■ケネス・タウンゼントさんの絵本 |
Kenneth Townsend イギリスの画家、デザイナー。学校卒業後、2年間イギリス空軍に勤め、その後、美術大学で絵画と陶器の絵付けなどを学ぶ。陶器の絵付けなどで活躍。 (『ぼうしをほしがったライオン』偕成社 巻末文章「鮮かなタイル画の楽しさ」 訳者 白木茂 より) |
『ぼうしをほしがったライオン』 |
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『ぼうしをほしがったライオン』 ケネス・タウンゼントさく・え 白木茂やく 偕成社 1970年 品切れ
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ぼうしをほしがった、頭のはげたライオンの物語。華やかで鮮やかで心地よいまとまりのあるタイル画で、ライオンの晴れ姿を描いた、おおらかでユーモラスで楽しい物語。
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アフリカに、木の上で暮している変わったライオンがいました。 かわっているといえば、このライオンくん、あたまのてっぺんがつるりとまるはげだったんですとさ。
は、は、は、は・・・。 仲間に笑われて真っ赤になったライオンくん、 「そうだ、ぼうしをかぶればいいんだぞ!」 と、思いついて、早速木の上から、道行く人のぼうしを、ひょいととろうとしますが・・・。
どことなく趣きの変わった、はっきりした色形の力強い絵は、 「絵付けしたタイル陶器をかまで焼き、それを原稿にしてつくったもの」 だそうです。 デザイン性に富んだ、簡素で美しい形の、なんとなく四角におさまるような、まとまりのある構成は、タイル画によるものだったのですね。 うわぐすりをぬった陶器のように、輪郭線がほどよく白の地にとけこんで、いい感じに沈んでいるように思えるのも、古い本の印刷によるものしれませんが、もともとタイル画であることによっているものかもしれません。
作者のケネス・タウンゼントさんは、陶器の絵付けなどでも活躍しているイギリスの画家、デザイナー、とあります。 このお話は、実際のタウンゼントさんのタイル画のデッサンの、頭のはげたライオンをめぐる、息子たちとの対話がもとになっていて、フェリクスと名づけるほど気に入ったものの、どうしてはげているのか、風邪はひかないのかと気にしつづける息子たちを安心させるために、タウンゼントさんが考え出した物語だそうです。 (『ぼうしをほしがったライオン』偕成社 巻末文章「鮮かなタイル画の楽しさ」 訳者 白木茂 より)
ちょっぴり頭のうすい陽気なライオンが、ぼうし獲得にあれこれはげんで何度も失敗したのち、気持ちをわかってもらえて、晴れて立派なぼうしを頂く、誇らしくいさましい場面は、きっと、タウンゼントさんの息子たちも、一緒になって大喜びしたことでしょうね。
古きよき昔の、あたたかで、おおらかな絵本、という雰囲気があります。
原書は『FELIX, THE BALD-HEADED LION』1967 Richard Sadler & Brown Ltd.とあります。 他の作品では、Chetham-Strode, Warren 著『Tootoo's Friends at the Farm』(1967 Heinemann, London、144p、児童書?)の、挿絵を担当していると思われます。 雰囲気のあるタイル画の絵本を、もっともっと見てみたいです!
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