■ピーター・シスさんの絵本2

Peter Sis チェコのブルノに生まれる。映像作家として出発。1982年にアメリカにわたり、雑誌のイラストや児童書の挿絵、絵本の仕事を始める。1996年『星の使者』(徳間書店)でコールデコット賞オナーブックを、2004年『生命の樹−チャールズ・ダーウィンの生涯』(徳間書店) でボローニャ国際児童図書展ノンフィクション大賞を受賞。その個性・芸術性が高く評価されている。
(『かかし』ゴブリン書房 著者紹介 参照)

『かかし』

≫別頁『どうしてかわかる?』*『あたまをひねろう!』*『やっとわかったぞ!』*『さあ、羽をあげるよ』*『三つの金の鍵 魔法のプラハ』*『わたしはバレリーナ』

 

『かかし』ゴブリン書房

『かかし』
シド・フライシュマン文
ピーター・シス絵
小池昌代訳
ゴブリン書房
2007年

春から夏へ、夏から秋へ。ゆっくりとはぐくまれる豊かな農園を背景に、ひとりぼっちの農夫とかかしの日々を静かに描いた美しい絵本。やがて見えない糸にたぐりよせられるように、すべての符号が一致してゆく展開が印象的。

楽天ブックス かかし

ある日のこと、ひとりぼっちの年老いた農夫が、古い布着れにわらをつめ、かかしを作りました。
でもそのかかしには、頭がありませんでした。
・・・

自分自身しか話す相手のいない、ひとりぼっちの年老いた農夫と、農夫に頭をつくってもらったかかしの、春からはじまるゆっくりとしたふれあいを描きながら、静かに秋の実りを感じる、美しい絵本。

夢のように果てしなく続く広大な農地の真ん中に、ぽつんと立っているかかしの顔は、農夫の手作りの黄色い目で、どことなくあいきょうもたっぷり。雨の日も風の日もかんかん照りの日も、だまってその場を守り続けるかかしに、農夫はおずおずと、けれどだんだん、心をひらき、重ね、添わせるようになります。単なるかかしが、ただのかかしでなくなっていく様子を描いた文と絵の、美しく、暗示的で、幻想的なこと・・・。農夫とかかしにまつわるさまざまなものが、ジグソーパズルのように、つぎつぎと納まる場所に納まっていく物語は、心地よい不思議と余韻をつれてきてくれます。
命のめぐる農園で、めぐりあった運命のような二人の絵本。とても大切な一冊に出会えました。

原題は、『The Scarebird』 Copyright 1987 by Sid Fleischman Inc. 1988 by Peter Sis とあります。
アマゾン洋書ではこちらなど。↓

『The Scarebird
(ペーパーバック)』
Mulberry Books;
Reprint版
(1994/04)

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