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『おやすみアルフォンス!』 グニッラ=ベリィストロム作 やまのうちきよこやく 偕成社 1981年 品切れ
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「パパ、はをみがくのわすれちゃった」 「パパあ、おしっこ」 ・・・
「おやすみ、アルフォンス、もうねておくれ!」
甘えたい盛りの成長途中の普通の小さな男の子と、育児奮闘中の普通の大きなパパの、精一杯の知恵と遊び心と愛情あふれるやりとりが、とても自然でほほえましい絵本。
読み聞かせする側もされる側も、くすくす笑いながら、ちくちく思い当たる節のあるような、なめらかで楽しいかけひきに、大人も子どもも愉快痛快、拍手喝さい。 しっかりしたテキストを彩る、個性的で愛らしいイラストも、とても鮮やかに目をひきます。
スウェーデンではいまも愛され続けるロングセラー、日本でも、ぜひもう一度の復刊が望まれます!
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アルフォンスとパパの夜の絵本。 まだまだパパに甘えたい・かまってもらいたい幼いアルフォンスぼうやと、やさしいパパの、夜眠る前の他愛無くほほえましいやりとりを描いた愉快な作品です。
うちの3姉妹も、眠たくてぐずぐず言い出すにもかかわらず、眠るのが惜しくて、あーだこーだとぐだぐだいつまでも遊んでいたがるのですが、親は「寝かさなくちゃ」と、必死です。なにしろ「寝る子は育つ」、健やかな子どもの成長には、たっぷりのよい眠りが必要だとか言われますものね!
ところが、眠るなんてもったいない!とばかりに、寝る時間に向かったとたん、いつも子どもが何かに熱中し始めるのは、全国世界共通のお約束。 そこで、何とか寝かしつけなくちゃ、と、あのテこのテの大作戦を描いた、おやすみ絵本は世界中にゴマンとあるのですが、スウェーデンのアルフォンスぼうやのおやすみ絵本は、なかでもとってもユニークです。
小さくても知恵者の4歳のアルフォンスは、ストレートに 「パパ、もっと遊んで!眠れないの!」 と、訴えても却下されることを熟知しているので、ひとひねりふたひねりして、パパがアルフォンスのところに飛んでこずにはいられないように巧妙に仕向けるいくつかの技を習得しています。 例えば、歯を磨くの忘れちゃった、とか、ジュースこぼしちゃった、とか、「パパ、おしっこ!」とか。 はては即興詩人よろしく、「とだなにライオンがかくれている」など、その場で適当にでっちあげる豊かな才能と、自分の想像力の産物に自分で共感する迫真の演技力もかいまみせます。 しかし頼りになるまめまめしくやさしく気の毒なパパが、アルフォンスの安心できる眠りのために、いちいちとだなを点検確認してくれて、とだなのライオンの不在が立証されるや、即座に手を変え品を変え、次の手段を講じるなど、臨機応変さにもぬかりはありません。「ぬいぐるみのくまをもってきて」とか…。
パパにとってはほんとうににほとほとごくろうサマ、でも困ったチャンのアルフォンスにとってはとってもとっておきのひとときなのですよね。
子どもの気持ちも、大人の気持ちも、いやみなく両方わかるように楽しく明るく描かれているので、読み聞かせる側もされる側も、ついついぐいぐいと引き込まれてしまいます。
しかも、グッニラ=ベリィストロムさんのイラストがとびきりユニーク。一度見たら忘れられないくらい個性的な楽しい表情に、茶目っ気たっぷりのコラージュもあちこちちりばめられ、シンプルで華やかな色使いがほどこされて、とてもきれいです。 何度かくりかえし読むうちに、アルフォンスがいきいきと可愛らしく見えてくるからあら不思議。 実は「母親」不在の不思議さなどみじんも感じさせないほど、アルフォンスとパパとの自然で確かな結びつきが、とてもさわやかで居心地のいい、楽しい絵本。
少しひねりのきいた、おやすみまえの楽しい身近なお話なので、読み聞かせの小さい子から一人読みの大きな子まで、繰り返し長く楽しめる一冊になりそう。
原書は 『GOD NATT ALFONS ABERG』 (raben&sjogren,Sweden 1973) とあります。 英語版は、こちら↓
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『Good Night Alfie Atkins』 Gunilla Bergstrom (2005/05/01) R & S Books
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『パパ、ちょっとまって!』 グニッラ=ベリィストロムさく やまのうちきよこやく 偕成社 1981年 品切れ
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「アルフォンス、なにをしているんだい?」 「パパ、ちょっとまって!」
朝、パパは会社へ、アルフォンスは保育園へ。 急いでいるときに限って、無くなったと思っていたおもちゃや新しい本やあれやこれやが、こぞってアルフォンスの気を引き、足を引っ張るのです。 そして、あせっているからよけい事態はややこしく!
やっとこさっとこ、アルフォンスが支度を終えると、おや、パパがもういません! パパは、アルフォンスを置いて一人でいってしまったのでしょうか? それとも?
せわしない朝のさりげない1コマを、子どもの気持ちによりそって、軽快に愉快に描いた楽しい絵本。 読み聞かせながら、大人も子どももそれぞれにどっきり、思い当たるフシばかりだったりして。
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アルフォンスとパパの朝の絵本。 気ぜわしい朝の風景を描いた痛快な物語です。 朝、アルフォンスは保育園へ、パパは会社へ、目が覚めたらさっさと支度をして、でかけなければなりません。 ところが、こんなときにかぎって、あれやこれや、いろんなことが目をひきます。 あっ、こんなところに、まえからさがしていた車のタイヤが。アルフォンスが直していると、 「アルフォンス、まだかい。」 「はあい、ちょっとまって・・・」
車をたなに戻すと、そこには新しい動物の本が! 早速開いたとたん、パパの呼ぶ声が。 「アルフォンス、ごはんができたよ」 「はあて、ちょっとまって・・・」
ところがあんまりあわてたので、開いたページがびりっとやぶれてしまいました。 ・・・。
アルフォンスがあせって、ひとりでこんがらがっているうちに、台所から呼んでいるパパの声も、だんだん大きくなってきます。 それでもなんでも、とにかくなんとか、アルフォンスが時間通りにすべりこみで間に合わせると、今度はパパがいません!
華やかな色彩と、楽しいコラージュ、そして独特の表情を持つシンプルな線画は、一度見たら忘れがたい鮮やかさ。 大人も子どももそれぞれにうなづいて、たまにどきっとするような、さじ加減絶妙のテキストも、一度読んだらきっととりこの面白さ。 すぐとなりにいるような、普通の父と子のありのままの姿を、さっぱりと軽やかに、きっぱりと的確に、どっきりと絶妙に描いた、個性豊かな絵本。
原書は、『RASKA PA, ALFONS ABERG』(raben&sjogren,Sweden 1975)とあります。
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『アルフォンスのヘリコプター』 グニッラ=ベリィストロム作 やまのうちきよこやく 偕成社 1981年 品切れ
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今日はお休み。 パパはのんびり新聞を読んでくつろぎ、アルフォンスは、大好きなパパの大工道具を借りて、パパの後ろでトンテンカンテン、おもしろいものを作っています。
「ねえ、パパ・・・」 「ふんふん、のこぎりをつかってはいけないよ」
そこでアルフォンスはのこぎり以外で、あれこれ工夫して頑張ります。
そしてついに出来上がったアルフォンスの傑作ヘリコプターを見て驚いたパパは・・・。
お休みの日にパパにかまってほしいアルフォンスと、ゆっくりくつろぎたいパパの、どこか温度差のずれたやりとりが愉快でちょっぴり切なく、最後にはほっとやさしいぬくもりに包まれる、とびきりの絵本。 しっかりと組み立てられたテキストと、シンプルで明快なイラストに支えられ、アルフォンスとパパの愛情はゆるぎなく、夢いっぱいの飛行に飛び立ちます。
大人の気持ちも子どもの気持ちも、どちらも共感をよび、どちらも幸せに満たされる、心がじんとする絵本。
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アルフォンスとパパの休日の絵本。 久々に3姉妹に読み聞かせすると・・・、4歳の二女が真っ先に駆けつけてきて、「コレ好き!」と、叫びました。ハハも好きです。 まん丸顔に、にっこりわらった半円のお目目が、なんともユニークな愛嬌のあるアルフォンスが目印。パパの大工道具をいろいろ使って、あれこれ工夫して、トンテンカンテン、一人で作品を作っている表紙です。
英語版はこちら。↓
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『Very Tricky Alfie Atkins』 Gunilla Bergstrom (2005/05/01) R & S Books
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原書は 『AJA BAJA ALFONS ABERG 』 (Raban&Sjogren Sweden 1972)とあります。
物語は・・・ 5歳のアルフォンスが一番好きなことは、パパと遊ぶこと。二番目に好きなことは、パパの大工道具のとだなをあけること。 でものこぎりがまだあぶないので、アルフォンスは使ってはいけないことになっています。
でも今日はパパのお仕事のお休みの日。新聞を読んだりテレビをみたりして、ゆっくりのんびりしているこんな日は、パパは、アルフォンスが何をしても、あまり気にかけないようです。 だから、大工道具を使っても・・・。 「ふんふん。でも、のこぎりにはきをつけなさい。」 と、上の空で言うだけ。アルフォンスにはのこぎりなんて、大きすぎてまだ使えやしないのにね。
お休みのときくらいかまってほしい元気いっぱいのアルフォンスと、お休みのときくらいのんびりゆっくり新聞を読んでくつろいでいたいお疲れのパパの、微妙にすれ違うやりとりとかけひきが楽しくて、ちょっぴり切ない絵本。 だまってひとりで考えて、工夫して頑張ったアルフォンスに、やっと気づいたパパの、やさしく包み込む場面がとても好き。
アルフォンスシリーズは、楽しいイラストと共に、子どもに身近で、親しみやすく、心にぴったり寄り添うテキストなので、どれもみんなおすすめです。 残念ながら現在すべて品切れ状態なので、図書館などに蔵書がありましたら、ぜひお読みになってくださいね。 作者のグッニラ=ベリィストロムさんの絵本は、ユニークなイラストが楽しいだけでなく、一冊一冊、どれも子どもへの鋭い観察と、愛情あふれる巧みな物語で、読後の静かな余韻がとてもさわやか。スウェーデンで人気のロングセラーとあるのもむべなるかな、納得ですよね!
アルフォンス絵本の邦訳は、他にもいくらかあって、すべて品切れなのですが、どれもこれも読み応えありの逸品ぞろい!
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『ひみつのともだちモルガン』 グニッラ=ベリィストロムさく やまのうちきよこやく 偕成社 1982年 品切れ
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おとこのこのなまえはアルフォンス。 きょうはあさからたいくつです。 だいどころへいくと、パパが、 「モルガンがいるじゃないか。モルガンとあそびなさい。」と、いいました。
モルガンは、アルフォンスのひみつのともだち。よべばいつでもきてくれます。アルフォンスはモルガンと一緒に汽車をつくるうち、煙を吐く機関車をつけるため、パパのパイプをこっそり持ち出しました。 ところが汽車が脱線して、パパの大事なパイプがなくなってしまいます。
「ぼくのパイプをしらないかい?」 アルフォンスはパパに聞かれますが、 「し、しらない・・・」。 パイプを失ったまま、どうにも所在無げなパパと、なんとなく居心地のわるいアルフォンスとモルガンの一日は、上の空のまま過ぎていき・・・。
子どもの心の内に広がる自分だけの空想の世界と、外に広がる現実の世界との、子どもなりの境界線を、明るくユーモアたっぷりに描いた、カラフルでユニークな絵本。 にんまりしたアルフォンスの独特の笑顔と、時にうろたえもするけれど頼れるパパのゆったり笑顔が、心地よいユーモアとおおらかなやさしさを届けます。
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アルフォンスとパパの平日の絵本。 空想のともだちモルガンと、パイプ紛失事件をからめて、アルフォンスとパパのなんとなく気もそぞろな普通の日をユーモアたっぷりに描きつつ、アルフォンスの成長をゆっくりと見つめた、心が温かくなる絵本。
ひみつのともだち・・・といえば、他の絵本には『アルド・わたしだけのひみつのともだち』▲(ほるぷ出版)、『ことりはどこ?』▲(童話屋)などがありますが、アルフォンスのともだち・モルガンは、アルフォンスの分身のような男の子。 だから、遊びもいっしょ、秘密もいっしょ。パパには見えないけれど、ごはんもいっしょだから、パパにモルガンの分のお皿も用意してもらいます。保育園もいっしょだから、別れ際に、モルガンの分も代わりに抱きしめてもらいます。
でも、大事なパイプを突然失ってしまったパパは、アルフォンスにもモルガンにもぼんやりと上の空・・・。 大事なパイプを無断で遊びに使って、無くしてしまったアルフォンスとモルガンは、うかない顔のパパと、いつもの日々を過ごしますが、パパがパイプのことを口にするのを聞きたくありません。 そんなとき・・・。
ひみつのともだちモルガンは、いつも自分を見てほしいアルフォンスのパパへの思いの、まっすぐな部分と少し素直でない部分が、想像力豊かな心の中でないまぜになって出来上がった、もう一人の自分の姿、なのでしょうか。 一生懸命、その空想のともだちの世界につきあうパパの寛容さ、そしてやさしいパパなりのさらりとした受け流し方が、なかなか洒落ていて、こころにくいユーモアと余裕を感じます。 きっと、パイプがなくなったわけも、モルガンが普段にもまして(?)頻繁に登場するようになったわけも、その対処法も、パパは何もかもお見通しだったのでしょうね!
原書は、『ALFONS OCH HEMLIGE MALLGAN』、(Raban&Sjogren Sweden 1976)、とあります。
邦訳シリーズ全4冊、いずれおとらぬ傑作ぞろいですので、よろしければ図書館などで、親子で楽しくお読みになってくださいね。
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