■オイリ・タンニネンさんの絵本
1933年生まれ。新聞記者の夫について諸外国で暮らす。フィンランドの美術学校などで陶器の絵、織物の文様の研究を4年続けたあと、21歳のときイタリアへモザイクの研究に出かけ、以後、ソ連とイギリスに、それぞれ5年間ずつ暮らした。
国際アンデルセン賞優良賞など、国内外の数々の賞を受賞。1970年代に出版された邦訳は惜しくも品切れ。ふたたびの復刊を望みます!
なんと嬉しい、2008年秋『ポンちゃん』などが復刊!
(『ロボットのロムルスくん』講談社 品切れ 高橋静男さんの解説より)
『ボタンくんとスナップくん』*『ロボットのロムルスくん』*幼児おはなし絵本4冊(『ポンちゃん』*『ルルくん』*『チューくん』*『ミーちゃん』)

 

『ボタくんとスナッくん』講談社 品切れ

世界の名作を大型絵本で楽しむことのできた幻のシリーズ・講談社の「世界の絵本」シリーズの傑作のひとつに、オイリ・タンニネンさんの『ボタンくんとスナップくん』があります。

 

『ボタくんとスナッくん』
オイリ=タンニネン絵・文
渡部翠訳
講談社
品切れ
1971年

りんごの木にすむ、12人の子だくさんのこびとさんの家族の、冬のおうち探しの物語。
家族思いの元気な双子、ボタンくんとスナップくんは、こっそり町へと、おうちを探しに出かけますが、市場の誰に聞いても、12人の子どもたちの住めるような大きなおうちはないというのです。
そんな時、思いがけないことが起こって・・・。

実際の住宅難問題から生まれた、楽しくて夢のあるファンタジー。ボタンくんとスナップくんの一生懸命頑張る姿が、洒落たセンスのイラストと、あたたかなテキストで描かれています。
もう一度復刊切望。

りんごの木にすむこびとさんたちのかぞくは、おとうさん、おかあさん、それにこどもが12人。寒い冬に住む大きな家を探しているのですが、なかなか見つかりません。
冷たい雨のふるある朝、ふたごのボタンくんとスナップくんは、おとうさんのかさと落ちていたりんごを持って、みんなにないしょで大きなおうちを見つけるために、こっそり町へ出かけました。

市場できいてみましたが、みんな、子どもが12人と聞くとおどろいて、気の毒そうに首をふるだけ。
あと聞いていないのは、魚屋の前でずーっと考え込んでいるのんきなはかせだけ。
おなかがすいてきたふたりはつい、花屋のおばさんのかごに入って、りんごをたべながら、ねむってしまいました。
そこへ、魚のはいったかごをもって、のんきはかせが花を買いにやってきて・・・。

とんがり帽子の可愛いふたごの小人、ボタンくんとスナップくんが、大家族のために、おおきなおうちを探してがんばるお話。夢のある楽しいファンタジーですが、
「実際に、タンニネンさんをふくめたフィンランドの多くの人々が、住宅難で困っていたときに生まれ」た物語だそうです。(『ボタンくんとスナップくん』講談社 渡部翠さんの解説より)

もっか切に探求中。
シンプルなオレンジと黄色の可愛いこびとたちの表紙が、とてもとても愛らしくてお気に入り。

原書は『Nappi Ja Neppari』1964年初版だそう。
シンプルで美しいイラストは、黄色オレンジ、白、のみ。ところどころに折り紙が用いられ、ユニークな線が施され、黒できりっとひきしめられた、楽しくてアバンギャルドな感じです。

この作品で、Oili Tanninen(オイリ・タンニネン)さんは1966年国際アンデルセン賞優良賞を受賞なさったそうです。他にも、『MURU MENEE KALAAN(1961年デビュー作?)』で1964年国際アンデルセン賞Runnersupを受賞、1966年『Nunnu』でフィンランドのトベリウス賞受賞、などなど、数々の国内外の賞を受賞なさっているそうです。このNunnuはきっと好評だったのでしょう、シリーズで他にもあるようです。
ちなみに、オイリ・タンニネンさんは1933年生まれ、最近の著作は『Kumma mumma』1991年、のようです。見てみたい!
さらに、とても丁寧で詳しい情報を、こちら↓で教えていただきました。

≫フィンランドの児童文学 白樺と星 Tervetuloa!

オイリ・タンニネンさんをはじめとして、『ムーミン』のトーベ・ヤンソンさん、『オンネリとアンネリのおうち』(プチグラパブリッシング)オンライン書店ビーケーワン:オンネリとアンネリのおうちなどなど、フィンランドの児童文学への造詣の深い、フィンランドへの愛情のこもったサイトです。
オイリ・タンニネンさんについても、
≫フィンランドの児童文学 白樺と星 オイリ・タンニネン
でとってもとってもくわしく調べてくださっています!ぜひごらんあれ。

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『ロボットのロムルスくん』講談社 品切れ

邦訳の他の作品には、同じく講談社より、『ロボットのロムルスくん』があります。
原題は『Robotti Romulus』 Otava 1968年初版。

 

『ロボットのロムルスくん』
オイリ・タンニネン作・絵
渡部翠訳
講談社
品切れ
1972年
86p

もくじ
1.ロムルスくん、ばらばらになる
2.ノラリとクラリ、ふしぎなはこを見る
3.くず鉄がいっぱい−へんなおくりもの
4.フイプイ、せんたく機でおぼれる
5.ノラリとクラリ、元気になりすぎて、大こまり
6.たいせつなのはなにか、ということ

(解説)
おり紙とアンデルセン賞
−フィンランドの絵本作家タンニネン−
高橋静男

愉快なロボットロムルスくんと、ねずみトロールのフイプイ、悪だくみのなまけものの泥棒ノラリとクラリ、そして舞台となるニルナル家の子どもたち・・・と、にぎやかな登場人物たちのおりなす、個性豊かで元気な物語。

これは絵本ではなく、児童書で、本文イラストの、タイプライターや指紋を使ったユニークで素朴なコラージュが、とても新鮮で楽しい作品。(表紙はオイリ・タンニネンさん本人のものではありません。装丁は安野光雅さん)
本の冒頭には、指紋やコラージュを使ったカラーの口絵が2場面添えられていて、『ボタンくんとスナップくん』や『ポンちゃん』などともまた趣きの少し異なるタッチが新鮮。

元気でやさしくて頑張りやのロボット・ロムルスくんと、ちょこまか世話焼きのねずみトロールのフイプイ、愉快なボルトくんや、悪役・・・のはずの泥棒のノラリとクラリコンビや、舞台の中心となるニルナル家の子どもたちなどなど、楽しくてにぎやかな仲間たちが、のびのびてんやわんやと活躍する物語。

本文のあっさりとした線画の、あどけない子どもたちの顔、ノラリとクラリのとぼけた顔が、無邪気で可愛くておしゃれさん。ニルナル家の台所で、いつも透明になってこっそり手助けしているねずみトロールのモチーフや、ロムルスくんが張り切ってつくるパンケーキのエピソードなどなど、北欧の雰囲気を感じました。
この作品も含めて、オイリ・タンニネンさんは1970年ANNI SWAN 賞を受賞されたそうです。

巻末の、「折り紙とアンデルセン賞−フィンランドの絵本作家タンニネン−」という、高橋静男さんのくわしい解説は、必読。

「学齢前の子どもには、物事に反応する純粋な能力が、より強くのこされているように思います。こうした人間に、愛と誠実と真実と勇気を、空気のようにして送りとどけることはよろこびです。・・・」
(高橋静男さんによるインタビューに答えてくれたタンニネンさんの言葉 より)

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幼児おはなし絵本『ポンちゃん』『ルルくん』『チューくん』『ミーちゃん』講談社 

なんと嬉しいことに、2008年秋、待望の復刊!訳文も装丁も新しく、子供手にぴったりの小さくて大きな贈り物となりました!嬉しいなあ・・・。
以下↓ は、旧版についての感想文です。それにしても、嬉しい・・・。じーん。

ボタンくんとスナップくん』(講談社 品切れ)などの邦訳がなされた当時、日本の小さい子どもたちのために、オイリ・タンニネンさんが、日本の折り紙を使った愛らしい赤ちゃん絵本(4分冊、講談社、品切れ、各タイトルは下記参照ください)をつくってくださいました。

上記のフィンランドの児童文学に関するサイト、「フィンランドの児童文学 白樺と星 オイリ・タンニネン」さんによると、4冊それぞれの原題が、
チューくん』(原題:Hippu/ フィンランドでの出版はOtava 1967年。1970年のアンニ・スワン賞受賞作の一冊)
ミーちゃん』(原題:Misu)
ポンちゃん』(原題:Pommo)
ルルくん』(原題:Heppu)

と、なっているそうです。『ミーちゃん』『ポンちゃん』『ルルくん』の三冊は、日本の子供たちに向けてお描きになった作品なのですね!くわしくはぜひサイトをごらんになってくださいね。

図書館で借りた貴重な絵本『ミーちゃん』には、表紙カバーがついていて(他の本にもあったと思われますが・・・)、その見返しに、「オイリ=タンニネンさんの幼児おはなしえほん」というタイトルの、監修の波多野勤子さんの一文がのせられていました。(旧版の監修は波多野勤子さんです)

この「幼児おはなしえほん」には、幼児の心に響く夢がある。国際アンデルセン賞受賞作家であり、二児の母でもあるオイリ=タンニネンさんが、心をこめて書きおろしたもので、日本の色紙の美しさ楽しさから発想、森と湖の国フィンランドを母胎として誕生した。
・・・

と、あります!
あらためて図書館なの貴重な絵本を読むと、約15センチの愛らしいこぶりの絵本につまった、簡素な色数と形ですっきりと構成された、鮮やかで美しいイラスト、やさしく身近なテキスト、幼児の目や耳を楽しませ、自分で持つ手を喜ばせるような、愛らしい試みがいっぱい!

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2008年新版です!

『ポンちゃん』講談社 品切れ

幼児おはなし絵本
『ポンちゃん』
オイリ・タンニネン作
渡部翠訳
講談社
1976年
2008年復刊(新訳)

運良くこの絵本だけ入手できたのですが、折り紙を切って貼ったようなシンプルで親しみやすいイラストがとってもおしゃれ。ピンク黄色水色の3色使いも新鮮です。

可愛いおかっぱのピンクのワンピースの女の子が、なかよしのくろいことり(つぐみ)のピコと、きいろいボールを追いかけて遊びます。
身近な遊びを楽しく描いた、手作りのぬくもりのあふれるシンプルな切り絵。日本の折り紙によるものなのですって!
ちいさい子どもが喜びそうな楽しい表現をちりばめながら、危ないことはきちんと教えます。
カラフルで心弾む、愛らしい幼児えほん。
もちろん宝物です。

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2008年新版です!

幼児おはなしえほん
『ルルくん』
オイリ・タンニネン作
渡部翠訳

講談社
1976年
2008年復刊(新訳)

おおきな犬のルルくんとちいさな犬のムクちゃんのおはなし。
オレンジ、黄色、水色、黒、白。
くっきりと色紙をシンプルな形に切り取るだけでなく、まあるく破って味わいをだしたり。
限られた色数でこんなに鮮やかなのは、きりりと効果的にひきしめている黒によるものかしら、すっきりと切り詰めた簡素なフォルムによるものかしら?
日本の折り紙が、こんなにおしゃれな絵本になるなんて!

さりげない片隅に、他の絵本に出てきたことりやねずみが、ちらりと顔をのぞかせているところも、発見すると宝物。

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2008年新版です!

幼児おはなしえほん
『チューくん』
オイリ・タンニネン作
渡部翠訳

講談社
1976年
2008年復刊(新訳)

ねずみのチューくんの、楽しい楽しい雪遊び。
出来上がったゆきだるまに、チューちゃんと名前をつけました。さあ、一緒に何してあそぼう。

子どもが自分で遊びを見つけ、友達に見立てて一緒に遊び、やがて本当の友達を見つけるまでを、幼児にわかりやすく、楽しく描いています。
単純化されたチューくんやお友達のデザインには、ひげがあるせいか鼻も口もないのですが(そのひげさえも、場合によってはマフラーで隠れていることも)、くるくるとしたお目目とひげと顔の向きで、愛らしい豊かな表情をつくりだしています。

紫、濃い紫、オレンジ、黒、白。
さらに抑えた色調が、一面の雪の世界をきわだてて、きれい。

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2008年新版です!

幼児おはなしえほん
『ミーちゃん』
オイリ・タンニネン作
渡部翠訳

講談社
1976年
2008年復刊(新訳)

くろねこのミーちゃんの楽しいお出かけのおはなしです。オレンジ、黄、紺、黒、白。
明るく鮮やか、くっきりきれい。元気の出てくる色と形に、夢のある愛らしいお話。
ミーちゃんのパパのしましまのネクタイや、ふうせんうりのおじさんのマフラー、蝶ネクタイのおじさんの帽子などなど、小物も粋で、おしゃれです。

ミーちゃんにや他のねこたちにも、ひげがあるのみで鼻も口もないのですが、いきいきとしたつぶらな瞳や、効果的に出てくる手、顔や身体のわずかな傾きで、豊かな表情が見てとれます。シンプルで単純化されたフォルムも、みとれてしまう鮮やかさ。

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