■ほりかわりまこさんの絵本 |
堀川 理万子 1965年東京生まれ。東京芸術大学大学院修了。東京、京都などでの絵画作品による個展を中心的に活動。主な挿絵の作品に、『春がすみやまからとどきました』(大日本図書)、『てがみをください』(岩崎書店)、『ふつうのおひめさま』(徳間書店)など、多数。 |
『ぼくのシチュー、ままのシチュー』*『かめのヘンリー』 |
『ぼくのシチュー、ままのシチュー』ハッピーオウル社
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『ぼくのシチュー、 ままの シチュー』 ほりかわりまこ ぶんとえ ハッピーオウル社 2005年
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くまちゃんが、お絵描きしながらおるすばん。ちょきちょきはさみも使ったら、出来上がったものは、何でしょう・・・。
ぬくもりいっぱいのテキストと身近なモチーフを描いたイラストで、読み手の共感を呼び、想像力を刺激してくれる絵本。ぼくとままのシチューを絵本で堪能したあとは、楽しくまねっこしたくなりますよね。
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「くまちゃん、おつかいにいくわよ」 「ぼく、おえかきしてるから、いかない。 まま、いってらっしゃーい」
留守番中に、くまちゃんは何を描いたでしょう? いっぱい描いて、それから何をしたでしょう?
順調にお絵描きしていたくまちゃんのひらめきに、初めはびっくり、後でにっこり、思わずまねっこしたくなるような、楽しい工夫をひとさじ加えて、身近なお絵かき遊びが大変身! 絵本の中で実行しているくまちゃんも、描いている作者のほりかわりまこさんも、読んでいる子どもたちと同じくらい、目をかがやかせて、楽しい気持ちでいっぱいだったんだろうなあ、と、思います。
ココア色のすらりとしたくまちゃんは、愛らしくて、親しみやすくて、やることなすことおともだちみたい。おえかきのひとりごとも、本当のつぶやきみたいで、読み聞かせでもわくわくしてしまいそう。 洗練された絵で語る部分と、シンプルなテキストで語る部分がひとつになった、ひとつの無駄もない絵本。
このくまちゃんの、シリーズのような、また別の作品のような絵本には、『くまちゃんとおじさん、かわをゆく』(ハッピーオウル社)があります。美しくダイナミックな風景のとくまちゃんの健やかな成長が爽快。
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『かめの ヘンリー』 ゆもとかずみ作 ほりかわりまこ絵 徳間書店 2003年
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ぬいぐるみのかめのヘンリーの、ちよみちゃんへの友情と、勇気の一歩を描いた物語。無邪気で何も知らなかったヘンリーが、自分自身を見つめ、発見し、決意し、行動を起こしていくテキストと、イラストが圧巻。 薄暗い物置の中のもののけ的雰囲気も好き。
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ヘンリーはぬいぐるみのかめです。 ちよみちゃんが赤ちゃんのときからいっしょです。ちよみちゃんは、夜、眠る前に、ヘンリーの左手をにぎって、おしゃべりをします。それで、ふわふわだったのが、だんだんすりきれてきました。 ある日、ちよみちゃんが高い熱を出しました。 「ほこりやばいきんは、びょうきによくありませんよ」 と先生に言われたおかあさんは、ヘンリーを、ものおきべやにしまってしまいました。 「あとできれいにあらってあげる。ここでちょっとまっててね」 と、言いながら。
物置には、先客のいろいろな古道具たちがいて・・・。
かめのヘンリーが、自分を見つけ、新しい一歩を踏み出すまでの、軌跡を描いた力強い絵本。 何も知らないままに、のんびり楽しくすごしていたかめのヘンリーの、だんだん自分の置かれた状況を知っていく場面、そこから頼もしく立ち上がっていく展開が好きです。物置小屋のひとくせふたくせありそうな仲間たちも好き(このあとそれぞれにどうなっていくのか、また別の作品で読んでみたいです)。 ヘンリーの自分自身との対面、ヘンリーの決心、ヘンリーの冒険、そして・・・はっとするような場面の切り替えと、テキストも、イラストも、見ごたえたっぷり。 こっくりとした色彩のイラストの、描きこまれた影に、繊細で、幻想的な奥行きを感じました。 窓からレースのカーテンをふわりとゆらす風の場面も、好き。 ヘンリーが洗い立ての勇気をくれる、すがすがしい絵本。
ゆもとかずみ(湯本香樹実)さんとほりかわりまこさんのコンビの絵本には、『きつねのスケート』、『くまっていいにおい』(ともに徳間書店)があります。
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