■バーバラ・マクリントックさんの絵本
Barbara McClintock アメリカ、ニュージャージー州生まれ。ノースダコタ州のジェイムズタウン・カレッジで学ぶ。幼いころから絵を描くのが大好きで、絵本作家になりたいと思っていた。19歳の時、著名な絵本作家モーリス・センダックの勧めでノースダコタ州からニューヨークに移り、絵本を作り始める。ミネアポリス児童劇場の舞台装置や衣装のデザインも手がける。現在コネチカット州在住。
(『ダニエルのふしぎな絵』ほるぷ出版 著者紹介 参照
『シモンのおとしもの』あすなろ書房 表紙カバー裏見返し 著者紹介 参照)
『ダニエルのふしぎな絵』*『シモンのおとしもの』*洋書

 

『ダニエルのふしぎな絵』ほるぷ出版

『ダニエルのふしぎな絵』
バーバラ・マクリントック作
福本友美子訳
ほるぷ出版
2005年

ダニエルは、豊かな空想力で、不思議な絵を描くのが好きでした。写真家の父は、あまり喜んでいなかったのですが、病気に倒れたとき・・・。

優雅でクラシカルな絵で、価値観の異なる父と娘の心の通い合いを描いた、美しい作品。
最後の父の言葉が胸にしみました。

楽天ブックス

ダニエルは、絵をかくのがすきでした。いつも、かわったものばかりかきました。おどるコウノトリ、おしゃれをしたキツネ・・・空想のつばさをひろげると、ふしぎな絵がつぎつぎに生まれてきました。
でも、写真家のおとうさんは、ダニエルの絵を見て、
「目に見えるとおりにかけないなら、写真にしたほうがいい」というのでした。
ダニエルは、おとうさがだいすきなので、なんとかよろこばせたいと思っていましたが・・・。

価値観の異なる父と娘の、互いへの思いやりと受け入れの軌跡を、静かに格調高く描いた絵本。
繊細に丹念に描きこまれた、上品でクラシカルな絵の雰囲気に、古きよき時代へのあこがれがつのります。作者の自伝的要素も織り込まれた小さなダニエルには、信念を持つ凛とした強さを感じて、すがすがしい読み心地。
ダニエルをとりまく人々の温かさ、愛情の深さにも、心が安らいでいくのを感じます。

ところで、ダニエルはいったい何歳くらいなのかしら。
読み手の年齢によっても、見え方、感じ方が変わってくるのだと思いますが、大きなリボンが小さな少女のようにも思えるし、しっかりしているところや絵のうまさが、学校を卒業している女性のようにも思えます。
ともあれ、自分の生きる道、人生を見つめる大事な時期にさしかかっているダニエルの物語は、それぞれの年代の読み手の心を、温かく励まし、勇気を分け与えてくれるように思いました。
自分の中に自分なりのダニエルをあたためている人へ。

落ち着いた色の表紙も、見返しの上品な小豆色の紙も、物語のクラシカルで渋い色彩にぴったりで、手に取って開くのが嬉しくなります。

原題は、『THE FANTASTIC DRAWINGS OF DANIELLE』 コピーライト1996 by Barbara McClintock とあります。
Walter Lorraince Books, an imprint of Houghton Mifflin Company
アマゾン洋書ではこちらなど。↓

『The Fantastic
Drawings of
Danielle
(ペーパーバック)』
Houghton Mifflin (Jp);
Reprint版
(2004/04)

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『シモンのおとしもの』あすなろ書房

『シモンの
おとしもの』
バーバラ・マクリントック作
福本友美子訳
あすなろ書房
2007年

おとうとのシモンは、おとしものが多い男の子。あねのアデールが気をつけていても、ほら、つぎつぎと落として行くのです。おとしものは、どこにいったかな?

20世紀はじめのパリの風景と、生き生きとした人々が、クラシカルに美しく描きこまれた、魅力的な絵本。すみずみまで絵を眺めて、温かな物語を楽しんだあとは、解説であこがれの街をもう一度散歩。

楽天ブックス

アデールは、おとうとのシモンをがっこうにむかえにいきました。
シモンは、セーターのうえにうわぎをきて、ぼうしをかぶり、マフラーとてぶくろをしています。
かばんをせおい、本とクレヨンと、がっこうでかいたネコの絵をもっています。
「きょうはおとしものしないようにかえろうね」
「うん、だいじょうぶ」
と、シモンはいいましたが・・・。

「シモンのおとしものをさがしながら、20世紀はじめのパリの街を歩いてみましょう」
と、表紙カバー裏見返しにあります。

描きこまれた繊細な線画に、落ち着いた色彩がしっとりと映えた、美しい絵本。
きっちりと描かれた当時のパリの風景の、何気ない美しさ、歴史を感じるたたずまい、人々のにぎわいに、時間のたつのを忘れて眺めてしまいそう。
絵本の中で、やっぱりをことごとくしでかす、うっかりシモンには、ほほえましいというか、あーあと笑って見守るしかないわけですが(笑)、同じ数だけ、シモンのおとしものを丹念に探す楽しみが用意されていて、嬉しいったら!

繊細な線の魅力、落ち着いた色の魅力、華やいだ街の魅力、なつかしい時代の魅力、人々の温かさの魅力・・・と、絵の中にあこがれと喜びがいっぱいつまっている絵本。
巻末の解説も、あこがれの街を満喫できて嬉しいです。
明日のシモンは、どんなものを落として、新しい物語をつれてきてくれるのかしら。

原題は、『ADELE AND SIMON』コピーライトは、2006 by Barbara McClintock とあります。
Farrar, Straus And Giroux, LIC, New York
アマゾン洋書ではこちらなど。↓

『Adele
and
Simon
(ハードカバー)』
Farrar Straus &
Giroux (J)
(2006/09)

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洋書

『Dahlia
(Boston Globe-Horn
Book Honors
(Awards))
(ハードカバー)』
Frances Foster Books
(2002/8/1)

『Animal Fables
from Aesop
(ハードカバー)』
David R Godine Pub
(2000/07)

『When Mindy
Saved
Hanukkah
(ハードカバー) 』
Scholastic Trade
(1998/10)

『Molly
and the
Magic
Wishbone
(ハードカバー)』
Frances Foster
Books
(2001/10))


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