても大切にブルンミを思う気持ち、愛されている気持ちが、小さい子にもよくわかって、ほのぼのと満たされる、嬉しい絵本。
表紙のおしゃれな脚の椅子と机、ずばり好みです。
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『ブルンミとななつのふうせん』 文と絵 マレーク・ベロニカ 訳 羽仁協子 風濤社 2004年
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なんだかかなしいそらだなあ、きょうは! そんなとき、ブルンミは、アンニパンニからきれいな色のななつのふうせんをもらいました。喜んでともだちに見せにいくのですが、その先々で、不運にもふうせんがひとつずつ割れていってしまいます。 最後のふうせんを、ブルンミは・・・。
ブルンミが失ったものと、得たもの。アンニパンニのやさしさに見守られ、導かれながら、ブルンミの成長をあたたかく描いた物語。雨あがりの草花のように、すくすくと元気になれそう。
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なんだかあめがふってきそうなそらをみあげて、しょんぼりしているブルンミに、アンニパンニがきれいなななつのふうせんのおくりもの。 あかいろ だいだいいろ きいろ むらさきいろ そらいろ あおいろ そしてむらさきいろ ブルンミはよろこんで、さっそくともだちのいぬのところに出かけますが、 パーン! さくにひっかかって、たいせつなふうせんがひとつ、われてしまいました。
つぎにはりねずみのところに行きますが、今度は野ばらのとげにひっかかって、 パン パーン! ・・・
ななつのふうせんをもらったブルンミの、なくしたものと手に入れたものをリズミカルに描きながら、少しずつの成長を描いた、すがすがしい青空のような物語。
この絵本だけ、他のシリーズと少し異なる印象を受けるのは、タイトルのフォントが他と異なり、少し大きいからかしら。本文のテキストのフォントも、他のシリーズより少し大きくて、異なっています。 ともあれ、元気なブルンミとアンニパンニの楽しい絵本であるところは同じ。 シリーズの中でも、『ブルンミとアンニパンニ』▲などと並んでお気に入りの一冊です(といっても、ほとんどすべてお気に入りなのですけれども)。
見返しは青いかさの連続模様。 アンニパンニのお洋服は元気な水色。耳の長いいぬやうさぎ、愛らしいはりねずみ、葉っぱのかえるなども登場して、さりげなくにぎやかで、とんでもなく可愛いったら。まあるいふうせんのひとつひとつも、雨粒のひとつひとつまでも、このうえなくいとおしい形をしています。
元気なブルンミと、やさしいおねえさんのようなアンニパンニ。色美しく親しみやすい絵でシンプルに描かれた、ほほえましいコンビのすこやかな物語が、心にやさしい青空をつれてきてくれるよう。
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『ブルンミとゆきだるま』 文と絵 マレーク・ベロニカ 訳 羽仁協子 風濤社 2004年
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あるゆきの日、ブルンミとアンニパンニは、外で楽しい雪遊び。アンニパンニにおしえてもらいながら、ブルンミははじめてゆきだるまをつくります。 やがておひるごはんの時間になったのですが、ブルンミはまだ帰りたくありません。家に帰る途中で、いつのまにかいなくなってしまいました! ・・・
ブルンミとアンニパンニの雪の日の愛らしい物語。ふつうのものが、自分にとって特別で大切なものになる喜びは、大きい人も小さい子もみんな同じ。その思い入れや愛着を、大事な人にもわかってもらえるとなおのこと嬉しいのですよね。
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あるふゆのあさ、ブルンミはまどのそとをみてびっくり。 −アンニパンニ、ゆきがふってるよ! 急いで着替えて、雪遊び。そりにゆきがっせん、それからゆきだるま・・・。 初めてゆきだるまをこしらえたブルンミは、おひるごはんでも家に帰りたくなくて、アンニパンニに引かれながら、そりの上で泣いています。 あら、きゅうにそりが軽くなったと思ったら・・・ブルンミがいません! どこへいったのかと思ったら、ゆきだるまのところ。 ・・・
雪の日のブルンミとアンニパンニの、楽しくてやさしい物語。 表紙見返しは黄緑色の長靴。 ちょっぴりおこった顔のアンニパンニを見たのは、はじめてかもしれません。そういえば、ちょっぴりやんちゃそうなブルンミですが、病気のとき以外で、アンニパンニに面と逆らうようなことをしたのは、もしかするとこれがはじめてかも(?)。 でもアンニパンニは、すぐにブルンミの気持ちを理解してくれて、いつものやさしいおねえさん。 子どもの心によりそって、そっと大切にはぐくんでくれるアンニパンニは、もしかすると理想の母親の一面も持ち合わせているのかも。愛らしい表情、すんなりほっそりのびた手足、元気よく風になびく髪、可愛くて、やさしくて、頼りになるおしゃれな女の子。こんなおねえさんが参観日にきてくれたら、思い切り自慢できそうですよね。
子どもたちに身近で、親しみを感じさせながら、心地よい安心も与えてくれる絵本。よかったね、ブルンミ。
ブルンミ・シリーズ統一のお部屋のしつらえも、魅力的。アンニパンニのファーの赤いコートも、ブルンミの緑系のしましまのマフラーもおしゃれで、愛でる楽しみもいっぱい。ねこちゃんもさりげなく(ねこらしく)登場しています(最後のブルンミがだっこしている場面は、ブルンミの満ち足りた気持ちがほのぼのと伝わってきて、とても好き!)。
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『びょうきのブルンミ』 文と絵 マレーク・ベロニカ 訳 羽仁協子 風濤社 2006年
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病気になってしまったブルンミと、やさしく看病するアンニパンニの物語。 お医者さまにみてもらって、ちゃんとお薬も飲んだのに、次の日もブルンミのお熱がさがらない! そこでふたりは・・・。
病気になったら、こんなふうにからだを休めて、いたわりながら、少しずつよくなっていくんだな、と、丁寧に実感できる優しい絵本。 色鮮やかでぬくもりのある美しいイラストと、穏やかで楽しいテキストが、子どもの心を弾ませます。
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ある朝、アンニパンニがブルンミを起こして、ピクニックに行こうとさそうと、どうしたことか、ブルンミはうかぬ顔。 ハクション! しんぱいになったアンニパンニが抱きかかえると、 まあ すごいねつだわ!
アンニパンニはいそいでお医者さんをよんで、ブルンミを診察してもらいます。 言われたとおり、お薬を買いに行って飲ませたのですが、次の日になっても、ブルンミの熱がさがらず・・・
病気のブルンミと、せっせと看病するアンニパンニの、心優しくて愛らしい物語。 見返しの連続模様は、ベッドでじっとしていなければならないブルンミの気晴らしにと、アンニパンニがいろいろもってきたおもちゃのひとつ、紫色の風車。 見返しの裏(奥付のページなど)には、塗り絵にもなるようなシンプルなイラストつき。 マーブルチョコレートのようにカラフルな色、ぽってりと水玉模様のように弾んだ形、くりくりと表情豊かで愛らしいお目目、ほのぼのとした親しみやすいテキスト、よく効く一粒のまんまるいお薬のように、読めばとぴきり元気になれそう! ブルンミのベッド、時計、いすなどなど、くっきりとおしゃれな家具たち(『おやすみ、アンニパンニ』▲、『ブルンミとゆきだるま』▲などでも登場しています)や、可憐な草花など、何気ない脇役たちのひとつひとつも大切に楽しみたい、素朴なのに垢抜けた可愛い絵本。 病気の時、ハンガリーではこんなふうにするのね、なんて新鮮な場面もあれば、ハンガリーでもおんなじだね、なんて親しみのもてる場面もあったり、ひとつひとつの丁寧な場面に、大人も子どももみんなにっこり。
原書は『Brummi beteg』Pagony,Budapest,Hungary,2005とあります。 ブルンミとアンニパンニの絵本シリーズ、今回も可愛いったら。 しかも、アンニパンニがベッドのブルンミに見せているパペットは、さりげなくキップコップではありませんか・・・?こんな嬉しいひみつもしのばせて。
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『ブルンミのピクニック』 文と絵 マレーク・ベロニカ 訳 羽仁協子 風濤社 2006年
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あのやまのてっぺんのいわをみてみたいな! ブルンミとアンニパンニは、さっそく登ってみることにしました。はしゃいで、疲れて、ぐずりだすブルンミを、アンニパンニはやさしく励まし、導いて・・・。
楽しいピクニックのひとつひとつを、子どもの目線によりそって、丁寧に丹念に描いた絵本。 とろけそうな色、ふっくらのびのびとした形、まとまりのよいレイアウトが、シンプルさの中に際立っています。
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今度の物語は、『びょうきのブルンミ』▲で果たせなかったその続きとも想像できるような、今度こそ本当にピクニックにいく元気な物語。 いつも絵本の見返しの連続模様が楽しみの一つなのですが、今回の見返しのにぎやかなテントウムシたちも、これまたとびきり可愛いこと! 見返しの裏(奥付のページなど)には塗り絵にもなるようなお楽しみのイラストつき。

ある日家の窓から、山のてっぺんの変わった岩をみつけたブルンミとアンニパンニは、さっそく登ってみることにしました。テントウムシマークのリュックサックをアンニパンニが背負って、さあ出発。
−リスさーん。どこにいるの? −し〜! おおごえをだしたらみんなこわがってかくれちゃうわよ アンニパンニがブルンミをやさしく諭します。
元気一杯のブルンミは何の荷物も持っていなかったのですが、だんだん疲れて、ぐずりはじめました。 ・・・
やんちゃであどけないブルンミと、おねえさんのようなアンニパンニの、楽しいピクニックのひとつひとつの丁寧な場面が、どの子にもひとつやふたつ身に覚えがあるような親しみやすさ。 はしゃぐブルンミ、ぐずるブルンミ、諭すアンニパンニ、励ますアンニパンニ、元気を出したり、勇気を出したり、教え導いたり、がんばって挑戦してみたり。 そしてやり遂げた喜びに、ひとやすみのご馳走のごほうび。 「行って帰る」絵本の基本に、前半でちらりと出てきたリスのエピソードなども加味されて、ブルンミの成長の芽生えがきらりと感じられるような気がします。 読んだあと、ほどよい満足につつまれてにっこりぐっすり眠れるような、心地よい物語。
原書は『Brummi kirandul』Pagony,Budapest,Hungary,2005とあります。
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