■『999ひきのきょうだい』シリーズひさかたチャイルド
木村研・・・1949年鳥取県生まれ。手づくりおもちゃ研究家。児童文学作家。
村上康成・・・1955年岐阜県生まれ。『ようこそ森へ』(徳間書店)オンライン書店ビーケーワン:ようこそ森へ、『ピンクとスノーじいさん』(徳間書店)オンライン書店ビーケーワン:ピンクとスノーじいさんなどで86・88・89年ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞、オンライン書店ビーケーワン:ピンク!パール!『ピンク、パール!』(徳間書店)で、BIB世界絵本原画ビエンナーレ金牌、『なつのいけ』(ひかりのくに)でオンライン書店ビーケーワン:なつのいけ日本絵本大賞等を受賞。作品多数。
『999ひきのきょうだい』*『999ひきのきょうだいのおひっこし』

 

『999ひきのきょうだい』ひさかたチャイルド

『999ひきのきょうだい』
木村研作
村上康成絵
ひさかたチャイルド
1989年

はるです。
かえるのおかあさんが、たんぼに999このたまごをうみました。

おや、最初に生んだいちばんおおきなたまごから、やっとやっとかえったのは、いちばん大きなおにいちゃんおたまじゃくし!

兄弟みんなが、先に小さなかえるになっても、まだまだ大きなおにいちゃんは、おたまじゃくしのまま、元気一杯遊んでいます。
今日もみんなでかくれんぼ。
ところがそこへ、おなかをすかせたへびが忍び寄って・・・!

999ひき、というまとまりも楽しく、いちばん最後に生まれたいちばん大きなおにいちゃん、というどこかあべこべの設定も愉快。軽やかではずむようなテキストの、めくってどっきり、ひらいてびっくり、楽しい仕掛け絵本。
愛らしいまろやかな形、つややかな色づかい、澄んだ水、澄んだ空気に、照り輝いているような、村上康成さんのイラストが美しい作品。
読み聞かせにもぴったり!

      

上記は読み聞かせ会などにもぴったりの、迫力の大型絵本。
999匹の愛らしいおたまじゃくしが、あちこち向いてぞろぞろ勢ぞろいの表紙も楽しい、元気で愉快なお話です。

はるです。
かえるのおかあさんが、たんぼに999このたまごをうみました。

やがてたまごから可愛いおたまじゃくしが生まれましたが、おや、ひとつだけ、たまごのままでのこってる・・・。

明るく澄んだ色ではっきりと塗り分けられた、つやのあるやわらかい絵。
小さな998匹のおたまじゃくしたちが取り巻く中で、中央に大きく描かれたおかあさんがえるや、たまごのままどでかくなった残り一つのお兄ちゃんたまごが、とてもユーモラスににぎやかに描かれています。

さて、このいちばんにお母さんが生んだでっかいおねぼうお兄ちゃんたまごですが、お母さんに大声で起こされて、やっとこ、でっかいおたまじゃくしになります。
998匹の弟たちは、すでに手足も生えているのですが、生まれたばかりですが大きさだけは堂々たるおにいちゃんを見て、
「おにいちゃんておおきいなあ」
と、ほほえましくも驚きます。
そして先にかえるになった998匹の弟たちと、みんなそろって、たんぼで楽しいかくれんぼ。

そこへうろうろくねくねやっきてたのは、おたまじゃくしとこどものかえるの大好物の、おそろしいオレンジのヘビでした。

そんなことは露知らず、オニのおにいちゃんおたまじゃくしが、さあ見つけるぞと、たんぼをあっちこっち探し回り始めます。
かえるの色そっくりの葉っぱががさがさっと揺れたとき、
「みーつけた。でておいで」
おにいちゃんがちかづくと・・・。

口ずさみやすい楽しいテキストを、アドリブも込めたりして子どもたちとわくわくと読んだら、やにわに仕掛けページをめくってください。
「あーっ」
と、子どもたちの悲鳴が聞こえてきそうな、どきどきはらはらの展開が、たたみかけるように次々と襲い掛かります。
頑張れ、998匹のかえるたち、大きなおにいちゃんおたまじゃくし!
負けるな、オーエス!

鮮やかあっぱれ仕掛けのページは、この後に待ち構える最大の危機一髪、もうだめだ!、の次にもありますのでお楽しみに。
のんびりのどかな田んぼの世界を、すっきりと洗練されたデザインで、明るくつややかに描いた、目にも楽しい、読んで楽しい、開いて楽しい絵本です。
見せ場が多いので、読み聞かせ会などにもぴったり。
ゆっくりでも、マイペースでいいんだよ、と、温かなメッセージも聞こえてきそうな、わくわくして、はらはらして、ほっとする絵本。

この絵本に、続編が出ていたのですって!

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『999ひきのきょうだいのおひっこし』ひさかたチャイルド

『999ひきの
きょうだいの
おひっこし』

木村研文
村上康成絵
ひさかたチャイルド
2004年3月

はるです。
ちいさないけに、かえるのおかあさんが、999このたまごをうみました。

999ひきのおたまじゃくしが元気にかえって、すくすく育ってかえるになると、小さな池は、だんだんぎゅうぎゅうになってきて、ついに、おとうさんがえるは、お引越しを決めました。
さあ、おとうさんおかあさんの後に続いて、きちんと一列、お引越しの始まりです。
気をつけて!池の外にはかえるをねらう、こわーいへび、それにとんび!

愉快なテキストとつややかなイラストで、迫力満点の999ひきのお話をもうひとつ!
絶体絶命のテキストにはらはら、自由自在なレイアウトにきりきりまい、本当に999ひきの行列の最後くっついて、大冒険、大活躍している気分の、爽快な絵本です。

はるです。
ちいさないけに、かえるのおかあさんが、999このたまごをうみました。

なつかしい出だしで始まる今度の絵本は、どんなおにいちゃんの活躍かしら・・・と、思ったのですが、あら、今度のたまごは、田んぼではなくて小さな池、に生んだのですね。

そして小さな池に、999匹の小さなおたまじゃくしたちがかえって、元気に立派なかえるになると、あらあら、小さな池はぎゅうぎゅうぎゅうの大騒ぎ。

そこでおとうさんがえるは、きっぱりと引越しを宣言します。
今度はおとうさんがえるも登場するのですね!

そしておとうさんを先頭に、わいわいがやがや、ぴょんぴょんずらずら、一列に並んで出発です。

999匹のかえるが一列に!

さぞかしにぎやかで、壮観な眺めでしょうね。
村上康成さんの描く、まとまりのあるやさしいフォルムの小さなかえるたちが、ぴったりのお話です。
実際は、まだまだ小さい子どもがえる、きちんと一列など土台無理で、なんとかかんとかずらずら列にくっついて、だんだんそのうち、
「おなかがすいたよー」
「もうあるけないよー」
ぶつぶつたらたら、文句しきり。

自然の厳しさ、へびやとんびたちの天敵の恐ろしさを知るおとうさんがえるは、子どもたちに危険を教えようと一喝しますが、999匹の子がえるたちは、いたって無邪気でのんきなもの。
前作『999ひきのきょうだい』を知る子どもたちが読んだらニンマリするような、「オーエス、オーエス」の場面も飛び出して、遊び心もたっぷりにページをめくっていたら、出ました、今度の天敵が!

それはとんび。
視点変わって大胆に空から、大好物のかえるめがけて舞い降りて、おとうさんがえるをぐわしと捕まえたのです。
驚いたおかあさんがえると、999匹のかえるたちは・・・。


オンライン書店ビーケーワン:999ひきのきょうだいのおひっこし こちらは、折りたたまれたページを開くような仕掛け絵本ではありませんが、やはりめくるのがわくわくするような、そしてめくってびっくりするような、楽しい楽しい絵本です。
余白の美しいすっきりしたイラストが、これからどうなるのか、どこへ運ばれるのか予測も付かない展開へと、巧みにいざなってくれます。
リズミカルなテキストとイラストで、つぎつぎと襲い掛かる危機に目も耳も離せない、愉快な愉快な絵本です。

前作『999ひきのきょうだい』と、直接の関連はないようで、また別の新しい999匹の物語が楽しめます。
けれど、今回大活躍のおとうさんがえるが、あの『999ひきのきょうだい』のおにいちゃんの、大人になったすがたでは・・・と、考えると、なんだかわくわく楽しい想像が広がりますよね。

よろしければ図書館などでお読みになってくださいね。

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