■クレア・ジャレットさんの絵本 |
1952年ロンドン生まれのイギリスの画家、版画家、絵本作家。デビュー作『キャサリンとライオン』(小峰書店)により、イギリスの新人画家に与えられる「マザーグース賞」を受賞。その他の作品には、『The Best Picnic Ever』(Walker Books Ltd) など。 |
『キャサリンとライオン』*『マディーのダンス』
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『キャサリンとライオン』 クレア・ジャレットさく かけがわやすこやく 小峰書店 1996年
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ある朝キャサリンが目覚めると、部屋にライオンがいました。「おはよう」とすぐ仲良くなって、キャサリンはライオンと一緒に朝ごはんを食べて、ライオンと一緒に幼稚園へ行きます。ライオンの席は一番後ろ。ライオンはキャサリンを見守ります。
ある日ライオンが加わった、特別なことは何もないけれど、静かに輝いている普通の日々をシンプルに描いた、夢いっぱいのあたたかな絵本。
細やかなエピソードに、キャサリンのライオンへの気持がにじみ出ていて、心がぽかぽかするようです。
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原書は『CATHERINE AND THE LION』(HarperCollins Publishers Ltd. 1996)とあります。アマゾンの洋書はこちらなど↓。
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『Catherine and the Lion (PICTURE LIONS)』 Picture Lions
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邦訳の出版も1996年ですので、ほとんど同時発売のような形だったのですね。
作者のクレア・ジャレットさんは、1952年ロンドン生まれのイギリスの画家、版画家、絵本作家で、『キャサリンとライオン』が絵本のデビュー作だそうです。この作品で、イギリスの新人画家に与えられる「マザーグース賞」を受賞なさったそうです。 子どもの落書きのような(失礼!)楽しいさらさらとした線画と、色鉛筆で何色も重ねたような、深みある温かな彩色で、ほわんとした、独特の世界を描き出しています。 余白の多いレイアウトが、おしゃれなアルバムや、幻燈会を見ているよう。
『キャサリンとライオン』のお話も、これまたほんわかぽわんと、やさしくて温かな感じで、おしゃれな感じ。 しかもイラスト同様、ひとコマずつ丁寧にキャサリンの一日を描いているのに、余計なことはみんな省いて、シンプルだけど余韻の残る文章になっています。
例えば、出だし。ある朝キャサリンが目覚めたら、部屋にライオンがいたのですが、キャサリンもライオンも驚いたり、いぶかしがったりはしないのです。 「おはよう」と、挨拶すると、すぐに仲良くなってしまいます。 読み聞かせの子どもは、「ああそうか」と何の疑問も持たず、すっと物語に溶け込むのですが、このさりげなさが子どもだったら当たり前の、暗黙のお約束、というか、子供心に寄り添う感じで、心にくいです。
さらに、静かに意気投合したキャサリンとライオンは、一緒に幼稚園に行くのですが、幼稚園の先生もお友達も、決してあわてたり、逃げ出したりなどしないのです。 特別なお客に大喜びすると、その後は当たり前のように、キャサリンはいつもの席につき、ライオンはキャサリンのうしろに座ります。
この、小さな女の子のごく普通のなんでもない一日と、ライオンが突然現れた特別な一日が、当然のようにとけこんで、すぐになじんでいるところが、なんとも奥ゆかしい感じ。 それでいて、ライオンの食事のために特別大きなお皿を探したり、お風呂のまどに大きな字で「らいおん」と書いたり、見逃してしまいそうな細やかなエピソードが、そっとちりばめられているところがなんとも心にくいの。散文詩のようです。
今後のご活躍に注目している作家のお一人なのですが、小さな子にも親しみやすい絵本ですので、よろしければ図書館などでご覧になってくださいね。
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そして、クレア・ジャレットさんの、その他の邦訳はこちら。
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『マディーのダンス』 クレア・ジャレットさく かけがわやすこやく
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小峰書店 1999年
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マディーは幼稚園でおひめさまのダンスを踊ることになりましたが、うまく踊ることが出来ません。 そんなとき、なんと颯爽と空からパラシュートで降ってきた、協力な助っ人が、犬のポメロイ。しかもこのポメロイ、見た目もスマートで、踊りも出来れば頭も切れるという、人間だったら白馬に乗った王子様みたいな、パラシュートに乗ってやってきたパーフェクトな殿方なのです。
頑張れ、マディー! 幼稚園の発表会まであと少し、ダンスは、衣装は、間に合うでしょうか?
シンプルなテキストとイラストに夢いっぱい、女の子らしいマディーの夢と頑張りが、ドレスとともにふわりと花開く愛らしい絵本。
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原書は『Dancing Maddy』、アマゾン洋書で検索すると、邦訳と同じ表紙のハードカバー版のほかに、少し雰囲気の異なる表紙のペーパーバック版もありました。
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『Dancing Maddy』 Harpercollins Pub Ltd
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ちなみに、ハードカバー版は邦訳と同じ表紙のこちら。
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