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『あっちへいってよ、 かげぼうし』
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フランク・アッシュえとぶん 山口文生やく 評論社 1988年
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「あっちへいってよ、ぼくのかげ」 影に釣りの邪魔をされて、クマくんは影からの逃亡を決意。ところがどこへ逃げようとも、何をしようとも、影はぴったりクマくんについてくる。やっとの思いで埋めたと思ったらちょうどおひる。一仕事終えたクマくんは、ちょっぴり疲れてしまっておおあくび・・・。
しっとり沈む色の美しい絵に、くっきり影がさすと、まるで映画館でスクリーンを見ているみたい。 思い込んだらひたすら頑張る、クマくんのたゆまぬ努力に、お日さまもとうとう心が傾いたかな?
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あるよく晴れた日、クマくんは池に釣りに出かけた。大きな魚を見つけたので、さっそく釣り糸をたらそうと立ち上がると、魚は、水にうつったクマくんのかげにおびえて、逃げ出してしまった。 「あっちへいってよ、ぼくのかげ」 でも、クマくんのかげは、うごこうとしない。 「いいよ、きみがうごかないんなら、ぼくがにげてしまうから!」 クマくんとかげとの根比べ、ほぼ同時の大逃亡と大追跡が始まった。 ・・・
フランク・アッシュさんの描く、後からじわじわ目に輝いてくるような、しっとりした美しい色彩に、影法師がくっきりと映えて、ふっくらした質感のきわだつ一冊。 表紙にもなっている、かげから逃げ出すクマくんが、ぴょんと小川をとびこえる場面など、のどかな野原と、クマくんと水面の影が、メルヘンのなかにも血の通った命の鼓動を感じさせて、つくづくきれい。
影から逃げるクマくんのたどる物語の結末は、読み手の想像を裏切らない素直な展開にも思われますが、想像以上に徹底的なその手段と過程が楽しくて、思わずほほえんだり、ニンマリしたり、大笑いしたり。 幸せな勘違いは、またまた時の流れと強運と、一休みに助けられて、めでたくクマくんと読み手を本当にほのぼのと幸せにしてくれます。
原書は『BEAR SHADOW 』1985 Prentice-Hall Inc., New Jersey とあります。 アマゾン洋書ではこちらなど。↓
『Bear Shadow (ペーパーバック)』
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Aladdin Paperbacks (1988/10)
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↑ 色調は少し異なるようにも見えますが、邦訳の表紙と同じイラストだと思われます。
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『Moonbear's Shadow (ペーパーバック)』
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Aladdin Paperbacks; Revised版 (2000/3/1)
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↑ 邦訳の表紙とよく似たモチーフですが、別のイラストだと思われます。 ←と、比べてみてくださいね。
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『あれ、お空が もえてるよ』 フランク・アッシュえとぶん 山口文生やく 評論社 1988年
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あれ、空がもえてるぞ! はじめての虹を見て、またまた幸せな思い込みをしたクマくんと、金のつぼのいいつたえを思い出したコトリの、ほのぼの虹の根元、あるいは火元探し物語。
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ある日クマくんは、まどのそとに、にじを見た。 あれっ、空がもえてるぞ! はじめてにじを見て驚いたクマくんが、コトリをよぶと、コトリは窓辺にとんできて、 「にじじゃないか!金のつぼをさがしにいこうよ!」 「金のつぼ?うそだよ!空が火事だっていうのに!」 クマくんは、なべを片手に家をとびだすと、池で水を汲んで、ちょうど木のうろのところからはじまっている虹に向かって、火を消すために、駆け出した・・・。
思い込んだらまっしぐら、ほかのことは何も考えられない、目にも耳にもはいらないひたむきなクマくんが、一生懸命初志貫徹したとき、事態もちょうどぴったり、新局面を迎えました。まるで気まぐれな虹のウィンクみたい。 くま、にじ、金のつぼ、木・・・とくれば、『くんちゃんとにじ』(ペンギン社)のほほえましいお話を思い出しますが、こちらの和やかなお話も、まけずおとらず幸せがたっぷりつまっています。
原書は『SKY FIRE』1984 Prentice-Hall Inc., New Jersey とあります。 アマゾン洋書ではこちらなど。↓
『Skyfire (ペーパーバック)』 Aladdin Paperbacks; Reprint版 (1988/10)
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↑ 色調は少し異なるようにも見えますが、邦訳の表紙と同じイラストだと思われます。
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『Skyfire (ペーパーバック)』 Aladdin Paperbacks; Reprint版 (1988/10)
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↑ 邦訳の表紙とよく似たモチーフですが、別のイラストだと思われます。 ←と、比べてみてくださいね。
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『クマくんの やくそく』
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フランク・アッシュえとぶん 山口文生やく 評論社 1995年
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いつも夢見ているような、無邪気なクマくんの現実は、勘違いと思い込みにもかかわらず、メルヘンの強運とタイミングに守られ、読み手に幸せな気持ちをわけてくれます。 ところが今回のクマくんは一味違って、自分たちだけの力で、自分たちの夢をかなえあう、地に足の着いた物語! それも、勘違いでもしなければ、決してかなわないような遠い夢であるにもかかわらず、ひとつひとつ地道にたぐりよせる努力が、読み手の胸をしみじみと打ちます。 クマくんシリーズ、ここに極まれり、の一冊。
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ある日のこと、クマくんがコトリにいった。 「そらを、とべるようになりたいなあ」 「ぼくが、おしえてあげてもいいよ。どうしたら大きくなれるか、おしえてくれたらね」 こうして、クマくんとコトリの約束が決まり、互いに互いを協力して、願いをかなえあうことになった。 ・・・
はじめにクマくんが、コトリに、大きくなる方法を伝授する。もりもりごはんをたべて、運動するという、一見もっとも理にかなった、もっとも気の長い方法・・・。 やがて、自分たちの挑戦している方法が、コトリの願う「大きく」の意味とすこーし異なっていることに気づいた二人は、まったく別の驚くべき方法をとる。コトリにかぼちゃのタネを植えさせて、若いかぼちゃの実にコトリの絵を刻み、その一つを大切に、大きく大きく育てさせたのだ!
次に、夢を手に入れて喜んだコトリが、クマくんに、空を飛ぶ方法を伝授する。高いところから、うでをひろげてジャンプするという、トリにとっては至極当然の、トリ以外にとっては地獄同然の方法・・・。 やがて、自分たちの挑戦している方法が、クマくんの願う「とぶ」結果にまったく結びつかないことに気づいた二人は、またまた別の驚くべき方法をとる。買い物にいって、紙や棒やひも、それとのりを買ってきて、コトリの指導で、せっせと仕事を始めたのだ。 ・・・
おなじみのクマくんとコトリのほのぼのした美しい物語ですが、今回は一味違います。 幸せな勘違いはどこへやら、いつものあどけないメルヘンはそのままに、二人は頼もしく現実に目覚め、たくまざるウィットとユーモアで、理想との折り合いをつける見事な方法をいつのまにか学んでいたのです! 成長したのですね、クマくん!それも、いちばん健やかで、望ましい形だと思いませんか?
もしかすると、クマくんシリーズのひとつの階段をのぼりつめた、とても大切な折り返し地点となる一冊かも。
原書は『BEAR'S BARGAIN』1985 Prentice-Hall Inc., New Jersey とあります。 アマゾン洋書ではこちらなど。↓
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『Moonbear's Bargain (ペーパーバック)』
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Aladdin Paperbacks (2000/3/1)
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邦訳の表紙とよく似たモチーフですが、別のイラストだと思われます。
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『Moonbear's Dream (Moonbear Books) (ハードカバー) 』 Simon & Schuster (Juv) (1999/9/1)
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カンガルーが登場するお話のようです。
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『Moonbear's Pet (Aladdin Picture Books) (ペーパーバック) 』 Aladdin Paperbacks; Reprint版 (1998/10)
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クマくんとコトリの新しいペットをめぐるお話のようです。ペットは魚類なのですが、あれれ・・・。
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『Moonbear's Canoe (Moonbear Books) (ハードカバー) 』 Little Simon; Board版 (1993/08)
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『Moonbear's Friend (Moonbear Books) (ボードブック) 』 Simon & Schuster Little Simon; Board版 (1993/08)
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