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『クリスマス・イブ』 マーガレット・ワイズ・ブラウンぶん ベニ・モントレソールえ やがわすみこやく ほるぷ出版 1976年 2003年復刊
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クリスマス・イブ。ねむれない子どもたちが、そっとベッドを抜け出して階下で見たものは・・・。
子どもたちが見上げ、感じ取ったすべてを、少ない色使いで浮かび上がらせた美しいイラスト。聞いた歌声さえも、聞こえない静けさまでも、簡潔な言葉で美しくつむいだテキスト。 聖なる夜に心打たれた子どもたちの静かな物語が、読み手の心をしみじみと打つクリスマス絵本。
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待ちに待ったクリスマス・イブ。 しんしんと雪が降り、みんなが寝静まったしずかな夜・・・4人の子どもたち以外は。 「ねむるまえにしたへいって、クリスマス・ツリーにさわって、おねがいごとをしよう」 眠れない子どもたちは、そうっと着替えをして、息をひそめて両親の部屋の前を通り、足音をたてないように階段をおりていきました。
そして、4人の子どもたちは見たのです。暖炉の残り火にきらめく、みごとなクリスマス・ツリーを。たくさんのおくりものを。 そして聞いたのです。雪のように静かにふってくる、大人たちの歌う聖なる歌を・・・。
「マーガレット・ワイズ・ブラウンの遺作に、イタリアの舞台美術家出身のベニ・モントレソールが絵をつけた、静かで美しいクリスマスの絵本。」 と、あります。 (『クリスマス・イブ』ほるぷ出版 表紙カバー見返し より) 1976年初版の嬉しい復刊。
クリスマス・イブの聖なる夜の、祈りに満ちた清らかな静けさ。特別な夜に心が浮き立ち、ほほえましい冒険へとベッドを抜け出た子どもたちは、大いなる夜に心を打たれ、話すことも、動くこともできませんでした。
オレンジ色の地に、温かみのある線画。かすれた輪郭が、暖炉に暖められた空気のように、ゆっくりとたちのぼっていくよう。あるいは、ぱちぱちと静かにはぜる暖炉の炎を見ているよう。 ふりしきる雪を描いた、軽やかで、流れるような線の集まりが、清らかな歌声の合唱のように心に響きます。 少ないけれど、効果的な色・・・黄色、ピンク色がさしこまれているのは、子どもたちが、抜き足差し足で階下におりる場面から。高揚感を抱えた4人の子どもたちが、息をのんで見た景色がまぶしくおごそかに描かれていて、まるで読み手も隣で一緒に目撃しているかのようです。 白ではない、オレンジ色の地が、神聖な特別の夜のとばりをそっとかぶせているよう。
原書は『ON CHRISTMAS EVE』、テキストのコピーライトは、1938 and 1965 by Roberta B. Rauch. イラストのコピーライトは1961 by Beni Montresor とあります。 アマゾン洋書で検索すると、異なる画家の作品が見つかりました。↓
『On Christmas Eve (ハードカバー)』 Nancy Edwards Calder イラスト Harpercollins Childrens Books (1996/10)
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『ともだちつれて よろしいですか』 ビアトリス・シェンク・ドゥ・レニアぶん ベニ・モントレソールえ わたなべしげおやく 童話館出版 2003年復刊
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日曜日から一週間、おうさまとおきさきさまが、毎日ぼくをご招待してくれました。ぼくは二人にたずねます。 「ともだちつれてよろしいですか」 「わたしのともだちのともだちなら、だいかんげいじゃ」 そこでぼくは毎日違う楽しい友達を連れて、二人をたずねていきました。
ちょっとずつ趣向を変えながらの楽しい繰り返しを重ねた、わらべ歌のような不思議な古典絵本。
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おうさまとおきさまさまが にちようびのおちゃに ぼくをごしょうたい してくださいました。
ぼくはおきさきさまにききました。 おきさきさまはおうさまにききました。 「ともだちつれて よろしいですか。」
おうさまがおきさきさまにいいました。 「いいともいいとも、 わたしたちのともだちのともだちなら だいかんげいじゃ」
そこでぼくはともだちつれて・・・
日曜日から土曜日まで毎日、おうさまとおきさきさまのご招待を受けたぼくが、友達を連れていってもよろしいですか、と、お伺いを立てて、毎日違う友達といっしょに遊びに行く物語。 (まったく余談ですが、この絵本の中の、おうさまとおきさきさま、月曜日から毎日、ぼく、というキーワードの古典絵本で、個人的に思い出す大好きな絵本は、『あるげつようびのあさ▼』(徳間書店)。)
ベニ・モントレソールさんの、独特の影とかすれを持つ美しい線画が、淡々と、ナンセンスともいえる楽しいお茶会、食事会を描いています。 白黒とカラーの交互の構成もクラシカル。 カラーのページの、ピンク・オレンジ系の色調に統一した、明快で味わい深いイラストが、華やかさと晴れやかさに、古風で優雅な雰囲気を添えています。 子どもの喜ぶ丁寧な繰り返しに、大好きな動物たちの華やかな登場、だんだんにぎやかに高まっていく展開と、楽しくて不思議なわらべうたのような、古典的絵本。 『ともだちつれてよろしいですか』(富山房、1974、品切れ)の再刊だそうです。祝・復刊!
原書は『May I Bring a Friend?』1964 とあります。1965年コールデコット賞受賞。 アマゾン洋書ではこちらなど。↓
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『May I Bring a Friend? (ペーパーバック)』 Aladdin Paperbacks; Reprint版 (1989/08) |
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ベニ・モントレソールさんの洋書絵本を検索すると、こちらなど。↓
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『Hansel and Gretel (ハードカバー)』Atheneum (2001/09)
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これは『クリスマス・イブ』『ともだちつれてよろしいですか』などの絵とはタッチの異なる、影絵絵本のようです。
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その他、
1961 |
『Belling the Tiger』 |
1963 |
『Old Neapolitan Fairy Tales』 |
1963 |
『Witches of Venice 』 |
1967 |
『CINDERELLA: FROM THE OPERA BY GIOACCHINO ROSSINI. 』 |
1967 |
『I Saw a Ship A-Sailing or the Wonderful Games That Only Little flower-Plant Children Can Play』▼ |
1968 |
『Willy O'Dwyer Jumped in the Fire 』(De Regniers, Beatrice Schenk 、ビアトリス・シェンク・ドゥ・レニア) |
1969 |
『A FOR ANGEL』(ABC絵本) |
1982 |
『The Birthday of the Infanta: And Other Tales 』 |
1985 |
『The Nightingale』▼ |
1991 |
『Little Red Riding Hood』▼ |
などなど、魅力的な多数の絵本を手がけているようです。 amazon.comで検索すると≫こちら。
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『I Saw a Ship A-Sailing』 ・A Picture Book With mother Goose Rhymes・
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Beni Montresol 1969 Collins Clear-Type Press: London and Glasgow
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『I Saw a Ship A-Sailing』 ・A Picture Book With mother Goose Rhymes・
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図書館で借りた紅色の表紙のハードカバー版を見ると、コピーライトは、 1967 by Beni Montresol とあります。
中表紙には、 I Saw a Ship A-Sailing OR THE WONDERFUL GAMES THAT ONLY LITTLE FLOWER-PLANT CHILDREN CAN PLAY AS SHOWN BY BENI MONTRESOL とあります。
本文前書きを読むと、どうやら『The Witches of Venice』の続編ではないかと思われます。その結末で、鳩の形の木の船に乗って輝かしいベニスの空を飛んだ、主人公の二人の花の子どもたちが、『I Saw a Ship A-Sailing』で、続けて活躍するお話を描いた絵本だと思われます。
テキストは数行の短いライムで、マザーグースに基づいているようです。 ハンプティ・ダンプティが出てきたり、10人の子どもがひしめくくつの家のおばあさんがでてきたり・・・。 どのページにも、二人の可愛い子どもたちが出てきて、はしごをのぼったり、気球に乗ったり、なわとびをしたり、ライムの世界でちゃっかり大活躍しています。例の鳩の飛行船に乗っている場面もみられます。
朱色を基調とした、かすれた線のどこか版画のような絵は、何色刷りなのでしょう?重ね刷りしている部分もあわせると、朱色、ピンク色、赤紫色、紫色、水色、草色、茶色・・・と、全体的に渋め。黒色を用いず、テキストも朱色。茶色はどこか金色にも見えて、豪華で華やかな雰囲気。 あまり多くの色を用いられてはいないのですが、独特のコクのある豊かな世界が広がっていて、とてもとても魅力的。
ベニ・モントレソールさんの描くマザーグースの楽しい世界を、贅沢なレイアウトでたっぷりと。 表紙カバー裏見返しには、著者の顔写真も載せられていました。ハンサム! 『The Witches of Venice』とともに、探してみようと決意した一冊でした(もちろんカバーつきのものをネ)。
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『Little Red Riding Hood』 Beni Montesor The original story by Charles Perrault With an introduction by Luciano Pavarotti Translated from the French by George Martin Doubleday a division of Bantam Dell Publishing Group,Inc 1991
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図書館で借りたのは、ハードカバー版の一冊。 シャルル・ペローの「赤ずきんちゃん」のお話だから、多少シドロモドロでも大丈夫・・・と思ったら、結末で宙に放り投げられたような衝撃。 繊細な線と点描をちりばめた美しい絵は、アンティークな銅版画のよう。さまざまな淡い澄んだ色をほどこされた背景の木々や部屋のカーテンは、オーロラのような荘厳な雰囲気。赤いフードにコート姿の、ビスク・ドールのように端整で美しい赤ずきんちゃんに、きっちりと白いダブルのスーツとステッキとぼうしでめかしこんだオオカミは、一見紳士淑女とも見える感じで、まるでどこかの劇場の舞台の一幕を見ているようです。 その丹念な美しさゆえに・・・結末に向かう文字のない数ページは、本当に、深い深い血肉の闇の中に吸い込まれてゆきそうになりました。 他の「赤ずきんちゃん」の絵本などで、オオカミのおなかの中から助け出された赤ずきんちゃんが、 「ああこわかった。オオカミのおなかのなかって、本当に真っ暗なんですもの」 と言う場面がありますが、まさにまざまざと、この台詞をあらゆる角度から思い浮かべてしまう絵本。
美しい烙印のように心に焼きつく絵本ですが、どこか曖昧であっけない幕切れは、読み手にゆだねられていて、少し大きい子向きかも。
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Hans Christian Andersen 『The Nightingale』
Illustrated by beni Montresor adapted by Alan Benjamin
Crown Publishers,. Inc.New York 1985 |
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図書館で借りたのはハードカバーの一冊。 1985年に出版されたこの絵本のベニ・モントレソールさんの絵は、鉛筆画に水彩でしょうか、パステル画でしょうか、やわらかな線画とやわらかな色彩が、プリズムのような光彩をはなち、しっとりと神秘的な雰囲気をかもし出しています。 アンデルセン童話の「ナイチンゲール」を描いた絵本には、その画家の憧れと魂が込められているような、情熱的で美しい作品が多いと思いますが、ベニ・モントレソールさんの描くこの絵本も、まさに冴え冴えと美しい一冊。 はるか古代から脈々と続く中国の歴史への畏怖と憧憬、東西問わず同様に揺れ動く人々の心の綾を、幾重にも光のヴェールを重ねたような幻想的な絵で静かにあぶりだした、珠玉の絵本。
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