原書は『Burre-Busse i Trollskogen』、コピーライトは1994年Louis Moe's heirs. Det norske Samlaget,Norway、とあります。この絵本はノルウェーの古典的傑作絵本だそうで、もともと約100年前に出版されたものだそうです。 テキストの作者、シールス・グラネールさん(1870-1937)は、教師などでもあり、「ブッレ・ブッセとまほうのもり」を1908年に書いて人気を博し、続けてブッレ・ブッセ・シリーズをお書きになったそうです(ぜひとも読んでみたいのですが、出版社サマ!)。 イラストの作者、ルイス・モーさん(1859-1945)は、自然描写の確かさ、動物の擬人化の上手さで知られる、当時の挿し絵画家の第一人者で、北欧、ドイツ、アメリカなどで広く知られているそうです。 「ブッレ・ブッセ」という、一風変わった名前も気になりますが、加えて「まほう」、「もり」という、わくわくのキーワードのタイトルも、本棚で背表紙を見た瞬間、目と心を射抜かれてしまいます。 さらに手にとって、少し抑えた渋い色味の、シックでクラシカルな色彩と、美しくおごそかな雰囲気の、確かな描写の表紙をながめただけで、 果たして、オオモノでした!それもきわめて。 おはなしのはじまりは、ブッレブッセの5さいの誕生日。 このとびきりお洒落な格好で、ブッレブッセはもりにブルーベリーをつみにいくことにします。 さあ出発。 この、カラスをはじめとする、森で出会う動物たちのそれぞれの特徴づけにそぐったお召し物や、小道具や、表情や振る舞いなどの擬人化の手腕が、とても鮮やかでお見事で、冴えわたっていますので要注目。 そして、カラスの奥さんに気前よくかごをあげたブッレブッセが、さらにどんどん歩いてゆくと、今度はリスに会いました・・・。 という、繰り返しの楽しい果て無しはなし。 横長の絵本で、左側にモノクロの線画の動物たちの楽しげに遊ぶ挿絵、右側にシックなカラーのイラストと、その下に短くて愉快なテキストが、美しくおさめられている豪華な絵本です。 どんどん主人公が進みながら、出会った人たちにつぎつぎと持ち物を与えてゆくモチーフは、グリム童話の「星の銀貨」などにもありますし、反対にどんどん剥ぎ取られていくモチーフは、つい先日復刊したばかりのあの名作、『ちびくろさんぼ』(瑞雲舎)などにもあります。 この『ブッレブッセのまほうのもり』には、そのどちらの面白さも醍醐味もある感じ!ですので、ぜひその驚き・どきどき・ときめきの粋なラストを、図書館などで親子でお楽しみになってくださいね。
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