■バーナード・ウェーバーさんの絵本 |
Bernard Waber 1924年米国フィラデルフィア生まれ。フィラデルフィア美術大学、ペンシルバニア美術アカデミー、ペンシルバニア大学などで学ぶ。「ライフ」誌で、14年間レイアウト・アーティストを担当する。1961年絵本作家としてデビュー。「ワニのライル」シリーズ(大日本図書)(画像は『ワニのライルは会社のにんきもの』大日本図書)などを発表。多くの作品がロングセラーとなっている。 (『かねもちのねことびんぼうなねこ』大日本図書 品切れ 表紙カバー 見返し 著者紹介 より) |
『勇気』*『アリクイのアーサー』*『かねもちのねことびんぼうなねこ』 |
≫別頁『ねずみなんていないでしょ?』 |
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『勇気』 COURAGE バーナード・ウェーバー作(文と絵) 日野原重明訳 ユーリーグ 2003年 |
軽やかな絵と文で、いろいろな勇気を描いた絵本。 静かな勇気から、熱い勇気まで、小さな勇気から、大きな勇気まで、あらゆる勇気の源がここに。 現代を生きる人々に、勇気を与えてくれる絵本。
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こんなにいろんなゆうきがあるんだ。 すごいのから、 そう、いつでもやれるぼうけんまで。 でも、どれもが、りっぱなゆうき、ゆうき。
いきなりほじょりんなしでつっぱしるのもゆうき。 ちっちゃいおとうとをだれにもいじめさせないのもゆうき。 ・・・
バーナード・ウェーバーさんの軽妙な絵で描かれた、勇気のカタログ集のような絵本。 みんなが拍手してくれるような堂々たる勇気もあれば、わかる人にしかわからないささやかな勇気もあります。言うは易し、行うは難しの勇気もあれば、あえて見ざる聞かざる言わざるの勇気もあります。 ヒーロー級の勇気から、平々凡々な勇気まで、冒険級の勇気から、日常生活上の勇気まで、愉快なものから真剣なものまで、よりどりみどり。 けれど、どれも、ゆうき、ゆうき。 自分自身で考えて、選択して、決断して、実行すること。 何かをする決心は、どれもみな立派な勇気なのですよね。 ユーモアたっぷりのイラストが、おしつけがましくなく勇気を教えてくれて、勇気の観念を広げてくれます。
英文併記で、原書の雰囲気も楽しめる絵本。 巻末の訳者の日野原重明さんのあとがきも、絵本についてや勇気についての理解を深めてくれます。
原書は『COURAGE』 2002、Bernard Waber c/o Curtis Brown, Ltd. アマゾン洋書ではこちらなど。↓
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『Courage (図書館)』 Houghton Mifflin (Juv) (2002/10/28) |
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『アリクイの アーサー』 バーナード・ウェーバー・さく みはらいずみ・やく のら書店 2001年
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「アーサーが、どんな子かといいますと・・・」 「ときどき、アーサーはかんがえこんでしまいます」 「ときどき、アーサーはすることがなくなります」 「ときどき、アーサーは、へやをちらかします」 「ときどき、アーサーはすききらいをいいます」 「ときどき、アーサーはわすれものをします」
おかあさんの大切な息子・ありくいのアーサーのふとした毎日を、おかあさんのまなざしで見つめた5つの物語。 小さい子に一つずつ読み聞かせしても、大きい子が自分で読んでも、安心して絵本の世界に身をゆだねることができそうな古典絵本。
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うちのアリクイのアーサーは、ふだんはやさしくて、おてつだいができて、おもいやりがあって、 ・・・すなわち、もんくなしにすばらしいむすこです。 けれども・・・ ときどき、アーサーは、こまった子になるんです。 ときどき、なんですけどね。 これからおはなしする5つの物語は、そんなときのアーサーのちいさなおはなし。
アリクイのアーサーのおかあさんの目から見つめた、可愛いやんちゃ息子のアーサーのいとおしいお話。 大人から見れば当たり前の、ふとした言葉にも、こどもらしいこだわりで疑問を持ち、お母さんと問答を広げる楽しいお話(「ときどき、アーサーは、かんがえこんでしまいます」)や、 家事に忙しいお母さんをつかまえて、自分の手持ち無沙汰をうったえて、逆にお母さんにやりこめられる愉快なアーサーのお話(「ときどき、アーサーは、することがなくなります」)などなど、 だれもがいつか体験したような、身近で温かいお話が、軽やかでかっちりとした絵とともに記されています。 アーサーといっしょの毎日を楽しみながら、穏やかにアーサーを見守るおかあさんに、ゆったりと包まれているような絵本。やさしい手触りの、つるつるではない紙を用いているところも好みです。
原書は『AN ANTEATER NAMED ARTHUR』 、1967 Editions Houghton Miffin Company. アマゾン洋書ではこちらなど。↓
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『An Anteater Named Arthur (ペーパーバック)』 Houghton Mifflin (Jp) (1977/10/12)
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『かねもちのねこと びんぼうなねこ』 B.ウェーバー/文と絵 光吉夏弥/訳 大日本図書 1988年 品切れ
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金持ちのねこの贅沢な暮らしぶりと、のらねこのスキャットのささやかな日々を痛快に描きながら、ねこの世界にもおよんでいる貧富の差を、楽しく対比させた風刺的絵本。 スケッチのような美しい都市風景のなかの、コミカルなねこちゃんの絵が、愛嬌たっぷり。鋭い風刺的な物語の結末の、ほのぼのした展開に、人とねことの切ない希望と祈りをこめて。
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世の中にはいろいろなねこがいます。 優雅なくらしのかねもちのねこも、ささやかでカツカツの日々を送るびんぼうなねこも。 スキャットはのらねこです。のらねこにはうちはありません。よこになれるところなら、どこでもそこがうちだからです。
すてきな名前をもっているねこもいます。 スキャットのなまえはだれでも知っていて、そばへいくと声をかけられます。 「スキャット!スキャット!(しっ!しっ!)」。
なでたり、さすったりしてもらうのがだいすきなねこもいます。 スキャットだって、標識のポールなんかに、こうして自分で背中をこすりつけるのがだいすきです。 ・・・
愛すべきねこたちのさまざまな場面を、金持ちと貧乏の対照で描きあげた美しい絵本。作者の好きなマンハッタンの町並みでしょうか、美しい都市の表通り、裏通りの力強いイラストを背景に、金持ちの優雅なねこたちと、何ももたないのらねこのスキャットの対比場面が、鮮やかに描き出されています。 その着眼点が、ほんとうに痛快! ほめそやされ、あまやかされ、なでられ、着飾られ、あらんかぎりの愛情と金を与えられた、誰かの大切なねこたちと、おいはらわれ、無視され、それでもぬけめなく元気にけなげに生き抜いている、だれのものでもないのらねこ。 その対照的な二者の、同じテーマにそったある日の一場面の歴然とした差が、チクチク可笑しくてニマニマ。 たっぷりの贅沢の中にも、余計なお世話的金持ちねこの本音も見え隠れしていたり、飼い主にはあらがえない悲哀や、囲われたうら悲しさを、そこはかとなく感じたり、逆に、逆境続きでお気の毒ではあるけれど、のらねこ街道まっしぐらのスキャットの頼もしさ、りりしさを感じたり・・・。
結末は、私にとってはちょっぴり意外(?)で、やっぱりそうなのかな、などといろいろ考えたりしました。ねこと人間の関係は、お互いよい影響を保ちたいですよね。
緑と黒の2色刷りのページと、緑と赤と黄色と黒の4色刷りのページが交互に組まれた古風な構成の、48pの絵本。 力強い線で、スケッチのように軽やかに描かれたイラストが、クラシカルで、格調高い雰囲気。 おすましねこのさらりとした描き方も、スキャットの愛らしいしぐさやとぼけた表情も、それぞれに的を得た痛快さと愛嬌に、思わずほおがゆるんでしまいます。
原書は『RICH CAT, POOR CAT』、 1963 Houghton-Muffin Company, New York
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