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『おかあさん どーこ』 ローナ・バリアン さく こごうち よしこ やく アスラン書房 1994年
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ある日のねずみのヘーゼルが、ねずみの花束を持っておかあさんをたずねます。 だって今日は特別な日。 でも…あらっ、おかあさんはいません。
だっておかあさんは、おばあさんのうちに行ったのです。 だって今日は特別な日。 でも…おばあさんはいません。あら!
だっておばあさんは、ひいおばあさんのうちに行ったのです。 だって今日は…。
という、繰り返しの楽しい果て無しはなしを、草花の香るようなみずみずしいイラストで描いた美しい絵本。 口ずさみやすいシンプルなテキストは、繰り返しのリズムも耳に心地よく、文字で語る部分、絵で語る部分の時間差が絶妙で、最後まであきさせず、読み聞かせにもぴったり。 母の日に親子で読みたい、可憐な絵本。
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原書は『MOTHER'S MOTHER'S DAY』Abingdon Press,Nashville,Tennessee.1982、とあります。
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『MOTHER'S MOTHER'S DAY』 Star Bright Books
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↑ アマゾン洋書ではこちら。2004年の記載がありますので、きっと繰り返し版を重ねている、ロングセラー絵本なのですね!
作者のローナ・バリアンさんは、アメリカの絵本作家で、6人の子どもたちに図書館で借りた絵本を読み聞かせるうち、ご自身でも面白い作品を作るようになったそうです。読み聞かせの果てに、こんな風になれたら本当にとっても素敵ですね! アマゾンさんで洋書を検索してみたら、こちら、たくさんの作品があるようです。
さて、『おかあさんどーこ』の真っ赤な表紙を開くと、本文中身は、たっぷりとした余白の白も美しい、さわやかな淡い色使いになっています。 ポタニカル・アート、というのでしょうか、可憐な春の草花がとてもたおやかに、美しく、そっと手をのばしたら触れそうにみずみずしく描かれ、すっきりとセンスよく配置されています。 やわらかく透明感のある淡い彩色をほどこした部分と、まわりの塗っていない部分とのバランスが絶妙で、ページをひらくごとに、主人公のねずみたちのいきいきとした動きがきわだって、とても目に心地よくすうっと飛び込んでくる感じです。
テキストもシンプル。 ある日のねずみのヘーゼルが、ねずみの花束を持っておかあさんをたずねます。 だって今日は特別な日。 でも…あらっ、おかあさんはいません。
だっておかあさんは、おばあさんのうちに行ったのです。 だって今日は特別な日。 でも…おばあさんはいません。あら!
だっておばあさんは、ひいおばあさんのうちに行ったのです。 だって今日は…。
という、繰り返しの楽しい果て無しはなし。
いくらねずみ講の、じゃなかった、多産のねずみでも、そこまで同時代にひいひい…おばあさんいないでしょー、などと、純真な子どもはつっこんだりしません(笑)。 だって繰り返しのリズムが文句なく楽しいし、ねずみたちのお召物のそろっておしゃれなこと、ずらりとならぶと壮観です。
そして果て無しはなしについに決着をつける、思わず固唾をのむはりつめた文字なしページは爽快で、絵から物語を読み込む楽しさ、耳からの情報と目からの情報の落差を楽しむ新鮮さを、子どもたちに与えてくれます。 読むたびに親子で違ったアドリブも楽しめそう。
少しシニカルで、不思議な余韻の残るラストが、長く心に残るお気に入りの絵本です。
ぜひ母の日に、親子2代、3代・・・とぐるりと勢ぞろいして、楽しく読み聞かせしてくださいね。
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