ちいさなちいさなちびむしちゃんが、ひとりでさんぽにでかけます。 おとうさんむし おかあさんむしがいいました。 とおくにいってはだめよ。 あぶないところにいってはだめよ。 はやくかえっていらっしゃい。 ・・・
ちびむしちゃんの一人の散歩の大冒険を、みずみずしく描いた珠玉の絵本。 おとうさんむし、おかあさんむしや、まわりのみんなの愛情にしっかりと包まれて、健やかに成長する愛らしいちびむしちゃんは、絵本を読む小さい子どもたちの分身のよう。好奇心旺盛で、元気いっぱいの子どもたちと一緒に、ちびむしちゃんが、可愛い冒険に飛び立ちます。
ちびむしちゃんの、くるっとまんまるで、つやつやした瞳も、咲きこぼれる可憐な野の花も、いきいきと広がる葉っぱも、小さな命の喜びに満ちて、輝くばかり。 たんぽぽやちょうちょなど、よく知っている生き物が登場するのも、幻想的なヤン・クドラチェックさんの世界に、ちょっぴり親しみやすさを感じて、嬉しくなってしまいます。 ヤン・クドラチェックさんならではの美しい表現で、一人一人豊かに描かれた、愛らしいちびむしちゃんたちを眺めるのも、なお心ときめく楽しい時間。 もしかして、となりの野原のかたすみにも、こんな小さな物語がひっそりと息づいているのかも・・・と思うと、本当にいとおしくなりました。
あたたかなまなざしで描かれた、素直で愛らしい物語は、読み手の中のちいさなちびむしちゃんを、そっとよびさましてくれるかも。
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↑アマゾンでは、合本版絵本の情報がありました。 1981年とあります。
■いくつかの版について
学研ワールド絵本は、海外で活躍する作家の方たちの描きおろし作品で、日本の子どもたちのためのオリジナルという贅沢なシリーズ。現在も月刊絵本として出版されつづけています。
かつて出版された、「ちびむしちゃんのさんぽ」の収録された絵本には、 1.ヨゼフ・パレチェクさんの『ちびとらちゃん』との合本版(豪華!)と、 2.『ちびむしちゃんのさんぽ』のみ収録の絵本版 があるようです。 ちなみに、私物の『ちびむしちゃんのさんぽ』のみの絵本は、フローラル<いちご版>で、1993年10月1日新訂1版発行とありました。このフローラル<いちご版>は、当時、全20巻、セット販売だったようです。 前述のヨゼフ・パレチェクさんの『ちびとらちゃん』も、ヤン・クドラチェックさんのもう一つの作品『かわせみとまほうのさかな』も、全20巻の中に収録されています。
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