■パスカル・エステロンさんの絵本
パリのエコール・ブールにおいてインテリアを学んだのち、イラストレーターとしてのキャリアをスタートさせる。絵本の仕事を多く手がける。他の邦訳には、シールえほん『いたずらクッキーたびにでる』(メディアファクトリー、品切れなど。
『おしゃべりねこのグリグリグロシャ』*『まきばにある小さなしあわせ』*洋書

 
『おしゃべりねこのグリグリグロシャ』講談社

『おしゃべりねこの
グリグリグロシャ』
パスカル・エステロン作
石津ちひろ訳
講談社
2006年

自由奔放・大胆不敵な絵と文の楽しくて謎めいた絵本。圧巻。絵本や物語の枠を超えちゃっているかも。巻末には登場人物たちのお面つき。リズミカルな訳文は、石津ちひろさんによるもの。

オンライン書店ビーケーワン:おしゃべりねこのグリグリグロシャ

あるひであったおしゃべりねこのグリグリグロシャ、たのしいおはなしきかせてくれた!

大胆で自由で陽気で、気まぐれでぬけめないねこのような、楽しくて謎めいた絵本。
とにかく、表紙のねこちゃんと見つめ合ったら、もう手に取らずにはいられない迫力。なんなんでしょう、こののまれそうな吸引力、じゃなかった、魅力。

絵本を開いて、お話を読んでも、さて、あれれ。なんなんでしょう、この始まり。

ころころふとったグリグリグロシャ
かりこりかりりコロッケかじる
かりりんこりりかりこりりん
ピーナツかじっているみたい
・・・

歯ごたえのいい言葉遊びみたいなテキストですが、イラストの「コロッケ」とやらも、ピーナツというよりは、ほとんどクッキーみたいにも見えるのですけれどもね(笑)。それでもなんでもとても垢抜けた力のある絵だから、妙に納得しちゃったりして。
ところで、その次のページの展開、読めますか?
その次のページは、フィアンセのリリーちゃんの好物紹介のページなのですけれども、そのまた次のページは、おさななじみのウシ(だよね?)のベルナルドからの直筆の手紙。なんでも彼は今とてもつらいみたいで、グリグリグロシャに会いたがっているのです。
それじゃあ、次のページからは、友達思いのグリグリグロシャが、リリーちゃんと一緒に、あわれなベルナルドを元気付けるべくたずねていったのかな?と、思いきや・・・あれれ、今度はどこいくの・・・。

絵本全体を流れる物語があるようで、ないようで、とにかく次のページの内容が予測も付かない、カラフルなびっくりばこみたいな絵本。イラストの枠に、ものさしみたいな模様が用いられたりしていますが、普通のものさしではとても計り知れないパワーを感じる作品たちです。
世界中に愉快な友達がたくさんいるグリグリグロシャだから、いろいろな画風で描かれた仲間たちのイラストが楽しめて、何だかほくほく得した気分になれるかも。いちばん得した気がするのは、巻末についているお面のページかしら。とにかく3姉妹は、このページを見るなり我先に飛びついてきて、絵本を守るのが大変でした(笑)。

「グラフィカルな絵と、大胆なおはなしの展開が楽しい、ボローニャ国際児童図書展ラガッツィ賞に輝いた、アーティスティックな絵本!」
と、表紙カバー裏見返しのコピーにあります。

原書は、『Les comptines de Grigrigrosha』1998 Mila Editions-France とあります。

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『まきばにある小さなしあわせ』中央公論新社

『まきばにある
小さな
しあわせ』
アン・ヴァィス著
パスカル・エステロン著
マリアンヌ・マウリー著
いけばあきこ訳
中央公論新社
2004年

いきいきと照り輝いている、野菜や花やくだもの、動物や虫たちの、いのちの色が美しい、フランスのおしゃれなABC絵本。
まきばに何気なくあるものたちが、新しい輝きを放つよう。

オンライン書店ビーケーワン:まきばにある小さなしあわせ

まきばにあるものを、フランス語のABC順に、ひとつひとつ心を込めて描いた、おしゃれな絵本。
見開きページで、一つのものが紹介されているのですが、左ページがサムネイルのようで右ページが拡大図のようだったり、左ページに紹介されているものにまつわるこどものうたが紹介されていたり、見開きで一枚の壁紙のように連続して描かれていたり。
紹介されているものの単語の字体も、手描きのものや、絵の雰囲気に合わせて選ばれた活字が用いられていて、さりげなく大人のこだわり。
とてもすっきりと華やかなページが、少しずつ趣向を変えてつぎつぎにあらわれる、洗練されたレイアウトになっています。

大胆に、あるいは繊細に。ちょこんと、あるいはどっかりと、あるいは点々と。
自然の色形をそのまま尊重して、一筆ひとふでやさしくなでるように。あるいは、色形の特徴を配慮しながら、のびのびとデフォルメを加えて。

一人の画家のイラストではなく、何人かの画家のページの集合作品だと思うのですが、あかぬけたイラストの配色に、自然の色に近いものが選ばれているせいか、それぞれの個性がうまく一冊に溶け合っていて、穏やかなまとまりのある作品になっています。
眺めていると心が落ち着いて、まきばで生き物たちと遊んだり、野菜を育てたりしたくなる絵本。
物語や昔話が描かれている絵本ではありませんが、本棚にこっそりこんなまきばの場所をこしらえておいたら、いつでもとりたてのみずみずしい絵に出会えますよね。

原書は『LES PETITS BONHEURS DU PRE』2000 MILA EDITIONSとあります。
ボローニャ国際児童図書展幼年部門賞受賞作だそうです。

アマゾン洋書で検索すると、Pascale Estellonさん、Anne Weiss さんたちの合作かなと思われる作品が、いくつかヒットしました。

『Stars & Planets
(My Favorite
Nature Book)
(ハードカバー)』
Lark Books;
Bk&Acces版
(2006/8/24)
Janet Borg (著),
Pascale Estellon (著),
Anne Weiss (著),
Eric Bye (翻訳)

『Animals
in Their Homes
(My Favorite
Nature Book)
(ハードカバー)』
Lark Books;
Package版
(2006/9/28)
Sonia Goldie (著),
Pascale Estellon
(イラスト),
Anne Weiss
(イラスト),
Eric Bye (翻訳)

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パスカル・エステロンさんの洋書

『El Libro de
Los Retratos
(ハードカバー)』 
El Aleph
(2005/03)
スぺイン語

『Making Faces:
A Portrait Activity Kit
(ペーパーバック)』 
Editions Du Seuil;
Kit版
(2004/10)

Busy Bear Takes a Trip

『Busy Bear
Takes a Trip
(ハードカバー) 』
Chronicle Books
Llc (Juv);
Bk&Acces版
(1997/10)

邦訳は、シールえほん
『いたずらクッキーたびにでる』
(メディアファクトリー、品切れ)
だと思われます。

 

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