■ハン テヒさんの絵本
Han TaeHee ソウル芸術専門大学応用美術専攻。1998年に初めての個展「童話の中への旅」を開き、以降児童向けの絵本の絵を描き続けている。
(『うさぎのさいばん』少年写真新聞社 著者紹介 より)
『うさぎのさいばん』

 
『うさぎのさいばん』少年写真新聞社

『うさぎのさいばん』
ぶん・キム セシル
え・ハン テヒ
やく・かみや にじ
少年写真新聞社
2005年

人食いとらが、命の恩人の人間を食べるのは正しいか。
森の生き物たちの熱弁が続きます。裁判ですもの、慎重に・・・。
そして判決は?

愉快な民話を素朴なタッチでおおらかに描いた、韓国・朝鮮の絵本。
人々に親しまれ恐れられ、崇められてきた猛獣とらの迫力と愛嬌を、たっぷり楽しめる作品。

オンライン書店ビーケーワン:うさぎのさいばん

むかし、一人のたびのわかものが山みちをあるいていました。
いつのまにか、わかものは、深い山の薄暗い細道へ。
「そうだった、この山には人くいとらがいるってはなしだったが・・・」
突然、しげみの中から物音がして、わかものは悲鳴をあげましたが、よく見てみると、それはうさぎでした。
ところがいくらもいかないうちに、
うおーっ!
というおそろしいけもののうなりごえ。
「うおーっ、だれかたすけてくれ!」
わかものが勇気を出して声のほうにいってみると、
ふかい大きなあなの中に、いっぴきのとらがおちているではありませんか!

たすけてやったはいいが、おそいかかってきたらどうしよう・・・
わかものはしばらくためらいましたが、
・・・

人食いとらが人間を食べるのは、正しいか。
命の恩人さえも、情け容赦なく腹の足しにしようとした人食いとらと、恩をあだでかえされて憤まんやるかたないわかものの、どちらが正しいか、森の生き物たちが順番に意見を述べていきます。
まずは、松の木。それから・・・。
ちょうどその場所に居合わせたり、通りすがったりして、急遽裁判官をつとめることになったのは、森の中のことですから、人間ではありません。人間以外の生き物たちは、果たしてどっちの味方なのでしょうか。もしかすると、人間、不利?

大きな恐ろしい生き物のとらを、小さな生き物が知恵でまんまとやりこめる民話は、どこの世界のものも、何度読んでも痛快。
民話の心地よい語り口と、濃厚な色彩のおおらかな絵で、とんとん拍子に楽しく読めます・・・とはいえ、途中の裁判の模様は、なかなか人間に対して手厳しく、耳の痛いものだったりします。
この裁判の争点を、人間対人食いトラ、ひいては人間以外の生き物、とみるか、恩人対裏切り者、とみるか、あるいはそれ以外の視点でみるか、だれのどの視点でみるかは、絵本を読み終えた後に続いていく問題なのかもしれません。
さて、この裁判に、見事な決着をつけてくれたのはだれだったでしょう?

ほのかに透ける黒い地を活かしながら、絵具を厚くぬりこんだ、岩肌のような独特のタッチが、恐ろしくも楽しい昔話にぴったりの雰囲気。素朴さも不気味さも迫力も愛嬌もおりこんでいる感じです。

巻末の解説や、ハングル文字での原文掲載も、作品をもっと楽しむことができて嬉しいですよね。

THE PABBIT'S JUSTICE』 2004 First published in hte Republic OF Korea by Korea Gardner 

テキストの作者のキム セシルさんの邦訳作品には、『檀君』(少年写真新聞社)オンライン書店ビーケーワン:檀君、『このよでいたばん大きな男の子』(少年写真新聞社)オンライン書店ビーケーワン:このよでいちばん大きな男の子があります。


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