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『せかいいちの ぼうし』 深見春夫作・絵 岩崎書店 1982年 品切れ
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ぼうし好きの町でぼうしコンクールが開かれました。めずらしいぼうし、びっくりするぼうし、愉快なぼうしがいっぱい出てきて、一等賞は、いちばんでっかい気球ぼうしに決定・・・と、思いきや、ぼさぼさあたまのおじさんがどこからか現れて、 「ぼくのぼうしをみてください!」 あれ?でも、おじさんはぼうしをかぶっていないみたいですよ・・・。
こんなぼうしがあったら楽しいね。夢がいっぱいつまった、おしゃれな色彩のぼうし絵本。
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このまちのひとたちは、みんなぼうしがだいすきです。 そこであるひ、ぼうしのコンクールをひらいて、だれのぼうしがいちばんすばらしいかをきめることになりました。
さあ、自慢のぼうしたちをかぶった人々が、颯爽と登場してきますよ。 こんなにながーいぼうし。 タンコブにかぶせるぼうし。 それからそれから・・・
審査員たちが額をよせあって協議した結果、めでたく一等賞にきまったのは、でっかいでっかい気球にかぶせるぼうし・・・だったでしょうか?それとも? そのぼうしを見たら、きっと、文字通り絵本におでこをくっつけちゃうよ!
奇想天外な楽しいぼうしが、つぎつぎに登場する絵本。 日本の作家の絵本ですが、渋い緑色の色調でまとめられた人々の装いや、石造りの美しい町並みが、まるで北欧の絵本のよう。 シックな町の上に広がる青く澄んだ空に、夢がいっぱいふくらみます。でっかいぼうしみたいにね!
さて、深見春夫さんの絵本の中には、のどかな大男のイメージを抱えた愉快なおじさんが登場することが多いように思います(主人公だったり、最初はこわいかいじゅうだったり)。この絵本にも、そんなまんまるい顔の愉快なおじさんが最後の挑戦者として登場しています。 ただ、のどかというよりは、なんとなくなんとなくもさっとしていて、みんながぼうしにあわせてめかしこんでいる中で、ひとりだけちょっぴり無精ひげにぼさぼさ頭。ジャケットは着ているけれどネクタイなしのせいなのか、なんとなくなんとなくよれっとした感じ(失礼!)にも思えます。 そのおじさんのかぶるぼうしの意外性が、この絵本の最大のびっくりどころで、抱腹絶倒なのですが・・・なんとも不思議なおじさんなのです。どこからきたのか、そしてどこへ行ってしまうのか。
いったいあのおじさんは、何者だったのかしら。人々をあっと言わせて、あっというまに風とともに去った小粋なおじさん。 考えれば考えるほど、不思議な余韻の残る絵本。もしかして作者が遊びにきたのかしらねーなんて、勝手な想像をふくらませたりもしたりして。
ページをめくるごとにあっと言わせて、あっというまにおわっちゃう、楽しくて読み終えるのがもったいないような、ぼうし絵本。
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『そらとぶパン』 深見春夫さく・え PHP研究所 2001年
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トンネルのなかからおおきなパンがでてきたよ! みんながのったら、さあしゅっぱーつ。 楽しい楽しいパンのくに。
やきたてパンのようにふわふわしたイラストと、たっぷりつまったクリームのように甘くてわくわくするテキストの、夢一杯の楽しい絵本。
ちっともにくめない愛らしいパンかいじゅうが、深見春夫さん流。
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トンネルのなかからおおきなパンがでてきたよ! 大喜びのみんなをのせて、パンはフワリ、空を飛んで、大きな大きな雲の中。そこはほかほかパンのくに! 気立てのよいパンのくにの人たちに、美味しいやきたてパンでもてなされ、おなかも気持ちも満たされて、みんなでさんぽしましたが、とつぜんパンかいじゅうが現れて・・・。
空の水色の明るく愛らしく、何よりパンの美味しそうなこと! いろいろな形の美味しいパンの一覧のページでは、読み聞かせの子どもたちにひったくられないよう要注意。3歳の3姉妹三女は、必ずはりついて、一つ一つのパンを指差し確認、「今日はこのパン」と品定めするのがお約束。 あどけない子どものわくわくとふくらむ期待によりそって、素直に展開する物語は愛嬌たっぷり。子どもの大好きがたくさんつまった、美味しいパンそのもののような絵本。
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『たのしいパンのくに』 深見春夫さく・え PHP研究所 2005年
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見ているだけで美味しそうなこんがりキツネ色のパンのくに。今日はおしろのおひめさまのたんじょうびのパーティーへ、パンのみんながしゅっぱーつ。パンの列車が走ります。 小豆色と抹茶色の差し色がほんのり和風。ほかほか優しいぬくもりの中に、ちょっぴりのどきどきはらはらもちゃんとはいって、よい子が大満足の絵本。
一応敵役の大物パンたちも、ふたをあけたらあどけないこと、やんちゃなガキ大将みたい。
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お空の上の、おおきなくもの、中に広がるパンのくにのおはなし。 シュッシュッ ポッポ ポー! おしろのおひめさまのおたんじょうぴパーティーへと、小さなパンの兄妹と、うさぎとライオンとぞうのパンが、メロンパンとクロワッサンとアーモンドパンもいっしょに、パンのきしゃにのって出かけます。ところが、ミルクの川の橋にさしかかると、きょうりゅうパンのこどもが橋を食べていて、キャー、落ちるー!だれかたすけてー。
前作にもまして美味しそうなパン、建物も汽車も森もおしろもみんなパン、パンだらけの満腹の世界!香ばしいキツネ色と、抹茶色でふっくらと統一された不思議なパンの世界が、絵本いっぱいにひろがっています。愛らしいパンのくにの住人たちは、いたずらきょうりゅうやおさわがせカニパンでさえ、ほほえましくて思わずにっこり。夢一杯、パン一杯の、楽しい幸せなパンのくににようこそ!
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『あるくおだんごくん』 深見春夫さく・え PHP研究所 2005年
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まんまるくて愛らしい絵、優しくてまどろむような色、楽しくてあどけない登場人物、みんなで遠足にでかけるみたいに、わくわくがいっぱいつまった物語。 出てくるお約束の(?)大男的おばけも、小さな子の喜ぶツボをおさえていて、みんなにっこり。
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おさらの上に一本残ったおだんごくんが、食べられる前に逃げ出しました。 まんまるお顔にまんまるお目目、にっこり口におちょぽ足。なかよく串刺し、横一列にきちんと並んでにっこり歩くおだんごくんを一目見るなり、「可愛い!」と、3姉妹が叫んだ絵本。 あるくおだんごくんが公園に来ると、たちまち子どもたちの人気者。トンネルのなかに続いて入ってゆくと・・・、あれれ、そこはおだんごの仲間たちの世界。またまたはんなり可愛らしい、さくらもちにおはぎ、どらやきにおまんじゅう・・・、いつのまにか小さくなった子どもたちといっしょに、楽しく仲良く遊びます。 ところが、しばらくいくと、だいふくのおばけがねむっていて、みんなはおこさないようにそーっととおりすぎようとしたのですが・・・!
子どもたちが、何を喜び、何を怖がり、何を期待して、何を面白いと思うか、全部お見通しの可愛い絵本。子どもの心によりそって、あどけないタッチでほのぼのと描いていますが、そのするどさはあなどれません。ほっと安心、みんな大好き、よいこのえほん。
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