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『エマのしごと』 ぶん・え グニラ・ヴォルデ やく つばきはらななこ 童話館出版 2006年
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エマは、きょうは、こわれたおもちゃたちのなおしやさんになることにしました。 ちゃんとなおしてあげたら、ほら、みんなうれしそう。 でもね、あとかたづけを忘れていたら・・・。
ものを大切にする心をはぐくみ、自分の手でやりとげる喜びを教えてくれる絵本。 大切なことがいっぱい。
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これは、みんな、エマのおもちゃんともちものです。 おや、こわれているものもありますね。 エマは、きょうは、なおしやさんになることにしました。 方法や順序を考えながら、さっそくしごとにとりかかりますよ・・・。
こわれたおもちゃを自分でなおすために、おとうさんやおかあさんに必要な道具を借りながら、ひとつひとつてきぱきとやりとげていく絵本。 きっと、おとうさんの日曜大工や、おかあさんの針仕事を、日常生活でもよく目にして、よく観察して学んでいるのでしょうね。 エマの仕事ぶりは小さい子ながら、頼もしく、お見事。ちいさなおとうとも大喜び。 絵本を読んでいる小さい子も、こんなふうにすればいいんだなと、いっしょに学んでいけますよね。 でもね、小さい子にありがちなことですが、修理の目的を達成した後の、道具の片付けをうっかり忘れてしまうと・・・。
ものを大切にすること。自分で考えて、工夫して、よりよい方法や手順を探しながら、最後までやりとげること。それから、きちんと後始末。 物事を潤滑に運ぶための大切な要素が、小さい子にもわかりやすく、きちんと描かれた頼もしい絵本。
原書は、『EMMAS VERKSTAD』 コピーライトは、Gunilla Wolde and Bokforlaget Natur och Kuitur ;1977,1997 とあります。 この絵本に関しては、旧版の偕成社シリーズに原書の同じものがなく、今回新しく邦訳されたものなのでは、と、思われます。
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『エマとピーター』 ぶん・え グニラ・ヴォルデ やく つばきはらななこ 童話館出版 2006年
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エマとピーターはおないどしの女の子と男の子。ふたりにはちがうところがたくさんあります。 もしも二人がおなじような子で、おなじようなことを考えていたら、どうなるかしら?
子どもの視点で、二人の人間についてみつめ、いろいろなことを発見していく絵本。
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この子は、エマです。 この子も、エマです。 でも、ちがう子にみえるでしょう? (2枚目のイラストのエマは、髪の毛をふたつに結んでいます。)
この子は、ピーターです。 ピーターとエマはおないどしです。 でも、ふたりにはちがうところがたくさんあります。 ・・・
おないどしの女の子エマと、男の子ピーターの、それぞれの背景、個性に、幼い子の目で気づいていく絵本。 エマとピーターは、住んでいる家も、家族構成も、対照的。一人っ子のピーターはエマのちいさなおとうととあそびたいし、エマはピーターの犬がうらやましいなと思います。 どちらも現代の子どもたちの代表的な家庭をあらわしているので、絵本を読む子どもたちも、自分といっしょだなと共感したり、いろいろな家や、いろいろなおともだちがいるのだなと理解することができますよね。
エマとピーターが同じ格好をして楽しく遊びながら、自分や他人に気づいていく場面も、小さい子の目線で、同じ発見ができるようにやさしく描かれています。 子どもの心に、小さな社会的まなざしをはぐくんでくれる絵本。
原書は『ANNORLUNDA EMMA OCH PER』、コピーライトは、Gunilla Wolde and Bokforlaget Natur och Kuitur ;1977,1997 とあります。 この絵本は、かつての『エミーとペーターはちがうよ』▲(偕成社、品切れ)と、同じ原書だと思われます。結末の訳され方が少し異なる雰囲気です。
『スウェーデンから来たトッテ』(勁草書房)▼の中にも、「エンマとペールの違うとこ」として紹介されていて、とても参考になりました。
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『にこにこエマ』 ぶん・え グニラ・ヴォルデ やく つばきはらななこ 童話館出版 2007年
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この子は、エマちゃん。 いつもはにこにこ、ときどきめそめそ。 もちろんちゃんと知っているけど、たまにはいつもと違うやり方を試してみたり、ちょっぴりふざけてみたり。 かわいい弟とも仲良く遊びます。たまには泣かせたりもするけれど。
元気いっぱい、好奇心いっぱい、素直でやんちゃで愛らしいエマちゃんの、はつらつとした子どもらしい様子が、明快に描かれている絵本。
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この子はエマです。 いつもは、ほら、こんなかお。 でも、ときどき、こんなかお。
いつもは、エマは、あしにズボンをはきます。 もちろん、ズボンはそのようにはくものです。 でも、ときには、エマは、あたまにズボンをかぶりたくなります。 ・・・
絵本の中に、もう一人の自分を見ているような、幼児の可愛いお友達、エマちゃん。 シンプルで明快な絵で、エマちゃんがお茶目に挑戦している姿を一緒に楽しむことができます。ついデジャヴュを感じたり、まねっこしてみたくなったり、思い当たって苦笑したりする人もいっぱいいるのでは? エマちゃんの中に、子どもらしい毎日の喜びや小さな学びを見出せる、愛らしくて頼もしい絵本。
旧版の偕成社の『いいかおわるいかお』(品切れ)▲と、同じ原書に基づいていると思われますが、訳の雰囲気が少し異なっているように感じました。 『にこにこエマ』のかっちりした訳もとても好みです。
原書は、『EMMAS TVARTEMOT』 コピーライトは、Gunilla Wolde and Bokforlaget Natur och Kuitur ;1974,1997 とあります。(正確な表記ができていません、ごめんなさい。)
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『スウェーデンから 来たトッテ− 絵本の中の比較教育学』
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石崎 秀和 勁草書房 1989年 |
目次 第一章 子供の教育環境 第二章 スウェーデンのトッテ 第三章 比較研究への道 第四章 日本のトッテ 第五章 大人とトッテ(絵本の翻訳に関する比較教育学的実験A) 第六章 子供とトッテ(絵本の翻訳に関する比較教育学的実験B) 第七章 幼児絵本と日本の教育環境
スウェーデンで愛され続ける『トッテ』絵本と、かつて邦訳出版された『トミーちゃん』絵本をさまざまな角度から比較研究しながら、各々の教育環境と教育観の違いを探った研究書。子供の絵本を考えるひたむきな論文。 『トッテ』シリーズ原書、邦訳、英語版や、『エンマ』シリーズについてなども、くわしく記されていて、とても参考になります。 トッテちゃん、エンマちゃんについて、もっと知りたい方は、ぜひ。
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