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『しりとりのだいすきな おうさま』 |
中村翔子作 はたこうしろう絵 すずき出版 2001年 |
なんでもしりとりにならんでいないと気がすまないおうさまの、食事の準備はさあ大変! 今日はサンドイッチから始まって、ちくわ、わかめ・・・。用意するコックたちはおおわらわ。
たまりかねたコックたちは、おうさまをちょいとこらしめる、うまい考えを思いつきました。
3姉妹が一目ぼれ、一読ぼれした絵本。くいしんぼ、王さま、しりとり、なんて、子どもたちの大好きなキーワードがずらり。表紙だってちゃんとしりとりです。 自分たちで続きや別の物語を、つくってみたりするのも楽しいね!
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これは楽しい! しりとりの大好きなくいしんぼの子どもたちが、目を輝かす愉快な絵本。
あるおしろにしりとりのだいすきなおうさまがすんでいました。 なんでもしりとり通りに並んでいないと気がすまない王さまは、食事もしりとりでお召しあがり。しめくくりはいつだって、プリンで決まり。 王さまはおなかがぺこぺこですから、しりとり通り次々と食事を用意するために、家来もコックもてんてこまい。 たまりかねたみんなは相談し、名案をおもいつきました。まずはじめにトマトを差し出して、その次はトからはじまる食べ物・・・。
愉快なお話、愉快なイラスト、豪快で痛快な絵本。 昔話のようなおおらかさの中に、今の子どもたちに親しみやすい食べ物も交えて(それも、おしろ、王さま、コック・・・なんて外国の昔話風なのですが、ちくわ、わかめ、めだまやき、ラーメン・・・なんて料理も混じり、なんとなくちゃんぽんで愉快です)、しりとり遊びで見事なケリもつけちゃう、すっきりさわやか、王道絵本。 あっさり描かれた絵もおしゃれで愛らしい・・・と思ったら、「ショコラちゃんシリーズ」(講談社)の、はたこうしろうさんなのですね!
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『しりとりのだいすきな おうさま』 |
中村翔子作 はたこうしろう絵 すずき出版 2004年 |
読み聞かせ用大型絵本も。 |
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『なかよしこぐま まんなかに』 おのりえん作 はたこうしろう絵 ポプラ社 2003年 (1999年ひかりのくに株式会社発行の 『くまのこふたりのまんなかに』 を、新装、改題、改訂したもの)
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「この線からはいっちゃだめだぞ」なんて、小さい頃のなつかしい台詞のひとつかも。 ふたごのこぐまくまやとくまふの、愉快ななわばり宣言、まんなか線引き物語。ぐんぐんどんどん行き着くところまで線を引き続ける二人が、痛快爽快。
絵も物語もとんとん拍子文句なし、親子ともどもひとめぼれ度の高い絵本。
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からっと明るくぱっと華やか、心うきたつ楽しいイラスト! 心をつかむ愛らしさ、人目をひく鮮やかさは、どこにでも持ち歩きたいおしゃれな雑貨みたいです。
のりのいい物語もしっかりした本格的なもので、あっけらかんと明るく元気にへこたれず、山あり川あり、起伏に富んで痛快明快!
ふたごのこぐま・くまやとくまふは、そっくりさんのなかよしですが、けんかもいっぱい。けんかするから、この線から出ちゃだめと、かあさんが部屋の地面に木の枝で線引きをして、お出かけしても、またけんか。線を出たの越えたのと、木の枝でもみあっているうちに、あっ、みずがめを倒して部屋中を水浸しにしてしまいました。
「しかたがない。せんをのばしてそとにいこう。」 二人は木の枝でどこまでも線を引きながら外へ、まっすぐ。 でこぼこも草むらも越えて、どんどん、ぐんぐん、でもどうしよう・・・川があります。 ・・・
こなれた文も絵もとんとん拍子、一本気で痛快な物語。なんだ道、こんな道、何があってもどこまでもまっすぐ、無理でも何でもどうしてもまっすぐ、とにもかくにもひたすらまっすぐつき進む筋金入りのこぐまたちは、たちまち子どもたちの人気者。 続編『なかよしこぐま わけっこするのだいきらい』(ポプラ社)もあるのでまだまだお楽しみがどんどんまっすぐ続きそう。
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『なかよしこぐま わけっこするのだいきらい』ポプラ社
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『なかよしこぐま わけっこするのだいきらい』 おのりえん作 はたこうしろう絵 ポプラ社 2003年 (2000年ひかりのくに株式会社発行の 『くまやと くまふ わけっこするのだいきらい』 を、新装、改題、改訂したもの)
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前作が向き合うケンカ絵本なら、今度はそっぽのケンカ絵本。 兄弟姉妹問題のあれこれをいやみなく描いて気分すっきり。今回も目と耳を存分に楽しませてくれます。
わけっこするのだいきらい、互いに相手がいなければ、なんてにらみあってるくまやとくまふ、魚釣りに連れて行ってもらったはいいけど、つった魚でまた大げんか・・・。
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今度のふたごのくまやとくまふは、今度もふたたびけんか、けんか。いっこのりんごのわけっこでけんか。おかあさんがすぱっと半分に切ってくれたのに、丸ごと食べたいくまやとくまふ。 くまやのせいで。 くまふのせいで。 りんごもおもちゃもおかあさんもあれもこれもみーんなはんぶんこ、わけっこするのだいきらい!
けんかをはじめたとたん、 「けんかはそとで」 と、おかあさんにほうりだされたくまやとくまふ(なんとまあおかあさんの豪快なこと!ちなみに前回もさっさとひとりでお出かけ)。 ちょうど釣りに行く途中のくまぼおじさんを見かけて、一緒に連れて行ってもらうことに。
さあ、さっそく魚がかかったみたいですよ! ところがおじさんがつりざおをあげてみると、あれあれ、なんと・・・!
今度も楽しい、軽快明快愉快痛快、真夏の青空みたいに、すっきりくっきり晴れ渡った絵と物語が、スキップしているみたいです。 イラストはもちろん、わかりやすくておしゃれできれいできちんとしていて勢いがあって、抜群の完成度。 テキストだってもちろん、心地よくてくすぐったくて嬉しくてうなづけて、びっくりもどっきりもあって、あーあもそうそうもあって、見せ場だって盛りだくさん、前作『なかよしこぐま まんなかに』▲の始まりと終わり方をさりげなく踏襲していて、これからもシリーズが続いていくのでは、と思わせる嬉しい予感。
どこのちいさな兄弟姉妹にもありがちなちいさなあれこれいざこざを、小気味よくすっぱりと、愉快でおしゃれな物語に仕立て上げる天晴れなこのシリーズ、これから何をやってくれるのか、とても楽しみ!
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『どうぶつ なんびき ?』 はたこうしろうさく
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ポプラ社 2000年
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どうぶつなんびき? ひろいのはらに、大好きな動物たちが、つぎつぎいっぱいでてきたよ。 いっしょに数をかぞえてみようね。
みんなみんな出てきたら、ひろいのはらはどうなった? 可愛いオチも子どもたちの人気者。 カラフルでにぎやかでおしゃれでかしこい数字絵本。
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だーれもいないひろいのはらに、
いっぴきのこぐまがやってきた。 1 のはらにはいっぴきのこぐま。
にひきのきりんもやってきた。 2 のはらにはいっぴきのこぐまとにひきのきりん。
・・・
可愛くてカラフル、くっきりシンプルなイラストで、だんだん増えてにぎやかになっていく広い野原の動物たちを描いた、楽しくてためになる数字絵本。 ひとつひとつ丁寧に繰り返されるリズミカルな文章も、華やかなイラストのどこかにさりげなく登場している黄色いボールさがしも、最後の可愛くてどきっとする巧みなオチも、小さな子をわくわくと夢中にさせる茶目っ気がいっぱい。 数をおぼえはじめた小さな子が大喜びしそうです。
(ちなみに、動物の数え方は大小の差なく、すべて「ひき」で(鳥は「わ」で)わかりやすく統一されています。大きい子と一緒に読むときは、読み方の幾通りかある「4」「7」「9」などの箇所などもあわせて、いろいろおしゃべりをふくらませるきっかけになるかもしれませんよね。)
物語絵本としても、0から10まで、順序どおり期待通りだんだんにふえて高まってゆき、そしてつみきくずしのように、いっきに崩れ落ちる爽快な展開が、わらべうたや、ウクライナ民話の『てぶくろ』▼のように、楽しくて鮮やか。続く愛らしい結末が、ほのぼのと、心温まる余韻をもたらしてくれます。
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『ことりのゆうびんやさん』福音館書店 ちいさなかがくのとも 品切れ
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『ことりのゆうびんやさん』 ニコライ・スラトコフ原作 松谷さやかぶん はたこうしろうえ ちいさなかがくのとも 2003年3月号 福音館書店 品切れ
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ぼくのうちの木の郵便受けにやってきたことりさん。いろいろなものを持ち込んで巣をつくり、やがてせっせとえさを運び込んでひなを育てている様子。 ことりのゆうびんやさんみたい!
ぼくたちがそっと見守った、ことりの訪れから巣立ちまでの観察記を、さわやかに輝く絵とともに。
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ぼくのうちには、きでてきたふるいゆうびんうけがあります。 あるひいちわのきつつきが飛んできて、郵便受けに丸い穴を開けました。 今度はつがいのせきれいが飛んできて、いろんなものを郵便受けの中に運び込みはじめました。 せきれいのゆうびんやさんみたい! ほんものの郵便屋さんがくると、せきれいはびっくりして・・・。
ぼくたちの大切に見守った、せきれい親子の観察日記。巣作りから巣立ちまでを、子どもの目線でしっかりと見届けています。
まぶしい太陽の光に照り返す海のような、明るく澄んだ色彩と、くっきり際立つ境界線の、さわやかな鮮やかな絵で、ロシアの動物作家・ニコライ・スラトコフさんのお話を、現代風日本風(ちょっと別荘的雰囲気かな?)にアレンジして、丁寧に描き出した絵本。 わたしのうちにも、せきれいのゆうびんやさん、来てくれたらいいのになあ。
「ちいさなかがくのとも」の裏表紙を見ると、 表紙デザイン 秦好史郎 とありました。そういえば、なるほど、と納得の、すっきり洒落た表紙の「ちいさなかがくのとも」の文字デザイン。さりげないけれど、光っていますよね!
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『落ち こぼれ』 茨木のり子詩集 水内喜久雄選・著 はたこうしろう絵 理論社 2004年 |
平明な美しい言葉で、まっすぐ心に届く詩集。時にはぐさりとつきささり、時にはぽとぽととこぼれ、時にはさらさらと流れ込み、時にはふつふつとわきあがり、時にはひたひたとうるおしていく、小気味よい言葉の、凛とした軌跡。
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現代詩人を代表する茨木のり子さん(1926-2006)の詩の中から、「わたしが一番きれいだったとき」「落ちこぼれ」「廃屋」「自分の感受性くらい」など、33編を選んで編まれ、選者による「茨木のり子さんをたずねて」の文章が巻末にそえられた、心にすとんと響く詩集。はたこうしろうさんの描く、水色の帽子と羽の、芯の強そうな少女の挿絵にひかれて手に取りました。
「わたし、解釈を加えないと判らないような詩は書いていないつもりです」 と、茨木さんは、ある日、川崎洋さんにふともらされたそうです。(『現代の詩人7 茨木のり子』)。 とあります。 「『落ちこぼれ』理論社 「茨木のり子さんをたずねて」より)
普通に人々の口からこぼれる美しい日本語のなかから、真芯をとらえた言葉をすくいあげ、つむぎだす、明快で、時に耳に痛いくらいきっぱりと心地よい言葉たち。 竹を割ったような、という形容がありますが、そんな、青々とまっすぐ天を向く竹のような、風の問いかけにしなやかに葉をゆらして答える笹の葉のような、さっぱりと豊かな感じをうけました。
ひとつひとつの詩を読んでいると、普通の言葉で語られる普通の風景が、たちまち潔い美しさを帯び、さまざまな意味を例示し、奥深くうずもれていたつながりにそっと気づかせてくれるようです。
詩を読む喜びと、詩にひたれる喜び、詩を感じる喜びをくれる詩人の珠玉の詩集。 茨木のり子さんの源を知ることのできる、選者の文章も嬉しいかぎり。
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